ファミレスの社員とは結婚しないと決めたウェイトレス

高校生の頃からいろいろなアルバイトを経験した。初めてのアルバイトは、24時間営業のファミリーレストランでのウェイトレスの仕事だった。

通信制の高校に通っていた私は、日中は家業の手伝いもしていたため、ファミレスでは早朝に働いた。朝５時から９時までの４時間を週に５日。深夜帯の次に高い時給だったので、朝起きてしまいさえすれば割の良い仕事だった。

早朝の時間帯は客数も少ないため、ウェイトレスは私だけ。キッチンにもパートの女性が一人だった。「明るい時間とはいえ、ホールに10代後半の女が一人って防犯上どうなのよ？」と思っていたが、現場を知るとそれもやむを得ないと感じてしまう。

夜勤を終えた店長は私が出勤してくると「じゃ、朝は頼んだ。俺はもう眠すぎてダメだ」と言って帰っていく。

昨日のランチタイムに出勤してそのままディナータイム、さらに深夜も働いていたということは、店長は優に17時間は店内にいたということになる。

社会人経験などなかった私は、現場の店長や社員の働き方のすべてが驚きだった。これが社会に出て出世するということ？職場に17時間もいるなんて狂ってる。仮眠は取ったようだけどそのまま運転して帰るなんて。

雇われ店長は割に合わない。私は生意気にも成人を前にしてそう思った。いや店長だけじゃない。一店舗に3、4人いる正社員も24時間営業の煽りで不規則極まりない生活をしていた。しかも責任の量が多い。そしてこれも生意気だが、社員たちはそれに見合う報酬は絶対にもらっていないと感じた。

ファミレスの社員とは絶対に付き合わないし結婚もしない。

これを強く肝に銘じて仕事をしたが、心配無用だった。付き合ってくれなどと誰からも頼まれなかったのだから。