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文通はじめました

インターネットは珍しいものではなくなって
電気・ガス・水道といったインフラと
同じくらいに当たり前のものになった

調べものをするためだけでなくて
双方向通信の特性を活かして
個人間のやり取りのほとんどが
インターネットによるものになった

電話がSNSになり、メールがSNSになると
私たちの距離は近くなったけれど
知らないことが増えていった

住所も電話番号も知らなくったって
荷物もことばも音声も通じる
メッセージが送られたことだけでなく
読んだかどうかは「既読」で知らされる
けれど、何がどう伝わったかの本当は
分かりにくいことが増えた
だから、やさしい気持ちも複雑になって
相手が本当に嬉しいかどうかを
考えないままに、あるいは分からないままに
送り届けられることも増える

近くになったはずなのに、遠くなって
誤解や諍いも増えたし、距離感や関係性も
見極めにくくなった
双方向通信のはずが、一方通行
FTTHなのにADSLのように
想いと重いはアシンメトリだ

◇◇

ほぼ年に一度だけ、私は肉筆でてがみを届ける
年賀状にかこつけた往復書簡

高校時代からの旧友とのやり取りは
このてがみだけ
勿論、互いのLINEのIDは知っている
試しに何回か送ってみたこともあるけれど
不思議なほどに返事が来ない
けれど、嫌われてるわけではない
そう、てがみというやり取りを好んでいるのだ
それは何というかきちんと私のことを
人間関係のなかで大切にしてくれているのだ
と勝手に思っている

◇◇

便箋を買い、ペンを取り、切手を貼って
赤色のポストに投函する
それをいつ来るだろうかと思案して
郵便屋さんのバイク音にお尻を浮かせて
郵便受けに取りに行く

「既読」がつかなくてソワソワする
感覚とはまるで違う

封筒を開けて、
便箋の厚みからどんなことが
書かれているかを想像して
相手の文字に見慣れていく様に
少し嬉しさが込み上がる

スマートフォンの通知で
相手を識別してどうすべきかを
思案するのとはまるで違う

SNSにはSNSの良さがある
けれど、てがみという不便さから
得られる距離感や温もりはまた別の良さがある

◇◇

文通はじめました
仲良くさせて頂いている
綾野花南さんにお願いをしたら
ご了解を頂けて
言い出したのは私なのに
先に送って頂いてしまいました

文通とはいえ個人情報も配慮して
ヤマト運輸さんの匿名配送を活用

おてがみだけでなく、お菓子や
「綾野図書館」からオススメの本も
送って頂けたのですよ

SNSギフトや電子書籍もあるなかで
まるで学校の教室で本の貸し借りや
お菓子のわけっこするみたいなのは
懐かしさとワクワクした気持ちで
いっぱいになる

「はじめまして」から始まる
てがみの中身はとても素敵でした

先ほどまでお返事を書いていたけれど
少し緊張しながら文字を書いたせいか
指にチカラが入りすぎていた
語りかけるように文字をしたためる感覚は
キーボードやフリック入力とは
まるで違う感覚がした

頻度はともかくとして長くやり続けたいなあと
思っているし、他の人とも文通をして
新しく感じることやせかいを拡げていけたら
きっと楽しいだろうなあと思っている


綾野花南さん
私の思いつきにのってくださって
ありがとうございます!

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綾野花南さん
note1周年おめでとうございます


その後、無事に届きました
よかったー

みなさんも文通してみませんか?


よろしければサポートをお願いします。自費出版(紙の本)の費用に充てたいと思います