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【開かれた学校】地域連携の時代!『コミュニティスクール』ってなに?【コミスク解説】

こんにちは、渡部です。
記事に興味をもっていただき、ありがとうございます。

今回のテーマ

今回はここ5年の教育トレンドワードを1つ紹介します。
学校の先生なら一度は聞いたことがある言葉だと思います。
その名は「コミュニティスクール
どうでしょう?
耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
でも、どうでしょう?
「コミュニティスクールと聞いて、どんなものか説明できる先生は挙手してください!」と言われて、手を挙げることはできそうですか?
(あ、言っておきますが、私はできませんよ!笑)
そこで今回は、言葉は聞いたことがある「コミュニティスクール」について詳しく解説したいと思います。
今回の解説を読めば、「コミュニティスクール」の理解はパーフェクトになると断言しましょう。
ぜひ、最後までお読みください。

コミュニティスクールってなに?

まずは、コミュニティスクールの定義から説明します。
コミュニティスクールは別名、「学校運営協議会制度」と言います。
※便宜上、この記事内ではコミュニティスクールで統一します。
定義は「学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え「地域と共にある学校づくり」を進める法律に基づいた仕組み」です。

すごくカンタンに言うと、「生徒と先生たちだけで学校を完結させないで、地域の力も借りていこう!」というものです。

コミュニティスクールの現状

コミュニティスクールはどれだけ導入されているでしょうか?
2022年9月現在、実は42.9%にとどまっているようです。
開かれた学校づくりは未だ道の途中といったところでしょうか?

コミュニティスクールが始まった理由

突然ですが、質問です。
皆さんが住んでいる地域や学校で「このままじゃマズイよね。」「これって課題だよね。」ってことはありますか?
具体的にはこんなもの

  • 高齢化

  • 学校の再編

  • 不登校

  • 働き方改革

どれも多くの自治体で共通で抱えるマズイ課題だと思います。

もう1つ質問です。
「これらの課題は学校・地域・家庭だけで解決できますか?」
高齢化を地域だけで対応する、不登校を学校だけで対応するなど、字面で見ただけで難しいと感じるものばかりです。
「社会課題が複雑化・多様化している昨今、課題を多くの立場からのアプローチで解決することが必要である。」
これを実現可能にするために、コミュニティスクールがあるのです。

学校評議委員制度や学校支援地域本部とコミュニティスクールの違い

地域のサポート制度は以前より実はありました。
学校評議委員制度や学校支援地域本部という制度です。
これらの制度とコミュニティスクールの違いはなんでしょうか?

学校評議委員制度は「校長」の求めに応じて、地域の意見を聞くという制度です。
学校支援地域本部は「学校」の求めに応じて、地域人材からのサポートを受ける制度です。
これらの制度の特徴は学校が主体であることです。
学校が主体となると以下の関係性が生まれます。

学校>地域

学校の意向に沿うのが前提にあるため、広く意見を得ることが難しいという側面もあるかもしれません。
イメージは文部科学大臣と中教審の関係に近いかもしれません。
一方で、コミュニティスクールは地域代表と学校代表が「合議体(複数の合議によって意思決定を行う」になります。
委員の意見はより力を持つことになります。
イメージは民主主義国家の議会の政治家に近いかもしれません。
地域代表と学校代表が政治家として、平等な一票で方向性を決めていく感じです。

社会に学校を開く方法

コミュニティスクールを通じて社会に学校を開いていくことが、社会課題を解決するためにこれから重要になるとお話してきました。
では、学校はどのようにして社会に学校を開くには、どのような手段があるでしょうか?
まずは、学校の教育課程を社会に開く必要があります。
教育課程をとおして、学校の教育理念を社会に発信することが重要です。
教育理念を社会に提示する方法は何があるでしょう?
それは、「学校教育目標」です。
学校教育目標で「我が校はこういう方針で進めていくよ」ということを共有していくことで、地域が「なるほど、自分たちには何ができるだろう」と考えるきっかけをつくることができます。
学校教育目標で地域に教育理念を伝えるとき、重要なことがあります。
それは、「学校が、地域や家庭に何を期待しているかを含めた目標を設定すること」です。
その内容をHPで提示までできたらベストですね!

1年間のコミュニティスクールの具体的な実践例

コミュニティスクールはどのように進めていくのでしょう?
具体的には以下のように進めます。

  1. 校長先生の基本方針・目標の伝達と共通理解(年度初め)

  2. 目標の達成に向けてできることの実践(4月〜3月)

  3. 実施結果の検証(年度終わり)

  4. 児童生徒の強み・弱みについて話し合い(年度終わり)

  5. 基本方針の承認(次年度初め)

1.校長先生の基本方針・目標の伝達と共通理解(年度初め)

1の段階で地域と保護者に学校の基本姿勢を伝えます。
例えば、校長先生が「学校として『生徒のコミュニケーション能力が課題』です。この1年で多くの機会で生徒が学校内外の人との挨拶や話し合いができるようになってほしい。そのために、地域や保護者の方に積極的に話しかけてほしい。」
一方で、保護者や地域の方からは「学校との接点が少ない。自由に来ていいと言われても、なかなか学校に立ち入るのは難しい。もっと交流の機会をつくってほしい。そうすれば、コミュニケーションの良い機会になるのではないか?」などの意見が出ることもあるでしょう。
お互いの考えを対等な立場で伝え合いことで、次のような実践が生まれるかもしれません。
「学校が地域も参加できる奉仕作業を実施しよう」
「地域住民と保護者が奉仕作業のときに、生徒に話しかけてみよう。」
「保護者が授業参観のときに、授業中のコミュニケーションの様子を見てみよう。」
ここが、地域と学校が繋がるきっかけになるわけですね。

2.目標の達成に向けてできることの実践(4月〜3月)

2の段階では、第1段階で立てた目標の達成に向けて行動していきます。
学校は、地域住民が学校の教育活動に参画しやすいような機会をつくるようにアクションを起こせます。
例えば、自治会などに学校公開の資料を載せ、授業参観を募ることができるかもしれません。(セキュリティに配慮しながら)
加えて、奉仕作業の開催を周知することもできるでしょう。
地域の方の中には、土木作業に従事されている方もいるかもしれません。
そんな人材と学校の接点ができれば、今まで以上に学校管理地の整備が進かもしれませんよね。

3.実施結果の検証(年度終わり)

3の段階では、1年間の活動を振り返ります。
3学期の授業参観後やPTAの会議に合わせて実施するのが良いでしょう。
生徒や保護者からの学校評価のアンケート結果や学校の教育活動に参加された地域の方の声を受け止める機会になります。
従来とちがい、学校の活動により主体性をもって参加された保護者や地域の声はより深いリフレクションに繋がるはず。

4.児童生徒の強み・弱みについて話し合い(年度終わり)

4の段階では、児童生徒の弱み・強みを考えます。
1年間を通じて、各校の状況をより具体的に知ることができたタイミング。
ここで、児童生徒の弱み・強みを共通理解することが重要です。
例えば、弱みは「大人とのコミュニケーション能力」で、強みは「生徒同士の協働する姿勢」など見えてくるでしょう。
弱み・強みを知ることで、次年度のコミュニティスクールの目標設定に役立てることができます。

5.基本方針の承認(次年度初め)

4の段階を経て、次年度の初めに校長先生が学校の基本方針を決定します。
生徒の強み・弱みを学校のみならず、保護者と地域の声から設定しなおすことで、より現実的な基本方針を考えることができるのではないでしょうか?

開かれた学校へ

学校だけで、社会に出ていくのに必要な資質を身につけることができる時代は終焉を迎えました。
学校には、地域とこどもの橋渡し機関としての役割も追加されています。
閉鎖的な学校から開かれた学校へのステップが令和5年の重要ポイントと言っていいのではないでしょうか?
コミュニティスクールがより発展していき、生徒・地域・保護者・学校がより深くお互いにとって有機的な関係になる時代が来たら良いですよね!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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