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【サービスチーム#2】サービスチームの旅館に宿泊するゲストは何を感じているのか?

こんにちは。あんでぃです。

『おもてなし産業をかっこよく』
を合言葉に、星野リゾートの働き方の特徴であったり、
現場で働いていて感じることなどをお伝えしていきます。

さて、前回は星野リゾート独自の働き方でもあり、公式サイトにて組織文化として紹介されている「サービスチーム」について語りました。

縦割りで固定した業務をするのではなく、さまざまな業務をこなす(マルチタスク)の働き方。
今回は、サービスチームがお客様にとってどんな影響があるのか?
について考えてみます。
イメージしやすいように、とあるご夫婦が宿泊体験を想像してみましょう。

初めて星野リゾート界 出雲に泊まってみたご夫婦

かねてより予約していた星野リゾート「界」に宿泊する日がやってきた。
子育ての手が離れるまでは、観光、といっても子供が楽しめる場所を優先にしていて、宿泊施設についてはあまり深く考えてこなかった。
しかし、就職により子供が家を出ていった。
妻と二人で何も気にせずゆっくり旅行できるようになったこの機会に、宿でゆっくりしよう、と思い立った。
先日訪れた妻の友人からいい噂を聞いていた界 出雲に宿泊することにした。

レンタカーで界 出雲に到着。
お出迎えしてくれた男性スタッフの笑顔が気持ちいい。
そのままスーツケースを片手にお部屋まで案内してくれた。
お部屋でチェックインの手続きをしながら、明日の予定を聞かれた。
かねてより参拝したかった出雲大社への思いや、妻と二人きりの旅行は久々なことを語ってしまったのだが、お仕事中にも関わらず嫌な顔一つせず聞いてくれてとても好感が持てた。
こちらの宿は出雲大社へのお詣り支度ができる宿だそうで、明日の参拝がますます楽しみになった。

客室のベランダからは遠く日本海に沈む朱に染まった夕日を眺めることができた。
ここ最近、妻とこのような贅沢な時間を過ごしたことはあっただろうか、となんだからノスタルジックな気持ちになった。

日もすっかり暮れて、お食事会場へ。
すると、夕食を担当してくれたのは先ほどチェックインをしてくれた男性スタッフだった。
決して、饒舌な方ではないのだが、なんだか安心する。
地元の食材をふんだんに使用した手の込んだ懐石料理に妻の表情も自然と綻ぶ。

妻が気に入った器の話をしていると、こんなお話しをしてくれた。
どうやら大正時代に出雲地方では民藝運動というものが盛んだったそうだ。
それまで陶芸品は一般的には観賞用として認識されていた。
しかし、日常に使用できる用の美としての手仕事の文化を育んでいこうという民藝運動へと繋がっていった。
そして、その民藝運動から始まった窯元「出西釜」では作品を購入することができるだけでなく、隣接された工房では各工程ごとに職人さんたちが作業している姿を間近でみられるとのことだった。
男性スタッフは、夫婦二人でマグカップを揃えてみるのはいかがでしょう?と提案してくれた。
我々のこれからの新しい生活をイメージして、そのような情報をいただけるのは非常に嬉しかった。
会話の節々に子育てを終えた私たちへのねぎらいの気持ちが伝わってきたのだ。

地元の日本酒を楽しみながらほろ酔い気分で大浴場へ。
磯の香りを感じながら、露天風呂に設えられた寝湯で満点の星空に夢心地になる。
明日への活力が静かにふつふつと湧いてくる気がした。

風呂上がりには楽しみにしていたご当地楽の時間だ。
界の各施設では地元の文化や伝統を体験できるご当地楽というものを体験できる。
ここ界 出雲は石見神楽の演目「国譲り」。

出雲の地を治める大国主が、天照大神の使いの神に出雲国を譲る神話を舞いで表現したもの。
豪華絢爛な煌びやかな衣装、夜景をバックに篝火を焚いた幻想的な雰囲気も相まって、古代の神々の世界に浸ることができた。

驚きは神楽が終わった後のことだった。
お面を外し、そこに現れたのは、なんと先程の男性スタッフではないか!
チェックインや夕食だけでなく、ご当地楽まで担当するとは、、、
隣に座っている妻は彼の顔を確認するなり、私以上に興奮しており、同時に私も妻の子供のようなはしゃぎっぷりに嬉しくなった。

ただ宿泊するだけでなく、その体験を思い出深いものに演出してくれる彼の活躍に感謝してもしきれなかった。。。

サービスチームでしかできない旅の演出

たくさんのお客様と接していて、
「さっき、チェックインしてくれましたよね」
や、
「昨日、神楽舞ってましたよね。感動しました!」
といったお褒めの言葉をよくいただきます。
お客様の立場からすれば、
「大勢のスタッフのうちの一人」から、
「自分と関わってくれたスタッフ」となり、
「自分の旅に花を添えるような演出をしてくれるスタッフ」となるのでしょう。

それはまさにサービスチームだからこそできること。
常に接するお客様の立場になって考え、どういった関わりができるのか?
そんなクリエイティブな提案ができるのがサービスチームの醍醐味といえるのではないでしょうか。

『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。



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