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誰かの価値観は長い期間のなかで作られたそのひとだけのもの

ごはん屋さんで納豆を念入りに混ぜるひとに
つい見惚れてしまいそうになる
ごはんを食べているひとをじっと見つめては
いけない、と躾をされているけれど
目を離すことができなくなりそうになる
丁寧にパッケージを開けて海苔を取り出して
いる時、そのひとはきっと味を想像しているの
だろうなぁと思えるようなほんの少しの表情の
弛緩がとても人間らしくて愛おしいと思える
まるで知らないひとについてそんな風に
思えてしまう
やはりひとが食べるという動作は愛おしくて
時として涙が出そうになる

また同じことを考えているなあと思い返すことが
できるから私は遺していて良かったなあと思うし
何らかの理由で相容れないと思ったとき
それを覆すことはほとんど不可能なんだと
改めて気付かされる

日曜の夜の飲食店はいつもよりも穏やかで
店員さんが仕事をしているのを見ながら
妄想のなかで一緒に働いてみる
誰か仕切っているのか、空き時間に何をするのか
私が入ったら何をしようかなと馳せてみる
べつの世界線の私を想像するともう少しだけ
生きてみようと思える

方言について会話をする
うちの地元だけで使っていることばだと
確認すると『おらが町』のような
囲い込みや身内感を感じる
話した相手が『それはうちの地方でも使うよ』
と言われると県を越えたつながりのような
ものを感じる
いつの時代の領主が交易したのかといった
ことが想像されてつながりを思う

ひとはどこでつながってるのか
これからどこでつながるのか
考えると面白いもので
星座のように決まってしまって
もうすぐ変わらないものと違うのが
趣深いと感じた

今、アイヌの方の文化を少し学んでるけれど
とても美しく素敵だなと思う


たんなるにっき(その68)

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