はちみつを温かいミルクで一杯
ある日の話
「すきだよは言われすぎると軽くなる」
パン屋にいるお手伝いのあの子は言ってた
じゃあさ それならば すぎると軽くなるのならばさ
かわいいって言われすぎると軽い気がするの?
ごめんねって言われすぎると軽く見える気がする?
きらいだって言われすぎても軽くなってくのかな?
「かわいいは嬉しいごめんねと嫌いだは辛くなる」
やっぱりこころはちくちくに弱すぎて
ちくちく言葉は 重くなる気がするのに
きらきら言葉は 軽くなってしまうの?
なんだかこころはきらきらを舐めている気がする
好きって言われるならば何度でも
こころが舞い上がって星になってきらきらするし
嫌いって言われるならば何度でも
こころがブルーになって海になってしまうな
好きって言われるならば何度でも
深呼吸をしてどきどきを落ち着かせてしまうし
嫌いって言われるならば何度でも
ため息をついて幸せを逃してしまうだろうな
だからこそ わたしは しっかりと
すきだよを
だいすきだよ で愛情の積み木をして
かわいいを
お互い様だね で嬉しさをかけ算して
ごめんねを
気をつけるね で責任背負わせないよ
きらいだに
ご飯食べよう でわざと傷つくんだよ
これがいいんだ
愛してるなんて
いくらでも叫んでしまえばいいんだ
恥ずかしさが甘酸っぱくなるまで
子どもの頃みたいに仲良くしたい人に
なかよしになろうって伝えてしまえばいいんだ
甘酸っぱさで溶けるまで
小さくても大きくてもいいんだ中身を温めようよ
溶けて密度が高くなるまで
ほらなんとなく
もどかしく 恥ずかしくて どうしてか
甘酸っぱくて とんでもなく なんか癖になる
とろとろになって 溶けて満ちた わたしを
食べたら君は 自慢げな顔で 蜂蜜みたいだ
なんて言うんだ
ねえ
わたしときみのはちみつミルクを
一杯注いでちょうだい
ある子の話
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