退院後

退院してからはのんびり過ごした。病院では普通に生活できていたからそんなに体力が落ちたと感じることはなかったけど、家に帰っていざ生活してみるとびっくりするくらい体力が落ちていた。特に退院してから2~3か月は1日起きていることすらできなかった。途中でお昼寝しないともたなくて、1日の半分は寝ていた。入院中に血液検査は定期的にやっていたけど、特に異常もなかったから先生も何も言ってなくて、退院するときにちょっと白血球数が下がっているけどまぁこれくらいなら大丈夫でしょうっては言っていた。だから特に気にせず生活していたら、次に検査時にかなり低い値になっていた。放射線や抗がん剤やると必要なものまで殺しちゃうからあたりまえだけど、私は少し反応が遅かったのか入院中はほとんど変わらず、退院してから一気に下がった。そこから上がるまではずいぶん時間がかかって、先生も少しずつ良くはなってきているけど、もう少し欲しいね、と言っていた。2年たった今でようやく普通の人の最低値に届くか届かないかくらい。数値がかなり低かった時は結構用心していたけど、今はほかの人と変わらないレベルでしか気にしてない。なんでもそうだけど、気にしすぎるとストレスがかかりすぎてしまうからね。
退院してからは澤村先生のところとがんセンターに交互に通った。1週間おきにどちらかに通院する感じ。MRIも血液検査も、今でもやるけど完全に慣れた。最初はドキドキしていたけど。検査して、状況を話して、大丈夫の確認をして、その繰り返し。がんセンターは確か3,4回通ってとりあえず終わりになった。澤村先生のところは最初2週間に一回、1か月に一回、2か月に一回、ってだんだん伸びていって、いまは4か月に一回行っている。前々回くらいに初めて脊椎のMRIをとった。今後はたまに脊椎も撮るみたい。前回は脳のMRIと血液検査をした。血液検査も2回に一回やる。どっちももう慣れた。造影剤も多少緊張はするけど、どうってことないって知っている。(ちなみに造影剤はいろんな種類があった。私が検査で一番入れているのは、ルート取って看護師さんがゆっくりシリンジで入れるやつだけど、体が急に熱くなるやつとか、勢いよく入れるやつもやったことある。ルート取った後に生理食塩水が入ってくるのを確認するときが一番怖い。痛いときがあるから。生理食塩水も造影剤も体に入ってくるのが分かる。体に、血液に直接液体が入ってきている感がすごい。)
 退院した後あまりに体力がないから、体力強化するためにお母さんと区民プールに行っていた。プールに入るのなんて何年振りって感じだったし、まったく泳げないけど水の中にいるのは楽しかった。海もそうだけど、水が好きだ。見るのも入るのも。水を通すとなんでも透明になる。透明の中の世界は光をもってよりきれいに見える気がする。水の中は静かだし、居心地がよかった。泳げるようになったりはしなかったけど、体を動かすのは楽しかった(帰ってからはいつも爆睡だったけど)退院後の検査の時に澤村先生に何か気をつけることありますかって聞いたら、何にもない。普通に生活していいよって言われたからプールにも普通に行っていた。でも血液検査の結果を聞いて、次の通院の時にもしかしてと思って、プールに行くことは大丈夫か念のために聞いたら、プールはちょっとそれまだ早いかな、って言われてしまった。すでに何回も行っていたけどとても言えなくて、わかりましたってだけ言ってお母さんと苦笑いしていた。低免疫だったけど幸いプールに行ったことで何か影響を受けることはなかった。


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