見出し画像

#15 私と母の戦闘日記

会社に連絡したものの1週間ほど、連絡がなく、母と連絡を取り合う日々が続いていた。

洗脳されているんだから、目をさましなさい!...弟も含め3人で話しました。入社は認めません。...就活浪人か院に残るかを希望します。』

『家族を裏切ってまで、企業を選ぶのですか?

お父さんが言ってました。宗教にはまった家族を救い出そうとしているみたいだ。テレビの世界のようだ。とにかく目を覚まさせないと!

そのために、弁護士に相談することも考えています。』

今思えば、散々な言われようである。が、家族から見れば私は、ただの異常者だった。

笑える話である。しかし、全く笑えない話であった。悲しみよりも呆れの方が強く、頭を抱えていた。

(...どうしたもんかな、この人たち。)

私にとっては、もはや家族ではなく、私を異常者扱いする人たちだった。


「裏切るつもりはありません。私は、今後、家族以外の様々な人と関わりながら、生きていくのです。家族の在り方は、裏切るというような縛り付ける関係性ではなく、更新され続けていくものではないでしょうか。

私は、なんと言われようと、私の道なので、この方向性を変えるつもりはありません。」

と返事をしたのだった。

それに対しても、こんなにバカだったとは、と言われ、相変わらずのやり取りは続くのであった。


しかし、数日経って、母はラインに耐えきれなくなり、電話して来たのだった。怒声が流れ出てくる電話は、ただの雑音だった。私は必死に感情を抑えながら、受け答えをするも、限界が来ていた。そして、言ってしまったのだ。

「分かりました。辞退します。」

電話を切った後、私は呆然とし、涙を流していた。なんで辞退しなければならないのか。理解できなかった。

飛び降りようかと思ったので、このままでは死んでしまうと思い、コンビニに行って、飲み物を買った。それでも、その間ずっとぼーっとしており、なぜか足を右、左と出すことに意識を向けていた。


そして思うのだ。


(なんで私は、歩いているのだろう。なんで、私の心臓は動いているのだろう。なんで私は息をしているのだろう。)


その日はとても綺麗な青空だった。


青空を見上げながら、呆然と立ち尽くしてしまった。呼吸をすることさえ必要を感じなかった。

それほど、家族というもっとも近いであろう存在から、異常者扱いされ、自分の決心を捻じ曲げられることは、私の精神を崩壊させたのだ。

泣くことさえもよく分からない、なぜここに”存在”しているのか。

ただただ立ち尽くしていた。


そして、誰かと話さねばいけないと、本能的に思い連絡の取れる人を探したが、その日は祝日で、私の身に起こっていることを知っている人はみんな取り込み中であった。

とりあえず、歩いて家に帰り、泣きながら椅子に座ってその日を過ごした。


そんなことをしていても、容赦無く興味のある求人を送ってくる母。

どこまでもバカでアホでどうしようもない”親”だと、呆然とした状態でスマホを見たことが、頭から離れることは一生ないと思った。



サポートいただき、ありがとうございます!とても嬉しいです^^ たくさんいいことありますように。心から感謝を込めて♡ Always thank you♡