タイ映画について語らせて!「RAIN」1999年制作
タイにはBLドラマ以外にもたくさんの優れた映像作品があります。
今回はその中でもアネゴお気に入りの映画「RAIN」を紹介します。
映画「RAIN」
「RAIN」はタイの闇の社会を舞台に描かれた、タイ・ノワールと呼ぶべきスタイリッシュでクール、そして哀しく切ない物語です。
監督、脚本は香港出身のオキサイド・バンとダニー・バン。バン兄弟ですね。香港出身の彼らだから香港ノアール調の映像が取れたんでしょうね。
出演は、主演のコン役をバンク・パワリットが演じています。RAINの撮影当時時は22-3歳、影のあるミステリアスな雰囲気を持ったイケメンでした。現在は48歳ですが、近影は期待を裏切ることなく、すっごく素敵なイケおじになっていますよ。
あらすじ
「RAIN」の見どころ
それでは映画「RAIN」の見どころを3つ紹介したいと思います。
①日本語のタイトルが秀逸
まず、日本語のタイトルが秀逸です!
タイ語の原題は「กรุงเทพอันตราย(クルンテープ アンタラ―イ)」で、直訳するとバンコク危ない、まさしく「バンコク・デンジャラス」なんですが、邦題は「RAINレイン」。この「RAINレイン」=雨というタイトルが、映画の世界観を現わしていると思います。
この映画ではいろんな場面で「雨」が出てきます。雨の中での暗殺。コンに初めて愛という感情を教えてくれた少女の名前はフォン(雨の意)。ラストシーンでは降り注ぐ雨の中、すべてを自分の手で終わらせようとコンは拳銃を手に取ります。雨に打たれながらコンに駆け寄るフォンと、雨に流されていくコンの涙。そして映画全体が常に雨が降っているようなブルートーンの映像で、「RAIN」という邦題がじわじわと効いてくる感じがしました。
②映像がスタイリッシュで残酷
これは監督のオキサイド&ダニー・バンの手腕ですよね。
ゴーゴーバーやムエタイ会場、公衆トイレなど、おしゃれとは程遠い場所のシーンも多いのですが、映像がとてもスタイリッシュで美しいです。揺れる地下鉄車両内での暗殺シーンも秀逸でしたよ!それから殺し屋の話なので血が流れるシーンもあるのですが、床にゆっくり流れていく血を映しているだけなのに残酷さが際立って、こういう手法もあるのかとつい見入ってしまいました。
そしてコンが依頼を受けて業界の大物を暗殺するシーンでは、テレビで流れるニュース映像は実際の暗殺事件のニュース映像を使っており、撮影も実際の現場で行い当時の様子を再現したそうです。泣きわめく遺族の映像も当時のものを使っており、映画と分かって見てはいますが、虚構と現実が入り混じって複雑な気持ちになりました。
③救いのない結末
ハッピーエンドではないことが、この映画のお勧めポイントのひとつです。
小さいころから障害に苦しめられて、誰からも愛されず愛することもせずに大人になったコン。フォンに出会い、人を愛することを知ったその時には、自分が他人が愛する人たちの命を奪うという取り返しのつかないことをしてきたのだと気が付いてしまう。しかしそれを償う機会はもう無い。
ラストシーンでの言葉にならない声をあげるコンの姿が哀しく、救いのない気持ちになりました。
楽しみ方番外編
楽しみ方の番外編として、この映画のタイ語は結構はっきり聞き取れる場面が多いので、そういった意味では楽しいと思います。
特にコンとフォンが話すシーンは、フォンがコンに分かるようにジェスチャーを交えてゆっくり話しかけているので、見ている側もタイ語の練習のように楽しめると思います。
「RAIN」はタイ映画の中でも色あせない映画の一つです。皆さんも機会があればぜひご覧になってください!
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