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最高の成果を上げるチーム作りの条件:心理的安全性を向上させるために何をするのか?

前回の記事で、職場環境において4つのリスク(無知・無能・ネガティブ・邪魔)に怯えることが無い状態が、心理的安全性が確保されている状態であり、成果を上げるチームの条件と書きました。

職場における4つの対人リスクに怯えないこと

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では、職場で心理的安全性を確保および高めるためにはどうすれば良いと思いますか?
その前に心理的安全性の定義と効果について記載しておきます。

心理的安全性とは

心理的安全性は、仲良しチーム、リラックスできる場、馴れ合いの場、ミスを犯してもOKという場 等と捉えている方もいますが、それは誤解です。
そんな生温い場や雰囲気ではありません。
心理的安全性は、「メンバー全員がチームの目標達成、組織の成長に向かって、安心感を持ちつつリスクを冒しながら進んでいける場」です。
そこでは個々のメンバーの責任感とメンバー同士の相互関係(チームワーク)が重要です。

そして、心理的安全性の効果は次の通りです。
・生産性・品質が向上する
・お互いの強みを活かせる
・イノベーションが起こせる

これらに加えて、何よりメンバー一人ひとりが「働くことが楽しい!」と思え、「明日もまたこのチームで働きたい!」と思えることが一番の効果だと私は思います。
想像してみてください。
メンバー全員が「働くことが楽しい」という思いを持って笑顔で仕事をしている職場を。
そこには、ハラスメントや職場の人間関係が関係するメンタル不調も発生しません。

では、この心理的安全性を確保、向上するためには職場で何をすれば良いでしょうか。

心理的安全性を確保および向上する為の行動

(1) 自他尊重

「尊重」の意味は、「価値あるもの、尊いものとして大切に扱うこと」です。
心理的安全性を向上させるためには、自分の思いや感情を素直に出せ、相手の思いや感情もしっかり受け入れる関係性を作ることが一番です。
例えば、相手が言った意見に対して、いきなり「それ違うんじゃないの」とNOの反応ではなく、「あぁ、いいね。そういう考えもあるよね」とまずはYESの反応をした後に「更にこういう考えもあるのでは」という風に”YES and ” で対応すると、相手の意見、相手を尊重することが出来ます。私は、研修や会議のグランドルールの一番目にこの「自他尊重」を挙げています。

(2) 目的論

部下やメンバー同士のコミュニケーションでは、原因論ではなく目的論を優先することで心理的安全性がより向上します。
ある出来事や問題に対して、「何が悪かった」「何故そうなった」等という原因を追究することが原因論で、「それがどうなれば良い」「どうなりたい」等という目的に着目するのが目的論です。
これはアドラー心理学の「人間の行動には、その人特有の意思を伴なう目的がある」という考えから来ています。
問題解決のプロセスの中では、真の原因を明確にしそれに対する解決策を考えていくことも大事です。しかし、上司が部下に対して、問題の原因をずっと追究し続けていたら、部下はだんだん疲弊して何も言えなくなります。
そんな時に「で、どうなれば良いと思う?」という理想像を明確にし、「それに向けてやりたいことはどんなこと?」「他には?」と具体的なアクションを出していくと、部下のやる気を引き出せます。
部下やメンバーとの面談の際には、コーチングのGROWモデルを活用すると良いでしょう。

(3) ザッソウ(雑談・相談)し易い環境

仕事をする上では、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が大事という話はよく聞きます。私自身、企業の新入社員研修でホウレンソウの効果的なやり方を教えています。
しかし、ホウレンソウはどちらかというとフォーマルなコミュニケーションで、準備してから行動するという形です。
それより、普段から雑談をしながら、仕事だけでなくプライベートも含め何でも話せる関係を作っておけば、困ったことや悩みも相談し易くなります。
もっと詳しく知りたい方は、倉貫義人さんの「ザッソウ 結果を出すチームの習慣」を読んでみてください。
この本は、心理的安全性を含め、雑談・相談の大切さを分かり易く書かれています。私の研修やワークショップで事前課題で出したり、推薦図書として紹介しております。(※後述:参考情報)

(4) 前向きな批判を歓迎する

以前私のセミナーに参加して頂いたある企業のHR担当の方から聞いた話です。その方の会社では、会議の中で「自他尊重」と合わせて「異論・反論 大歓迎!」というグランドルールを設定されているとのことです。
会議では、誰かの意見に単に同調するだけでなく、会議のゴールを実現する為にその時点で最適なやり方を見つけ出すことが大切です。
その為に、様々な視点で目の前の出来事を捉え、自由に意見やアイデアを出していくことをグランドルールにしているのはすばらしいと思います。
まさに、4つのリスク(無知・無能・ネガティブ・邪魔)に怯えることが無い状態で話せる環境を作られています。

そして、あなたが明日からできることは?

いかがでしたでしょうか? 上記の4つのポイントで考えてくと、皆さんの職場で具体的に出来ることはたくさん挙げられると思います。
その中から一つで良いので明日からやってみてください。

最後に、明日から一番簡単に出来ることを紹介します。
それは、「相手の顔、目を見て、笑顔で挨拶すること」です。
それにプラスして「ポジティブワードを一言添える」です。
「○○くん、おはよう。その笑顔、いいよねー!こちらも元気になるよ。」
「○○さん、おはよう。昨日は□□をがんばったよね。本当助かったよ。」

この挨拶というのは基本かもしれませんが、意外に出来ていない人が多いです。朝自分のメールチェックが忙しいからパソコンに向かいながら、部下へのあいさつを「おはようす!」「お!」とかで軽く済ましてませんか。
であれば、まずは部下の方に身体を向けて、しっかり顔と目を見て声を掛けてあげてください。(これは、私自身の経験、そして反省の意味も込めてお伝えしています)

これはリアルだけでなく、オンラインでも同様です。
逆にオンラインのほうが1対1で話す感覚が強くなるので、笑顔(口角を上げる)を忘れずに!

参考図書

ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」
倉貫 義人 (著) 出版社: 日本能率協会マネジメントセンター




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