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ARオタクがApple Vision Proと既存の他デバイスとの比較をつらつらと綴る

この記事は、「MESON Apple Vision Proアドベントカレンダー # 2」21日目の記事です。前日の記事はこちら

こんにちは。
MESONでエンジニアしている安藤です。

私は会社で購入されているデバイスも扱いますが、個人でもデバイスを購入して、触れてみたり開発してみたりして、得にARに魅了されている自称ARオタクだと思っています。

余談ですが、今やデバイスの数が増え続けているので、あらゆるデバイスを個人で所有するのは難しいですね...
(MAD GAZE GLOWを持っている人はいるのかな)

個人保有しているマイデバイスの一部

今回は、そんな自称ARオタクがApple Vision Proと既存の他デバイスを比較してみようかと思います。網羅的にいろいろと比較するというよりはApple Vision Proをベースに個人的に気になるポイントをいくつか見て、つらつらと綴ろうと思います。

また、今回は以下のデバイスあたりを主に扱おうかなと思います。

  • Apple Vison Pro

  • XREAL Air 2 Ultra

  • Meta Quest 3

  • Magic Leap 2

ただ、XREALやQuestはいくつかシリーズもありますし、世にはたくさんのデバイスがあるので、時折、他デバイス名も上げるかもしれません。また、Hololens2も扱おうかと迷いましたが、発売も約5年前ということもあり、主なものとしては扱わないのでご容赦ください。(MRTK開発チームも解散しているがMicrosoftとしては何か取り組みをしていて欲しいなと願望)


注目機能 : 複数アプリの起動/共存

まず比較してみたい、Apple Vision Proの中で注目している機能としては、OSが関係する内容ですが、複数のアプリを共有スペースに共存させることができることです。これは個人的にもついに来たなと感じる機能でした。

個人的にも昔から、どういう状態でアプリが起動や動作してくれると嬉しいのかなというのを考えていたので、やはりアプリがマルチに起動しているは時代が進んだなと実感するとともに、バッテリーの動向がより気になったりもしています。

そして、他デバイスについてもこのあたり見ていきます。

XREAL Air 2 Ultraの場合、XREAL Beam Proと一緒に使用することで複数アプリ(2つまで)起動を可能にしており、同じように複数アプリ起動の流れを辿っています。

Meta Quest 3の場合も、Augments機能の発表があったりと、複数アプリ起動の流れを辿ろうとしています。ただ、まだ開発途中のようでしてAugments機能をゼロから再開発しているという話も出ていました。最近のv67では複数アプリのWindowを空間に配置できるというアップデートも来ていました。

Magic Leap 2では同様の機能はありませんが、Magic Leap 1の時にLandScapeアプリという形で近しいものはありました。

それぞれを見ても、Magic Leapのように紆余曲折ありつつも、複数アプリが起動する状態はデファクトスタンダードになっていくのかもしれませんね。もうひとつ共存の先には干渉もできるとおもしろいかなと考えています。

コンピューティングユニット

コンピューティングユニット(CU)の比較として、搭載チップについて触れつつ、関連するバッテリー類など周辺機器も含めたポータビリティ観点でも触れていこうと思います。

まず、Apple Vision Proはデュアルチップの設計となっていて、グラス部分にM2チップとR1チップが搭載されていて、豊富なセンサー群を処理するために特化させたりと、高性能なハードウェアになっています。グラス部分に搭載されているので一体型になっている点はいいですね。
ただ、Aple Vision Proはバッテリーが別途で付属しているため、完全な一体型とは言えないのが少しもどかしいです。この辺りは初期ロットとしてMAX性能で出してみて、次のバージョンで軽量化するなり完全な一体型に近づいて欲しいと個人的には思っています。また、HMDタイプではなく、メガネタイプに近づけた製品も期待してみたいです。

XREAL Air 2 Ultraは、CUとしてスマートフォンが必要となり、グラスと一体型とはなりません。ただ、それを持ってしても軽量なグラスということでポータビリティは許容できると思います。個人的に、もう一歩望むとしたら完全無線で使用できることを期待します。
スマートフォンの関して、公式ページには動作確認済のSamsung S22とSamsung S23が記載されており、S22はSnapdragon 8 Gen 1搭載で、S23はSnapdragon 8 Gen 2が搭載とされています。また、最近出てきたXREAL Beam ProにはSnapdragon Spatial Companion Processorというチップが搭載されています。このチップ名は初めて見ましたが、ARに特化させたり、先述したような複数アプリの起動もできていることから、ミドルエンド以上のモデルぐらいだと思います。具体的なベンチマークの数値までは掘り下げないですが、スマホとしてミドルエンド以上や、ハイエンドとされる性能が必要とはなっているようです。ただ、他のデバイスと比べるとハードウェアの性能がARに全振りして使用できるわけではないです。そのあたりはポータビリティとのトレードオフな部分もあるのかなと思います。また、専用アプリを起動するにはNebulaを介する必要があったりして、ARアプリ使用までの到達など課題はあるかなと感じたりしています。(最近の話だとGooglePlayにあるアプリは基本起動できるようになってきて、解消してきているかとは思います)

そして、Meta Quest 3はMR/VRデバイス用のSnapdragon XR2 Gen 2が搭載されています。MetaとQualcomは協力することを発表していてXRに特化したチップとなっています。また、HMD部分にCUが搭載されいるので、グラス部分と一体型となっています。Questシリーズは無印から一体型になっていること、かつメインのユースケースがゲーム文脈ということから、諸々が最適化されてきている印象があります。また、ユーザー自身もハードに慣れてきている気もしますし、利便性を向上に貢献するアクセサリーの豊富さもある印象です。

最後に、Magic Leap 2はCUが別途で付属しているため、一体型とはなっていません。ポータビリティとしてはApple Vision Proに近い感じですね。チップは半導体大手のAMDと提携していることもあり、AMD 7nm Quad-core Zen 2 X86 coreというチップを搭載しています。久しぶりにMagic Leap周りを再確認して、Qualcomm以外のチップが搭載されていることを改めて認識しました。最近のデバイスだと珍しいなぁと思ってしまうぐらいにはQualcommのチップが普及している印象もあります。

本当はクロックやコア数、メモリ等も見た方が、性能周りの情報としては嬉しいかもしれませんが、今回はチップについて再認識して一旦満足です。

また、今回はあまりメイントピックとして扱っていないですが、CUなどはデバイスの「値段」にも影響しているなと感じました。(Apple Vision Proの場合はセンサー群とかディスプレイとか他の部分の影響もすごいと思いますが)

パススルー

次に気になっているトピックとして、パススルーの種類についてです。

Apple Vision ProとQuest 3は外部カメラを使用して現実世界の映像をキャプチャし、その映像をディスプレイに表示すりビデオパススルーのタイプとなっています。

XREAL Air 2 UltraとMagic Leap2は透明なディスプレイを通して現実世界を直接見ながら、デジタルコンテンツを重ねるシースルーパススルーのタイプになっています。

個人的にはARに触れ始めた初期から、光学シースルーのデバイスに触れていた、かつ軽量で扱いやすいということから、シースルーパススルーのタイプに魅力を感じていましたが、最近はビデオパススルーについても魅力があると感じています。

視野角

上記のパススルーでビデオパススルーに関して魅力を感じた大きな要因のひとつとして、視野角の影響が大きいと感じています。ひとまず水平側をメインで比較していきます。

Apple Vision Proの視野角は約90度あり、人間の視野角までとは言えないですが、自然な視界が確保できてスムーズに使用できると実感しています。

XREAL Air 2 UltraはLightから変わらず52度となっています。輝度が上がったりしていることから綺麗で見やすくなったりはしているのですが、視野角としてはもう少し欲しいなと感じます。特に視界を大きく覆ったりするものや、コンテンツ数を多く出現させるものだと、XREALシリーズでは視野角の切れ目や、見え方などを考慮・工夫する必要があります。過去のプロジェクトでの制作等からも、これらは実感しています。

Meta Quest 3は110度と広めですし、体験するアプリとしてもゲームがメインだったり、プロジェクトで使用する時の用途としても完全バーチャル世界を構築することがメインのため、そこまで視野角に不便を感じた記憶がないです。

Magic Leap 2は44.6度となって他に比べて狭いですが、垂直が特徴的で53.6度となっており、縦に少し広いです。これは最初に体験した時には、思ったより良くて衝撃でした。また、Dimmer機能と呼ばれる3Dオブジェクトの後ろに黒を敷いて、オブジェクトをはっきりと見えるようにする機能があって、これと相まって、より見やすい印象でした。また、人間は横に首を振ることは慣れていて、縦に首を振ることにそこまで慣れていないからなのか、縦に見やすくなっていることが、快適な印象もありました。

それぞれ、視野角の違いがありますが、こうやって比較したり振り返ってみると、これはパススルーのタイプと相まって威力が発揮されるものかなとも思いました。シースルーパススルーの場合は、そもそも視野角を広げて作ること自体ハードウェアとして大変かもしれないと思いました。 

装着感

装着感に関しては、最初に個人的な好みから述べておくと、まずメガネタイプの方が装着が楽ですしスマートで好みです。HMDのように頭の上から被るような形のものは、日常的に装着して使用することを目指すのであれば、全てメガネタイプを目指して欲しいと思うぐらいです。直近のプロジェクトでの展示でも、HMDの類を装着してもらうのは髪が乱れたり、手間や煩わしさが多少なりあり、負荷になると実感しています。

Apple Vision ProはHMDの類で、頭上からバンドを調節しながら装着します。バランスとしては前方のグラス部分にCUなどが集まっているため、どうしても顔面の方に重さを感じる印象があります。個人的には、Meta Quest Proみたいに額でも支えるようにしつつ、後ろにバッテリーを乗せるなどして、重さのバランスを分散すると装着の負荷として良いのではと考えたりします。トータルの重さの懸念もありますが、重さの分散具合と顔へのフィット感で良い装着感が担保できないかなと思ったりします。
デバイスを全て身につけるという意味での装着としては、バッテリーもコード付きの携帯ではない方法になると嬉しいですね。

余談ですが、直近のプロジェクトでもApple Vision Proの開発をしていた時は、この装着感や負荷が気になったので、後ろのバンドを外して手持ちで覗き込むようにして、デバッグしていました。

XREAL Air 2 Ultraはメガネタイプなので、メガネのようにかけるだけで済みます。いいですね。ただ、スマホ等を別途保持して接続する必要があります。ただ、スマホは生活の必需品になっているので、保持していること自体は大丈夫かもしれませんが、ケーブルで接続しないといけないという点は手間になるので、無線になると嬉しいですね。

Meta Quest 3もHMDの類なので、頭上から被るように装着する必要があります。先述しましたが、Meta Quest Proのようになると装着感も快適になる印象です。ただ、アクセサリー類も多くて自分なりに利便性を図るようなことはできると思います。個人的にもQuest3を自分なりに快適にできないかと、BOBOVRのアクセサリーを付けてみたりしています。
ただ、個人的な好みはメガネタイプなので、VRデバイスでいうと、完全なメガネタイプのような簡易な装着とはならないですが、VIVE XR EliteやBigscreen Beyondのような軽量も目指してみてくれないかなと気になっています。(Bigscreen BeyondとかVisorとかも触れてみたい)

Magic Leap 2はグラス周りはけっこう軽くて、装着の負荷がそこまで大きくはない印象ではあります。ただ、HMDの類ではあるので、メガネタイプのような装着とはならないです。また、先述もしましたが、CUが別途付属しているタイプなので、全体の装着としても少し負荷があるという印象です。

それぞれで、こうしたらもっとよくなるかなという観点でも触れてみましたが、人間工学的にだったりと、どのようなものが良いとなるか、今後の進化が楽しみです。非常に遠い未来として最終的にホログラムのような技術も合わさってインタラクションなり出来るようになったら、そもそもこういった装着云々の話も関係なくなるのかなと妄想したりもしています。

終わりに

エンジニアとしては、開発環境やSDK、カメラアクセス等、使用できる機能についても触れようかと思いましたが今回はひとまずオタクとして使い勝手などの部分についていろいろと綴らせてもらいました。

今回は比較するにあたって、それぞれのデバイスが謳っている想定ユースケースについてはあまり触れなかったですが、屋内外での使用するユースケースを文脈に加えると、今回比較したものたちの位置付けとして、もう少しはっきりとする部分もあるかと思います。

一応、それぞれ想定ユースケースの領域は異なるようですが、元々の文脈だけでなく、以下のようにお互いの領域に踏み込んでいる印象もあります。

Questは元々ゲーム文脈で普及していますが、Metaが日常生活に関連するアクセラレータープログラムを開始しています。また、Apple Vision Proもプロモーションでは、自宅で使用するようなイメージでしたが、ゲームプラットフォームのApple Arcadeに登録するといったページがあったりします(これはまだ社内アセットをしっかり絡めるという文脈が強いだけかもしれませんが)。

冒頭でも少し触れましたが、CESやAWEをウォッチしていても本当にいろいろなデバイスが出てきています。まだまだハードウェアとしても進化していくと思いますし楽しみです。自分たちもソフトウェアでおもしろいものが創れるように取り組んでいきたいです。

今回、自称ARオタクがタイトルにもあるように「綴る」ということで、表とか使わずにほとんど無駄に文章だけでつらつらと綴ってみました。

Fin.

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