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絶対に勧められない映画『関心領域』

※この記事はネタバレを含みます


昨日は、映画の日だったので、朝一からずっと心待ちにしていた
『関心領域』を鑑賞。

TOHOで観たかったので、近所のTOHOではやっておらず、日比谷まで足を運びました。

映画の日ということもあり、朝一から8割ぐらいは埋まっていました。

filmarksで口コミは少し読んでいたので、不協和音には一定の心の準備ができていました。

映画が始まると、不協和音とスクリーンに映し出される真っ暗な画面が2分ほど(もっと短いかも)が続きます。
私は序盤が一番きつかったです。
体感的にとても長く感じたので、目を瞑ってました。

序盤のきつさで言うと、『TAR/タ―』も発狂しそうになったのを
思い出しました。こちらは中盤からはなかなか面白かったです。


『関心領域』は、ほぼ何も起こりません。
おそらく大半の方は退屈で眠くなる映画かと思います。

あらすじは、アウシュビッツ収容所の真横で平然と幸せに暮らす家族の映画です。

これだけ聞くと観るのが辛い戦争映画なのかなと思うかもしれませんが、
映像的には辛い・怖いシーンは一切ありません。

ただ恐ろしい映画であることは間違いありません。

私が一番恐ろしかったのは、ルドルフ・ヘスの奥さんです。

収容所のユダヤ人が着ていたと思われる毛皮のコートを試着する嫁


なんかこの人見たことあるなあって思っていたら『落下の解剖学』のお母さんでした。
こんなにも話題作に立て続けに出演されてるとはすごい活躍

奥さんは、真横で大量のユダヤ人が虐殺されているのにも関わらず、平然と暮らしています。
ユダヤ人が着ていたコートや口紅さえも試しては自分ものにします。

そして夫から転属が決まったと告げられ、この生活が続けれられないと思うと、超ヒステリックに夫に詰め寄り、
「あんただけ行きなさい!!」
「私はここで子供たちと幸せに暮らす!」と

あるシーンでは、お手伝いさんに対して、
「夫に頼んであなたを灰にして撒き散らすわ!」と激高します。

夫は奥さんとは真逆な性格でお家では温厚な良き父親です。

幼い娘が眠れないときは、毎回『ヘンゼルとグレーテル』を読み聞かせをします。

この童話も皮肉なもので、子供たちを焼いて食べようとした魔女を逆に子供たちが気づいて魔女を窯で焼いてしまうという物語。
収容所で実際に起こっている現実と重なります。


もう一つ、私的にぞわっとしたシーンがありました。

それは、長男が弟を温室に閉じ込めるシーン。
庭で遊んでいた弟を無理やり抱き、ビニールハウスに閉じ込める行為が、
まさにユダヤ人に対する行為と重なり、無自覚な残虐性を生んでしまっていると感じました。

兄弟たち


母親は、子供たちにとっても最高の環境と言ってましたが、どこが最高なのでしょうか。眠れない娘、収容所での出来事が当たり前となり、残酷とさえ気づかず、無慈悲となる息子たち。

この映画の中で大きな展開となっているのは、奥さんの母親がこの家に訪れるもこの環境に耐えられなくなり、置手紙だけ残し突如帰ってしまうシーン。

奥さんの母親の行動が一般的だと思います。
ただこの家族にしたらこの日常が当たり前。
隣から悲鳴や銃声が聞こえようと、隣で何千の人が燃やされようとそれが彼らの日常です。


世界各地で今も戦争が起こっており、毎日ニュースで報じられていますが、ロシアがウクライナ侵攻を始めたという日の報道を知った時よりも戦争への関心が薄れてきているように思います。
イスラエルとハマスの戦争にも遠い国のこととしてそこまで関心を示せてない自分もいます。

毎日ふかふかのお布団で寝て、温かいご飯を食べられることが当たり前ではない人々の方がもしかしたら多いかもしれません。

この映画は、退屈な映画です。
しかし、今この時代を生きる私たちが世の中で今起こっていることについて考え、なにか行動を起こすきっかけになる映画であることは間違いなくあると思います。


ぜひ自宅ではなく映画館で体感してください。










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