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ライブ備忘録: ELLEGARDEN THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018 @ZOZOマリンスタジアム 2018.8.15 (後編)

さてさて後編です。いよいよ核心、ELLEGARDENのライブです。

ONE OK ROCKのライブも終わり、あたりは真っ暗、転換中はライトなどがほとんど点いていないため、アリーナの様子をあまり伺うことができておりませんでした。

余談ですが今回のライブ、場内でかかっていたBGMもまたグッとくるものが多かったです。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君という花」、ストレイテナーの「ROCKSTEADY」、10-FEETの「RIVER」、MONGOL800の「あなたに」など同世代でともにしのぎを削っていたバンドの曲がずっと流れていました。いずれこのバンドと対バンするときもやってくるのかな、とそのときはまだ遠い先のことのように感じていました。(まさか1年でNANA-IRO ELECTRIC TOURをやるとは。)

さあ、そうこうしている間に本番です。ELLEGARDENのアーティスト写真がスクリーンに映ると同時に大歓声が。いよいよです。この場所にいるほとんどの人にとってずっと止まっていた時計の針が動き出すのです。

SEの時点ではまだステージは真っ暗でしたが、前の方の観客の歓声でメンバーがステージに入ってきているのが確認できました。
SEが小さくなったとき、スタジアム3万5000人以上に向けてあの歌が歌われました。

「Nothing I can do as well but to dream her all the time~」

名曲「Supernova」の一節でした。事前にYouTubeで再始動前のライブ映像を観ていたので、ライブアレンジについては知っていたのですが、これが歌われたときの興奮はこれまで味わってきたことのないものでした。
通路を挟んで隣にいた女性のお客さんはこの歌いだしでもう泣いていました。

ドラムの高橋さんのカウントで正式なイントロへ。ここでステージが明転し、メンバー4人の姿を確認することができました。衣装も黒を中心とした休止前とほとんど変わらない出で立ちで、まるで2008年からそのままタイムスリップしてきたかのようでした。

再始動1曲目の「Supernova」が盛り上がらないはずがなく、アリーナ最前の方を見ると、見たこともない数の人がダイバーで溢れていました。

そして「No.13」、「Pizza Man」と次々とアップテンポの曲を連発。「Pizza Man」の叫ぶところ、ついにライブで叫ぶことができました。念願が叶い、とても幸せでした。

「こんばんは!!ELLEGARDENです!!」

3曲が終わった後の最初のMCで細美さんは高らかにこう叫びました。
今まで「the HIATUSです!!」と「MONOEYESです!!」というMCは生で聞いたことがあったのですが、
まさかこの言葉まで生で聞けるとは、復活のニュースを観るまでは1mmも想像していませんでした。

「少しだけ静かにしてくれ。おい、外のやつ!!聞こえてるか!!怪我すんなよ!!」

細美さんは続いてこうも叫びました。駅でのチケットを求める人の数から、音漏れを聴く人が相当の数いることは容易に予想できましたが、後でSNSで見た情報だと1万人以上だとか。(武道館が余裕で埋まります・・・)
スタンド席から外の声援がはっきりと聞こえました。今日の細美さんのMCは、チケットの有無に関係なくELLEGARDEN復活を待っていてくれたすべてのファンに語りかけているものなのだと、噛みしめることにしました。

「Missing」の前のMCで「懐かしい曲を1曲」と言っていたのですが、
「そんなの全部だよ!!」と心の中で叫んでいました。(BLUE ENCOUNTの江口さんもブログに書いていましたね。)
しかも「Missing」は4th Album『RIOT ON THE GRILL』(2005年)に収録されているので、バンドのディスコグラフィの中では一応新しい方に入ります。にも関わらず本人にとって懐かしい曲に入ってしまうのは10年の活動休止を挟んでいたからこその実感なのでしょうか。

「Missing」での最後の「重なって少し楽になって 見つかってはここに逃げこんで」の部分で細美さんは合唱を促していたのですが、その大きさはまさに現役のスタジアムバンドのフロントマンとしての振る舞いと、それに応えるファンという美しい関係が一瞬にして築き上げられた瞬間だと思いました。2019年のフジロックで細美さんはELLEGARDENのファンを「日本で一番シンガロングの大きいファン」と形容していましたが、それは活動再開のタイミングのこの「Missing」ですでに証明されていたものでした。

時期的には懐かしい曲であるにも関わらず、確実に今の曲として響いていたのは、サウンドによるところも大きいと思いました。
どのアルバムでも基本的に曲調は一貫しており、(『ELEVEN FIRE CRACKERS』のように細美さんの精神状態がダイレクトにサウンドに影響したアルバムもあるが。)Weezerなどに影響を受けたシンプルなギターロックを鳴らしています。
音楽のトレンドは日々変化し、2010年代となると毎年のように流行りのサウンドが違うなんてこともあります。
そのなかでロックバンドというフォーマットは世界的にも下火になっていき、アメリカビルボードのランキングではロックバンドのアルバムを見つける方が難しい、という状況にもなっています。
しかし、いつの時代でも普遍性を持った音があるわけです。シンプルであるからこそ時代やトレンドに関係なく、いつ聴いても最高と思わせてくれるのだと思いました。
ましてや、4人それぞれが別バンドで10年間音を鳴らし続けたことや、10年ぶりというノスタルジーなど、様々な要因も結びつき、
このライブでしか出せないカタルシスが生まれていたのだと思いました。

中盤では「Lonesome」といったレア曲も演奏され(ライブ後にツイッターを見たらトレンド入りしていました。)、いよいよ終盤へ。メンバーそれぞれの挨拶では特にドラムの高橋さんの、

「心のどこかで、もうELLEGARDENでライブをやることはないんじゃないかと思っていた。でも今回ライブが実現して本当に嬉しい。」

という言葉が印象的でした。

メンバー本人たちでもわからなかったバンドの復活。4人それぞれの葛藤があったことは容易に想像できるが、自分たちの意思で活動休止を選択したからこそ、休止前以上のものを見せないといけない、という思いもどこかにあったのでしょうか。現にメンバーがソロで活躍すればするほど、ELLEGARDENというバンドに対するハードルは休止中であろうとどんどん上がっていたような気がしました。
そしてこの日のライブでは、時折見せるメンバーの笑顔が印象的でした。10年という時を超えて、バンドで楽しく演奏ができることをメンバー自身が一番楽しんでいる様子がとても伝わってきました。

「Red Hot」、「Salamander」、「ジターバグ」、「虹」。本編最後の4曲は、この「楽しんでいる」という様子が特に伝わってきたブロックでした。
個人的には「ジターバグ」は予備校時代にずっと聴いていた音楽であったり、「Red Hot」は高校の同級生のバンドがコピーしていたのを聴いたりしていたので、それらの思い出も相まって、他では感じたことのない高まりを覚えました。
今まではiPodから聴いているだけだったので、いわば耳の中でELLEGARDENの音楽は完結していました。でも、ついに耳だけでなく体全体でELLEGARDENの音を浴びることができました。
こんな単純なことがどれだけ幸せなことなのかは自分だけがわかっていればいい、とさえ思っていました。

「虹」で本編が終わり、アンコールへ。アンコール1曲目は待ち望まれていた「Make A Wish」。個人的にもこの曲でアリーナがどのくらいサークルモッシュができるのか、とても楽しみにしていました。
結果は予想通り、モミクチャの嵐でした。それはスタンドから見ていてもとても気持ちの良いものでしたが、それ以上にすごかったのはシンガロングの大きさでした。
音源を聴いているときから、この曲をライブでみんなで歌えたら絶対気持ちがいいだろうな、と思っていましたが、所詮は想像。現実はそれを軽く超えていきました。自分で叫んでも楽しく、スタジアム中の歌声を聴くととても奮い立ちました。これはアリーナでモッシュに参加したかったです。(2019年のフジロックでスタンディングで観ることができました。)
「月」はそこまでたくさん聴いてきたわけではありませんでしたが、優しいメロディと風景描写の豊かな歌詞がとても心に残りました。ライブ後に音源をリピートし続けるきっかけにもなりました。

演奏が終わりメンバーが退場したので、終了かと思いましたが、数秒で再びリターン。このとき細美さんはすでに上の服を脱いでいました。そして演奏された曲は「BBQ Riot Song」。短い時間で再びテンションをトップギアに上げてくれました。最後の歌詞、

「I remember you. See you some time on the beach.」

という言葉はストレートにまたライブ会場で会おう、というメッセージなのだと思うと、ELLEGARDENの復活がこの年だけのお祭りなのではなく、これからも自分たちのペースでやっていく、という決意表明のようにも思えました。この曲がセットリストの最後だからこその妙ですね。

ELLEGARDENの復活ライブは、活動休止前を知らない自分にとっては休止前の彼らがいかにすごかったか、そしてどれだけ後輩のバンド・アーティストに影響を与えていたかを知る機会になったし、(実際会場には多くの著名バンドマンが来場していた。)何よりこの令和の時代(ライブ当時はまだ平成だが)に装い新たなモンスターバンドの誕生の瞬間を目の当たりにした貴重な瞬間でした。
Hi-STANDARDやLUNA SEA、THE YELLOW MONKEYなどこの10年くらいで多くのバンドが再集結を行い、その度に新たな熱狂を生んでいるが、ELLEGARDENの復活は間違いなく、というか現在進行形で音楽シーンに熱を生み出していると思いました。
この情勢なのでまたすぐにELLEGARDENのライブを観ることは難しいかもしれないですが、今度はライブハウスでもみくちゃになりながら観てみたいです。

セットリスト

1.Supernova
2.No.13
3.Pizza Man
4.Fire Cracker
5.Space Sonic
6.高架線
7.Missing
8.スターフィッシュ
9.The Autumn Song
10.風の日
11.Middle Of Nowhere
12.Surfrider Association
13.Marry Me
14.Lonesome
15.金星
16.サンタクロース
17.モンスター
18.Red Hot
19.Salamander
20.ジターバグ
21.虹

22.Make A Wish
23.月

24.BBQ Riot Song


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