謎のインド人

昨日の焼肉は美味しかった。また行きたい。
エアビー清掃のお仕事の後、シェアメイトの働いているお店のパーティーに呼ばれている。ネパール人が経営しているレストランのため、インド人も呼んでみた。既読がつくが、返事がない。食べ物にヒンドゥ配慮してくれるよと送っても返事が来ない。
寂しいけど仕方ない。変な日本人と関わってしまったと彼は後悔しているのだろう。部屋を片付けて気持ちも整理したい。パジャマと座椅子カバーを洗濯する。目の前にある現実(スマホ)を見ないように、ちょっと先の現実に目を向ける。頼まれている申告書類の作成。
私は気づいて、徐々に認めようとしていた。インド人はもう友達ではないのだ。また変な外国人に引っかかってしまった。もともとバーで知り合っただけの得体の知れないインド人だったし。なんらかの詐欺師だったのだろう。何を狙っていたのかは知らないが、推測するに、私に友達が多いことを察して撤退したのだろう。友達が多い人は騙しにくいとマニュアルにも書いてあるのだろう。実害はなかったし、頭のおかしいパーティーして楽しかったし、この件は友達に愚痴ってから忘れることにしよう。

私は騙されやすいけれど、なんでも友達に話すから詐欺られ途中で明るみになる。良く言えば疑うことを知らないピュアな人間。しかし実態は、人をよく見ることが苦手で深く考えることを放棄している。これからもそう、治らない。父母に対してネットや機械の知識が無さすぎると呆れるが、私こそ社会を生きるのにぼーっとしすぎている。ほらほら、ここにいいカモがいますよ。これに懲りずまた、バーに変な友達を作りに行こう。中にはいい人がいるだろう。

こんなことがあると、私は恋人を欲しているのか?と思う。その瞬間を楽しめたらそれでいいのではなかったか。本当はそうではない?本当に私が望んでいることはなんだ。たまに運よくいいことがあればいいと思う。仕事があって、家があって、友達がいる、十分だ。それ以上の本当の望みは?心の奥底に聞いてみると、私の代わりに私のことを考えてくれる人が欲しい、と返事が来た。まるで自分の人生を仕方なく生きてるような、ひどい望み。でも実際そう。実際そうでも、社会人のふりして前向きに振る舞えます。ひどい望みなので誰に押し付けるわけにもいきません。みんな友達になりましょう。私と友達になっても、渡せるものはそこにいるだけ、くらいですが。

エアビー清掃に入った部屋で、冷蔵庫から水が漏れていた。その写真をまず送り、せっかちな大家さんが早とちりしないように補足の文面を丁寧に打ってる途中に、この写真どういうこと?って電話が来る。遮られて、それだけなのに舌打ちしたくなる。よくないコンディション。みんな、言いたいことばっかり言って!私への配慮は誰がしてくれるんだって気持ち。バブー。
宿泊料に対して大家さんの取り分がありすぎでしょう、と他の清掃メンバーと昨日話していたので、ちょっとくらい雑な対応してもいい気持ちになっていた。私のままの声。つまり、早口。寝不足の時、職場の人には怒ってるみたいと言われる。怒ってないのに。いつもゆっくり優しい声を出すよう気をつけている。一枚コーティングされていないと社会にいてはいけない。素のしゃべり方が怒っているみたいではダメ?それって誰が決めたの。今から行くパーティでは、優しくありたい自分をちょっと置いといて、好きなようにしゃべろう。

ここまで文字打ったところで、インド人から電話が来る。
メッセージ送ったのに見えてない?と言われて、LINEの不具合で、インド人のリプライが私に届いていなかっただけだったと判明。こんな文章を送ったよとスクリーンショットまでつけて。世界を呪いたい気持ちが消えた。
散々疑ったけれど、インド人はやっぱりいい人だったということか。ほっとした。思い込みで体が焼かれて焼き肉になっていた。じゃあ、これからもインド人とは友達でいられる。ほっとして、力が抜けた。英語しか話せない外国の人、言葉のニュアンスがわからないし、いい人か悪い人か判別できないし、騙されてないか身構えてしまうよねという話。
謎のインド人。まだ完全に信用したわけではないけれど、いい人だといいな。

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