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サッカー選手にS&Cコーチができること

こんにちは!
関東でS&Cコーチ兼パーソナルトレーナーとして活動しております、姉﨑と申します。

たまにSNSで「S&C(トレーニング)コーチが身体能力だけ上げればいいなんて無責任だ」みたいなことを目にします。

言いたいことがわからないでもないですが、うーん。。。と思うことがほとんどです。

なので今回は、ぼくがサッカーチームを見ていることもあるので、サッカー選手にS&Cコーチができることについて考えていこうと思います。

1.S&Cコーチはどこまで行ってもS&Cコーチ

結局われわれS&Cコーチはトレーニングの専門家なので、競技力向上に直接的に影響を与えることは難しいのです。

S&Cコーチが競技の技術や戦術に関してあーだこーだ言ってしまうと、競技コーチとの線引きが難しくなってしまいます。

たとえば、しっかり競技の勉強(コーチのライセンスを取って、競技コーチとして指導経験を積むなど)をして、競技コーチの了解を得たうえで指導するのならまだわからなくもないです。

それらのプロセスを経ずに中途半端な知識のまま技術面での指導をしてしまうと、競技コーチへのリスペクトに欠けますし、中途半端な知識で技術指導をした結果、選手の競技力低下やケガに繋がってしまう可能性もあります。

2.S&Cコーチができること

じゃあS&Cコーチには何が出来んの?ってことですが、S&Cコーチはトレーニングの専門家なので、身体能力の向上とケガのしにくい身体作りのサポートが主な仕事です。

たとえばサッカーの場合、トレーニングすることによって「走る・跳ぶ・止まる・切り返す」などの身体能力を能力を向上させることで、

・足を速くする→スプリントで相手より速く進める

・動き出しが速くなる→相手にボールが入った時すぐにアプローチできる、オフザボールの動きで相手を置き去りにしてフリーでボールを受けられる

・ジャンプ力が向上する→ハイボールで競り勝てる

・しっかり止まれる&切り返せる→DF時相手に振り切られない、最後までついていける

・コンタクトで負けない身体を作れる

この可能性が高まるわけです。

もちろんサッカーにはボールもあるし相手がいるので、「走る・跳ぶ・止まる・切り返す」能力を向上させただけでは、上述した効果が得られるとは限りません。

なので、上述した効果を得るには、向上させた身体能力を使いこなせるよういっぱい練習する必要があります。

たとえ能力として動き出しが速くなったとしても、相手に速く寄せようという意識がないなら簡単にボールを持たれてしまいます。

たとえスピードや切り返しの能力が向上してフリーでボールを受けられるようになっても、そもそもシュートの打てる位置にボールを止められる技術がないならゴールにつながりません。

練習の中で、向上した身体能力を最大限使いこなせるよう意識しながらプレーすることで、さらなる競技力向上が見込めるわけです。

ただ、いっぱい練習するということはそれだけケガのリスクが増えることにもなります。

そこで役立つのが、トレーニングによって強くなった身体です。

筋力・パワー・柔軟性を向上させた強い身体は、高強度な運動(つまり練習や試合)にも耐えられる可能性が高まります。

高強度な運動(練習や試合)に耐えられる身体で、向上した身体能力を意識しながら(使いこなせるよう)いっぱい練習するから競技力が向上する。。。

その身体を提供する。

これがS&Cコーチのできることです。

3.そんなことやるよりも…

本筋からは少しそれちゃうかもしれませんが、サッカー選手の間でいわゆる体幹(たぶん胴回りのこと)トレーニングが行われている風景をちょくちょく目にします。

相手とのコンタクトで負けないとか、切り返しで身体が横に振られないようにとか、ようは「体幹を強くするとそれらの場面で大いに役立つ」と信じられているから、みんな取り組むわけです。

考えて欲しいのは、「強くするため」にかかっている負荷は自体重程度です。

トレーニングにおいて重要なことの1つに漸進性過負荷の法則があります。

ずーーーっと自体重程度の負荷でトレーニングし続けることは過負荷になるでしょうか?


また、サッカーの試合の中継なんかを見ていると、実況の方が、

「この選手は体幹が強いですね〜」

なんて言っているのもいまだに聞きます。

ただ上の写真のような場面で体幹が強いと本当にコンタクトで勝てるのでしょうか?

力を発揮してがんばっているのは身体のどの部分でしょうか?

もちろん体幹部分も力を発揮しているとは思いますが、大部分で強い力を発揮しているのはどう考えても下半身の筋肉でしょう。

べつに体幹トレーニング自体を否定しているつもりは全くありません。

もちろんコンタクトの時には体幹部分の筋力も大事です。

下半身をしっかり鍛えたうえで体幹トレーニングをしているなら何も問題はないです。

実際は体幹トレーニングをしている選手たちも、それ以外で下半身のトレーニングを懸命にやっているかもしれません。

ですが、試合の中継でいまだに「体幹が強いですねぇ〜」という発言が聞こえる状況なので、そこまで下半身を鍛えるということに重要性を感じてはいないんだろうなぁと思います。


何が言いたいかというと、体幹トレーニングに限らずですが、

「〇〇という目的を叶えるためにやっている✖︎✖︎という運動よりも、▲▲という運動のほうが効率的だし効果的だよ」

ということが結構あるので、しっかり情報を見極めて取り入れるか判断しましょうというわけです。

まとめ

今回はサッカー選手にS&Cコーチができることについて書きました。

こういうことを書くと、「お前は身体能力を向上させるだけで、その選手が上手くならなかったら選手と競技コーチの責任にするのか!」

とか言われそうですが、実際S&Cコーチにできることなんてこんなもんです。

テキトーな知識で技術指導して選手に悪影響を与えるより、自分にできることをしっかり把握して、競技コーチや選手にリスペクトの気持ちを持ちながら、自分にできることをまっとうする。

それが「プロフェッショナル」だと思います。

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