あの時私は本当に目覚めたのかな

仕事中に、川のほとりのベンチに座って休憩していたら、ふいに遠くのほうでお経が聞こえた。ぼんやり座って、空を見上げて、あったかくなったなぁって考えていたら、水の音と一緒になにか聞こえることに気づいた。しばらく聞いていたら、お経だと気づいた。その日はお彼岸だった。

意識がぼんやりしているときに、ふとお経が聞こえて、あれ、私やっぱり夢を見ているのかなって思った。今もたまに思う。あの時本当は目覚めてなくて、今も集中治療室で眠っているか、もしくはもうこの世界にはいないんじゃないかって。私は自分で気づいていないだけで、これは全部私の夢というか、妄想の世界なんじゃないかって思った。それにしてはつらいことも起こってるし、失敗もしているから、夢じゃないと感じるんだけど、本当のところはわからない。

大病をして、いろんな経験をして、いろんなことを考えて、自分は変わったと思う。でも今休職前とかなり近い状態で仕事をして、むしろ状況的にはもっと厳しくなって(してしまって)、だんだん変わる前の自分に戻っていっているような気がする。それが少し怖い。ううん、とても怖い。

無理して、自分にまだ頑張れるって嘘ついて、追い詰めて、何も見えなくなって、死なないために這いつくばってでも動き続けるような、暗闇の日々。またそんなところに自分を置いてしまいそう。そこで、それでも頑張る自分になってしまいそう。あんなに、あんなに誓ったのに。学んだのに。自分を大切にすると、強く強く思ったのに。

変わることは悪いことじゃない。万が一戻る部分があっても、それは変化であって、退化ではない。必要な変化なんだと思う。でも私はその過程の中で、変えたくない部分だったり、望まない変化だったり、そういうものをきちんと意識して、自分をコントロールしたい。

もし、もし本当に実は目覚めてなかったとして、ある日突然この日常が終わったら、私はどうするかな。やっぱり夢だったって思えるほど幸せ続きじゃないけど、しんどいこともたくさんあるけど、でもまぁ、そうかそうだよなって受け入れるような気がする。このまま続いても悪くないし、また目覚めても悪くないし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?