映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」
エンニオ・モリコーネと同時代に生きていられたことの幸運をかみしめた二時間半でした。
これはドキュメンタリー映画で、おびただしい時間のインタビューのほとんどがイタリア語のため、とにかく字幕を追うのに必死になりました。
最初の方こそそれを少ししんどく感じましたが、それはほんの短い時間で、数々の記憶に刻まれている美しい調べが流れてくると同時に、胸が熱くなりました。
どのような気持ちで、なにをヒントに、監督とどんな話し合いがなされて、数々の珠玉の名曲が生まれたのか。どれも聴き逃せないエピソードばかりです。
自分の作った曲を自分では正しく評価できない。だから、音楽を知らない妻にまず聴いてもらい、彼女がいいと言ったものを提出したという逸話。
映画を観るのは一般のお客さまなので、その一観客として評価するには最も適切な人材だと納得がいきます。
その逸話は、夫婦仲の良さをも物語っていて、あの暖かい音楽の背景にあるのは、この愛情深い夫婦関係のおかげなのかなとも感じました。
今では考えられないことですが、映画音楽は芸術的地位が低かったという事実は驚きでした。それがために、仕事に対してモチベーションを保てず、長い間、ずっと辞めよう辞めようと葛藤しながら仕事をしていたとは衝撃の事実です。
ただただ、常に音楽のことを考え続け、映画の世界を音楽で支え引っ張ってきた偉大な音楽家。
どの曲を聴いても、その映画のストーリーやシーンが目に浮かぶのは、それだけ音楽がストーリーに編み込まれて、わたしたちの心に入り込んで記憶されていることを証明しています。
あの映画もこの映画もまた観たくなりました。思考を止めて、モリコーネの調べに体も心も委ねて、ただ音楽を感じるゆったりとした時間を過ごしたいと思いました。
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