心の傷はやけどに似てる

ひざにやけどの跡がある。もう何か月も前に熱湯をこぼしてしまった。その時はしばらく痛かったし、跡が残るんじゃないかってしばらくいろいろケアしていたけど、痛みがなくなるとだんだん忘れていって、何もしなくなった。結局、うっすら跡が残った。

心の傷ってやけどに少し似ていると思う。傷を受けたときはすごく痛くて、必死に何とかしようとする。何をしたって痛いんだけど、跡が残らないように頑張る。でも時間がたてば痛みが薄れてきて、あまり意識しなくなってくる。時々忘れて、ふと気づく。あ、やけどしたんだった。あ、あと残っちゃったな。やけどは重症であるほど跡が残る。心は傷が深いほど跡が残る。痛みはないんだけど、消えないでずっとある。ふと目に入るたびに、もう痛くもないのに痛い気がする。多分、傷じゃないところが痛い。傷を見ると、傷かついた時のことや、感情を思い出す。痛かったな。苦しかったな。やけどの跡はそうやってあの時を思い出させる。心の傷も同じように、その時の痛みを思い出させる。ふとした時に目に入ってきて、傷ではない場所をちりちり痛める。

跡なんか残らなくても忘れられない傷もあるのに、跡が残ってしまった傷は、存在を絶対忘れさせてくれない。最初はどうしたらいいかわからなくて、どうにかして消したかった。いろんなことをやった。でも、消えたりしなかった。意識すればするほど跡が気になって、だんだん見るのも嫌になってきた。

だから見ないことにした。そしたら少しずつ忘れていった。たまに思い出して、あーそうだった。と落ち込んだりもするけど、まぁしょうがないか、と受け入れられるようになってきた。

心の傷がやけどに似ているなら、同じように目をそらしても、時間がたつと少しずつ受け入れられるんじゃないかなって思う。傷がついたときはしんどいし、いつまで痛むのかも人それぞれで、ついた傷の深さも人によって違うから、本当に治るのかなって思う時もあると思う。

でも、傷は必ず変化する。時間が止まることは絶対にない。時間が進むということは、変化するということ。周りや、自分が変化していくということ。生まれたら必ず死ぬんだから、変化しないものはない。生きていれば時間は進む。必ず変化する。だから傷跡も必ず、少しずつ変化していく。

痛いときは痛がっていいと思う。生のままずっと痛い傷が私にもある。でもそれはそれで、受け入れたいと思う。傷は生のままだけど、血は止まった。この傷は多分治らないと思うけど、かばう方法を学んだ。消えない跡が残っちゃったけど、痛みはもうない。いろんな傷を抱えて、ちょっとしんどい時もある。それでも今私は何とか生きているから、この傷と一緒に生きていこうと思う。

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