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Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「藤本純輝」/ 計算と自然、平面と空間、相反する2つの両面を緻密に表現

Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介

今回は藤本純輝さんについてギャラリストの説明をもとに、ご紹介します。
藤本純輝さんの作品は「」という言葉がとても似合います。藤本さんはキャンバスを「庭」と表現されます。そう言われるととてもしっくりきます。色や線、ブラッシングや削ること、そういったモチーフ、記号をキャンバスにのせていく作業に時間をかけて、どのようにのせるかを考えています。キャンバスは2枚貼られていて、キャンバスの白は塗られた白色になります。
1本目を引いた後、どのくらいの距離感でどのくらいの強さで次の線を引くか考えるので、余白にも緊張感がしっかりとあります。この緊張感は投げやりで描いても生まれず、藤本さんの精神やコンセプトがあって生まれる緊張感になっています。
藤本さんは大学4年生まで描きたいものがなかったそうです。そこで、自分の人生の中で好きなものや影響を受けたものを改めて考えたとき、出てきた答えが妖怪が好きだということでした。妖怪は日本の発祥で八百万の自然界のどこかに宿ってる魂が妖怪となって出てきたと言われています。八百万という考え方はアジア、特に日本的な考え方で、となりのトトロも子どもにしか見えない森の妖精で八百万だと考えられます。妖怪が好きで、もともとそういった考え方が備わっていた藤本さんが記号をのせる事で自然や静的なもの、そして禅を感じさせる作品になっています。
今の現代アートというと、色がカラフルでデザイン的なものが多く存在する中で、藤本さんの作品はとても静かな空気感を放ちます。無意識で鑑賞者が藤本さんの作品に目が留まるのはそういった自然や静的なもの、日本人が本来備わっているものにアクセスするからだと思います。
削られて立体になっている部分は影になり、花のように見えます。これは照明を利用した空間演出になっていて、見た目が平面的なものに見えて、実は空間を利用しているところも面白いです。




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