激しい運動が免疫力を下げる!?アスリートが気をつけたいこと
皆さん、こんにちは。
管理栄養士の田辺幸優です。
今回のテーマは「免疫力」についてです。
私は、プレーヤーの時は年に数回風邪を引くことがありましたが、引退してからはここ数年風邪を引いていません。
アスリートの免疫力について最初に聞いたときは驚きました。
体調を崩しやすい季節なので、アスリートの方はもちろん、その他の方にもお役に立てばと思い、記事にまとめさせていただきました。
(1)適度な運動は免疫力の向上につながる
適度な運動を習慣にすることは、体内の筋肉を動かすことにより、体温が上昇し、免疫力の向上につながると言われています。
このため、免疫力を上げるために普段あまり身体を動かさない人は、運動を習慣化すると健康な身体を維持できることが期待されます。
(2)アスリートは免疫力が弱い?
アスリートは普段から激しい運動をしている分、身体が丈夫で、免疫力が高いイメージがあるかと思います。
しかし、激しい運動を行うことにより免疫力は低下している可能性があります!
運動強度と免疫力については「Jカーブ仮説」が提唱されており、適度な運動は免疫力を向上しますが、激しい運動は免疫力を低下させると言われています。
“David C. Nieman. Exercise, Infection, and Immunity. Int. 1 Sports Med. 15.S132, 1994.” より引用
(3)免疫力低下の要因
免疫力低下の要因としては、激しい運動を行うことにより、以下の分泌量が一時的に低下することが挙げられます。
①分泌型IgA
抗体の1種で、眼・鼻・喉や消化管などの身体の外と接している粘膜組織
から分泌されています。
②NK(ナチュラルキラー)細胞
体内のウイルス感染細胞などを見つけ、破壊する役割を持っています。
③T細胞
NK細胞と似た効果を持つリンパ球。
体内にある他の免疫細胞の働きを調節する働きも持っており、免疫系に
おいて重要な働きをしています。
これらの分泌量が低下している間は免疫力が下がっている状態なので、
細菌やウイルスが身体に入ってきた場合、通常時よりも感染しやすい状態となっています。(この免疫力が下がっている状態は「オープンウィンドウ」と呼ばれています)
このオープンウィンドウの状態を繰り返し、長く続いてしまうのを防ぐことが重要となります。
(4)免疫力の低下を防ぐために
では、食事から免疫力を上げる場合に、どのような点を気をつけると良いのでしょうか?
①バランスの良い食事を心がける
免疫力を上げるためには、食事の中でもとくに「たんぱく質」をしっか
りと摂ることが重要です。
また、「抗酸化作用」を持つビタミン類は、野菜や果物に多く含まれています。
「〇〇を食べると健康に良いですか?」ということを質問されることも多くあります。しかし、特定の食品が中心の食事では不足する栄養素が出てくる可能性がありますので、色々な食材を食べるように心がけましょう。
②良く噛んで食べる
唾液には(3)で紹介した「IgA」が多く含まれています。
良く噛んで食べることにより唾液腺が刺激され、唾液の分泌量が増えることにより、IgAの分泌量も多くなります。
食べ方を意識するだけでメリットがありますので、是非お試しください。
③水分をしっかり摂る
水分をしっかり摂ることにより、②の唾液分泌量を増やす効果や、粘膜に付着している細菌やウイルスを体外に流してくれる働きがあります。
アスリートは良いパフォーマンスを維持するために、体調管理も重要なポイントとなります。
免疫力を向上し、細菌やウイルスに負けない身体作りをしていきましょう!
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