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出雲文化をテーマにした社内研修を任されたんだが…③

こんにちは、あんでぃです。

社内研修で出雲文化を学ぶという講座を任されたというオハナシ。

2回目の前回は、参加者にアンケートを取り、みなさんの課題意識が大きく以下2つあることが判明しました。

①出雲文化がそもそもわからない
②出雲文化をうまく伝えられない

そして、①については各自が独自の出雲文化観を作って欲しいということ、
また、②については、主観的な体験や意見が重要だということをお伝えしました。

さて、3回目の今回はどうやってストーリー性を持って伝えるかについて考えていきます。

なぜストーリー性を持って伝えるのか?

講座の参加者がアンケートの中で
『お客様に説明する時にストーリー性を持ってワクワクした話し方ができるようになりたい』
と答えてくれました。

おそらくどなたか先輩が、お客様にストーリー性を持って出雲文化を伝え、お客様が喜んでおられる姿をみてきたのでしょう。
たしかに、島根で1-2年しか生活をしていないスタッフが出雲に興味を持って何度もきているお客様と出雲文化について語り合うのはとても緊張することだと思います。
ワクワクした話し方をしている先輩を見て、あんな風になりたいと思うのは当然のことです。

私は10年以上この地で生活しているので、それなりの地域文化の知識や、どんなことを聞かれるのかという経験が蓄積されています。
しかしながら、出雲文化は奥深く、幅広いので、まだまだ知らないことだらけ。
その中でお客様に喜んでいただけるポイントは何だろうか?
そう問いかけると、思いつくのは『点と点を結ぶ』ということです。

自分が経験してきた点を数多く集め、
お客様の興味関心や希望に結びつけて提案する。
そして、お客様の旅行にとって新たな価値を生み出す…
そんなイメージです。

具体的に、最近あった出来事を紹介しますね。

とあるゲストとの会話から

界 玉造には日本酒BARという素敵な空間がありまして。
島根県中の地酒を取り揃え、地元の窯元のお猪口で飲み比べてする体験を提供しています。

ここでは、日本酒の基礎知識や翌日の観光案内など、ゆっくりお客様とお話しすることができます。

つい先日のことでした。
ご両親とお嬢様と3人でいらっしゃったご家族とお話ししていた時のこと。

「どちらからいらしたんですか?」

父:「静岡の三島です。」

「え、三島ですか?三島と言えば、三島大社ですね。あちらは事代主命(コトシロヌシノミコト)が祀られていますよね。とっても出雲と関係していますよ。」

(驚いた顔で)父:「あ、そうなんですか!」

「実は島根半島の最東端に美保関という港町がありまして。そこには恵比寿様の総本社と言われる美保神社があるんです。」

(興味津々)父:「え、それは気になるな。」

「しかも、大黒様の出雲大社と恵比寿様の美保神社を参ると両参りといって、よりご利益をいただけるといいます。恵比寿様は釣りが大好きなので漁業・海運、また鳴り物が好きなので音楽・芸能に神徳があると言われています。」

(お嬢様を眺めながら)父:「それはいかなきゃだな。」

「是非是非。美保関は中世には北前船と行って日本海航路の交易の寄港地として栄えた場所でもあります。青石畳通りといって、石畳の道を潮の香りを感じながら歩くのは風情がありますよ。
その先には老舗のお醤油屋さんがあります。そちらの甘露醤油は我が家でも愛用しているおすすめの一品です!」

(驚いた顔で)お嬢様:「ちょうどお醤油買いたかったの!」

「ここのお醤油はぜひ一度試していただきたいです!あとは神社の目の前に売店があって、そちらで食べられる白いかも、ぜひ波の音を聴きながら食べてみてください。」

(笑顔で)母:「白いかたべたぁ〜い!!」

こんな感じの会話を交わしました。

お客様のドラマの脚本に色をつける

さてここで、お客様の今回の旅行を映画の脚本として捉えてみましょう。

初めは、お客様の映画の脚本は、とてもぼんやりとしたものでした。
明日はなんとなく有名な観光地を巡り、飛行機の時間に合わせてなんとなく美味しそうなものを食べてから飛行機で帰路に着く。
そのようなストーリーが描かれてたと予想されます。

しかし、気づけば、その脚本にはたくさんの書き込みがされています。
どんなロケーションで、
どんなキャストと出会い、
何を見て、
何を聞いて、
何を食べて、
何を嗅いで
何に触れて、、、
五感で味わう体験が、自分の人生という大きな映画のストーリーの一部となっていく。
そんな色彩豊かな脚本がしっかり出来上がると、この旅が本当に意味のあるものだったと感じるようになっていく。
私たちはそんな脚本作りのお手伝いをすることなのではないか、なんて思います。

私たちの何気ない一言が、お客様にとってはかけがえのない体験になることがあります。
そんな奇跡が起きることを常に忘れずに、日々の自分の体験をしっかり味わっていく。
今度の社内研修では、そんな思いを伝えられたらいいな、なんて思います。


ちなみに、今回の社内研修は、会社全体のビジネススクール「麓村塾(ろくそんじゅく)」をベースに、界 玉造の施設内で行っています。
麓村塾は星野リゾートの制度の中でも、「自分でキャリアを切り拓く」ために重要な仕組みの一つだと思います。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。


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