アンディ【アートライター】

「このアートってどういう意味?」をわかりやすく解説。アート深堀りnote。 プロフィー…

アンディ【アートライター】

「このアートってどういう意味?」をわかりやすく解説。アート深堀りnote。 プロフィール▶https://potofu.me/andyartwrite

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【大阪心斎橋】グループ展『点線面立体』 by Marco/ 穏やかさと強さの共存

今回は心斎橋にあるグループ展『点線面立体』 by Marcoを拝見した。 Marcoさんは各展示のタイトルと作品がマッチしている印象がある。また、そのタイトルに沿った最高の形で展示されている。今回も例に漏れずその印象を受けた。 Marcoさんの展示をご覧になる際は、是非初めにタイトルのコンセプトを一読いただきたい。 展示コンセプト では、「点線面立体」とは一体どういうことだろうか? ギャラリーでは以下のようなことが書かれている。 点が集まり線となり、線が集まり面となる

    • 新井碧 個展『鼓動のりんかく』by chignitta / 電気が走るような感覚

      今回は大阪のchignittaで開催中 新井碧さんの初個展『鼓動のりんかく』 を拝見しました。 新井さんの作品は以前yomafigさんのホテル企画で拝見したことがあるのですが、そのときよりもより緊張感が増したように思えます。 その違いはやはりのペンで描かれているか否かという部分かと思われます。大胆な色使いにペンで書き加えることで、まるで静電気のように静かに肌を刺す感覚を覚えます。他の言い方をすれば作品に血管が加わり、血が通い始めた感覚です。 「命の痕

      • 『スタジオハイデンバン』アトリエツアー:高瀬栞菜 / 伝える作品から感じさせる作品へ

        先日、京都にある『スタジオハイデンバン』のアトリエツアーに参加しました。 このアトリエツアーはアートコレクターの奈良大和さんが企画されて実現しました。奈良さんはこのように個人で企画されることが初めてだそうで、一人のサラリーマンも想いがあれば素敵な企画を実現させることができると証明してくださって、とても勇気を与えられました。クラウドファンディングも初めて使われたそうですし、何より企画を持ち込んでアトリエの方々を巻き込んで実現まで至らせる奈良さんの人間力に感銘を受けました。 今

        • My collection No.6『西村昂祐/trace reproduction4』 / 物を認識する情報の行方

          My collection No.6 『西村昂祐/trace reproduction4』 本日は僕がコレクションさせていただいた西村昂祐さんの作品をご紹介させていただきます。 購入したのは少し前になるのですが、大阪にあるギャラリー「イグエムアート」さんで西村さんの個展が開催されており、その際に拝見してとても惹かれた作品です。 西村さんの作品のコンセプトは「複製の相違点」で、複製された物それぞれにオリジナリティがあるという考え方になります。この考え方は現代の資本主義やアート

        【大阪心斎橋】グループ展『点線面立体』 by Marco/ 穏やかさと強さの共存

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          【会期終了】COCOTO グループ展『EVO』出展作家紹介「大学」 / 見慣れた風景から感じるもの

          COCOTO グループ展 『EVO』出展作家紹介 今回は大学(おお まなぶ)さんをご紹介したいと思います。 大さんは見慣れたものをモチーフとして、CGや写真など使わずに全て自身の手で描かれています。 忠実に再現された絵画は、普段見慣れたものを俯瞰して見ることができて、いつもは何気なく見ていたものもその当時の思い出が蘇ったり懐かしく感じます。 実物を見ていても感じず、絵画を通すことで俯瞰し感情が蘇ることに気付かされる作品です。 また、大さんは別の作品で見慣れたおもちゃのパッ

          【会期終了】COCOTO グループ展『EVO』出展作家紹介「大学」 / 見慣れた風景から感じるもの

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「藤本純輝」/ 余白部分の濃淡が作品の美しさを際立たせる

          Y gionグループ展 『exhibition from shu』出展作家紹介 今回は藤本純輝さんをご紹介します。 藤本さんの作品は、他の作品と並べても一ひときわ目立つ存在で、20代とは思えない余裕と落ち着きのある雰囲気を感じさせます。 しかし一方で、しっかり見ていくほどに、どれほど一つのキャンバスに向かい合う気持ちがあれば、これほどまでに繊細な作品ができるのか非常に興味の湧く作品でもあります。 全神経を研ぎ澄まして一本の線や穴を描いているように感じます。余白があることで

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「藤本純輝」/ 余白部分の濃淡が作品の美しさを際立たせる

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「岡田佑里奈」/ 二極の狭間を感じられる作品

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介 今回は岡田佑里奈さんをご紹介します。 モノクロ写真とひび割れを組み合わせた作品はかなり独特で、色鮮やかで斬新さが際立つものでもなければ、作業工程を少なくしたシンプルなものにも見えない。そのどちらとも言えない、静と動、平面と立体、未来と過去、それぞれの狭間にいるような感覚になる作品です。 写真だけでも十分作品になるクオリティで、あえてその写真を劣化させたようにすることで、見た人それぞれ感じるものがあ

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「岡田佑里奈」/ 二極の狭間を感じられる作品

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「松岡柚歩」/ 向きによって表情を変える作品

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介 今回は松岡柚歩さんを紹介します。 更新が遅くなってしまいましたが、作品を見たときの印象はずっと残ったままです。松岡さんの作品の面白いところは、モチーフが洋服などの柄の拡大したもので、具象と抽象の行き来をされているところで、加えて物質感のあるものを上に塗って印象を変える部分でもあります。柄の部分も線が重なっている部分の立体感がとても見ていて心地良いです。 さらに今回見て気づいたのは、松岡さんの作品

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「松岡柚歩」/ 向きによって表情を変える作品

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「三浦光雅」/ 苦悩を乗り越え示した三原色の世界

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介 アトリエshuで制作されている作家さんにスポットライトを当てたグループ展で、皆さん大変人気のある作家さんです。 今回は三浦光雅さんを紹介します。 今回のグループ展の作家さんはいずれもビジュアルが大変特徴的で、アイデンティティがあるのですが、実際に見ると支持体に込められた奥行きに感動させられます。 三浦さんの作品も実物を見ないと感じられない魅力があります。前回はA4サイズの作品を展開されていまし

          Y gionグループ展『exhibition from shu』出展作家紹介「三浦光雅」/ 苦悩を乗り越え示した三原色の世界

          今週末に見に行きたい作品展一覧

          GW中、作品展に行くことタイミングが無く、アートに触れる時間が少なくなったことで、改めてアートに触れることの大切さを実感しました。 そこで今回は、今週末に見に行きたい作品展をご紹介します。 1. 山田千尋 個展『ユニーク』 by NOMART 4/17~5/22 山田千尋さんの初の個展で、ギャラリーもNOMARTさんなので空間も最高です。 NOMARTさんは大阪、深江橋駅の近くにあります。 2. 個展『誰そ彼時』 by igu_m_art 5/6~5/11 どなたの個展な

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          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「東春予」/ 手描き漫画の在り方

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回は東春予さんを紹介したいと思います。 高校時代に漫画家としてデビューするくらいの実力のあった東さんは、漫画業界と関わっていく中で漫画に対する違和感を覚えたそうです。 現在の漫画はカルチャーというよりもメディア、ツールとして用いられることがあり、資格本でも漫画が用いられています。そういった現在の漫画としての在り方を問いただしたいと思われたそうです。 現在はデジタルで描かれることが一般的となりつつありますが、手描きの手癖、

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「東春予」/ 手描き漫画の在り方

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「新井和洋」/ 古い記憶と懐かしい声が蘇る

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回は新井和洋さんを紹介します。 幼い頃の記憶を絵画という形で保持することを考えておられる作家さんで、今回の作品もとても懐かしいものがモチーフになっていました。個人的には、ゲームソフトではなくパッケージをモチーフにされているところとても好きです。開けたときに付くシワは、プレゼントで貰って開けるときのワクワクを思い出します。 また、懐かしい音楽を聴いたときに当時の情景が思い浮かぶように、この絵を見ていると、その当時の記憶を鮮

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「新井和洋」/ 古い記憶と懐かしい声が蘇る

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「kinjo」/自分らしさとグラフィティがポップな形で表現されている

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回はkinjoさんについてご紹介します。 ギャラリストの言葉を借りると、kinjoさんはアイデンティティとカルチャーで描かれていても、見てすぐに良いと感じられる作品になっています。感情だけで描かれておらず、ポップで温かみを感じさせるkinjoさんは、自分の生い立ちや環境をとても理解されている方だと思います。 kinjoさんはご家族の方からアメリカンなお菓子が送られてくるそうで、アメリカンなキャラクターに触れている時間が人

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「kinjo」/自分らしさとグラフィティがポップな形で表現されている

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「松岡柚歩」/ 抽象と具象の往復

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回は松岡柚歩さんをご紹介します。 洋服等の柄を拡大したものを支持体に落とし込んでいてます。松岡さんは分解癖があるそうで、多くの人がやっていたものでいうと、ボールペンを分解してバネなどパーツごとに分けるようなことです。そういった分解癖が松岡さんの作品の根底にあり、「木を見て森を見ず」という言葉があるように、ボールペンが森で、バネが木というように、洋服や柄、テキスタイルが森で、そこから拡大していって新たな柄や繊維を見つける

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「松岡柚歩」/ 抽象と具象の往復

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「高橋知裕」/ キャンバスに血が通っていた

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回は高橋知裕さんについてご紹介します。 ラッパーでもある高橋さんは、キャンバスに血を通わすことができます。どういうことかと言いますと、言葉に重みや責任を伴うラッパーは、言葉に血が通っています。それと同様に絵にも血を通わすことが出来るのが高橋さんです。 高橋さんは、ぬいぐるみに魂を宿すことに長けており、生き生きとした表情を描かれています。具体的なモチーフを使うことは鑑賞者の視点を狭めて考える余白を無くしてしまう可能性があり

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「高橋知裕」/ キャンバスに血が通っていた

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「藤本純輝」/ 計算と自然、平面と空間、相反する2つの両面を緻密に表現

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 今回は藤本純輝さんについてギャラリストの説明をもとに、ご紹介します。 藤本純輝さんの作品は「禅」という言葉がとても似合います。藤本さんはキャンバスを「庭」と表現されます。そう言われるととてもしっくりきます。色や線、ブラッシングや削ること、そういったモチーフ、記号をキャンバスにのせていく作業に時間をかけて、どのようにのせるかを考えています。キャンバスは2枚貼られていて、キャンバスの白は塗られた白色になります。 1本目を引い

          Marco グループ展『Boder』 出展作家紹介 「藤本純輝」/ 計算と自然、平面と空間、相反する2つの両面を緻密に表現