応援メッセージ_01

【ラブレター from インフルエンサー#11】「生き辛さを抱えながら悶々としている人々にとって、とても素晴らしいことだと思うのです。」(大谷悠さん/ライプツィヒ「日本の家」共同創設者)

「アナキド」プロジェクト・クラウドファンディング実施にあたって、各界のインフルエンサーのみなさまに応援メッセージという名のラブレターをいただく本連載【ラブレター from インフルエンサー】。

さて、本連載も佳境に入ってきました。第11回目です。
今回も愛と熱のこもったラブレターをご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、ドイツのライプツィヒで「日本の家」という交流スペースを立ち上げたメンバーの一人、つい先頃拠点を尾道にも移し、山手の空き家で「迷宮堂」を複数人で立ち上げた研究者で活動家の大谷悠さんです。

大谷さんがライプツィヒで運営していた「日本の家」は、「チャイサロンドラゴン」とすごく繋がりが深い場所です。
「日本の家」のメンバーだった若者が「ドラゴン」を手伝いにきたり、「ドラゴン」によく出入りしていた人々が逆に「日本の家」のメンバーになったり、相互でメンバーを交換し合うような提携校のような存在。

わたしたちが五島にいる間に、「ドラゴン」と「日本の家」はそれぞれ距離を縮めていたので、詳細はわからないのですが、それを機に、大谷さんは尾道を活動の拠点のひとつとして捉えるようになったのではないかと思います。

わたしたちが五島から尾道に帰ってきて、ほどなくして大谷さんとお会いする機会に恵まれました。
わたしたち自身はライプツィヒに行ったこともないし、「日本の家」を詳しく知っている訳でもないので、大谷さんの人物像を掴みかねていたのですが、聞けば「日本の家」はみんなでご飯を作って、一緒に食べ、カンパで成り立っているような場所だということでした。
なんだ、それってつまり「ドラゴン」じゃないか!と思ったわたしたちは「日本の家」と「ドラゴン」の共通理念を即座に理解し、「日本の家」を立ち上げた大谷さんのコンセプトや人柄もなんとなく理解してしまったのです。

それでも、これまでライプツィヒと尾道を行き来する大谷さんとゆっくりお話をすることはありませんでした。
つい先日、大谷さんが共同で創設した尾道の拠点「迷宮堂」のごはん会に参加した時のこと。
その直前に厚かましくもラブレターのご依頼をしていたので、少しご挨拶も兼ねて顔を出させていただいたのですが、そこで初めてみくの著書を読んでいただいたことを知りました。
みくはごりごりのアナキストなので、社会通念上、誤解を招くような表現もするのですが、そういった表現に対して、大谷さんは「ぐっときました」と評して下さいました。

自著に対する反応や評価は人それぞれで、意外な人から意外な評価をいただくのが常ですが、この時もわたしは大谷さんの琴線に触れたのはそこだったのかと、少し意外な印象を持ちました。
そして、意外だったからこそでしょうか、いままでそんなに話したこともなかったのに、まるで学生時代から親友だったような不思議な感覚を覚えたのです。

そう言えば、わたし(みく)も中学のとき、電気グルーヴを聴きながら寝ていました。
高校時代は睡眠傷害と抑鬱に悩まされ、成績は最底辺。
もちろん、友達もいず、はやくこの地獄が終わることを祈りながら高校生活を過ごしました。
違う時に違う場所で、まるで希望のない日々を過ごしたわたしと大谷さんが時空を超え、いまここ尾道で相見えたことはなにか必然だったのではないかとさえ思いました。
そのために、わたしは突き動かされて『ハピーテロリズムで無血革命を』という作品を書き上げたのかもしれません。

先述した通り、現在大谷さんはこの尾道で「迷宮堂」というコミュニティスペースを運営されています。
既に人が集まってごはんを食べたり、ワークショップをしたりして、国籍問わず老若男女が出入りする場所になっており、大谷さんの“求心力”の凄まじさを体感させてもらいました。
だれもが気軽に来られる場所にするという当たり前のようでいて、実は本当に難しいことを体現している大谷さん、その懐の深さとコンセプトには大いに刺激を受けております。

尾道本土には「迷宮堂」なら、向島には「アナキド」と言われるように、それぞれいろんな人が交錯する場所として二大巨頭扱いされるように精進したいと思います。
では、そんな大谷さんの愛の溢れるみくにとっては感涙もののラブレター、ぜひご一読下さい。

大谷さん

「みく帝国書院」から発売された『ハピーテロリズムで無血革命を』という本。
数年前にたまたま尾道の某カフェで手に取りました。
ふざけたタイトルだし、著者は自称「思想家。絶対平和主義アナキスト。」
いやー相当ヤバい人だろうなと思いましたよね。
パラパラめくっているとこれがしかし、とても良い本だったんです。
大人たちの押し付ける「常識」を、大上段に振りかぶってバッサバッサと切り捨てていく。
絶望と希望の入り交じる叫び声をあげながら。そんな内容でした。
恋人はおろか友達もろくにできず、Aphextwinを爆音で聞きながら、太宰治を狂ったように崇拝していた、端的に言ってすべてが真っっっ暗だった高校生のころの自分に、この本を読ませてあげたかったなぁと思いました。
「突き進め。未熟のまま、半人前のまま。」
そんなふうに、世の中と反りが合わずに悶々としている人々に寄り添い、励ます、愛に溢れた、非常に真面目な本だったのです。
こんな本を書く人がドーナッツ屋をやるそうです。
なんでそうなったのかは、よくわかりません。
でもとにかく、こんな愛に溢れた本を書く人に、いつでも会いにいけるようになることは、向島、尾道、広島、日本、世界中の、生き辛さを抱えながら悶々としている人々にとって、とても素晴らしいことだと思うのです。
なので、なんでドーナッツになったのかはよくわかりませんが、みくさんとさきさんの新たな挑戦にエールを送ります。
…とここまで書いている間にひらめいたのですが、ドーナッツって真ん中が空洞ですよね。これ、アナーキズムの思想そのものですよね。
中心に陣取ってコントロールする存在を否定し、市井の人々がフラットに繋がりながら生きていく。
そのつながりが深まり熟成されることで、必然的においしそうなドーナッツになっていくわけだ。
なるほど、そういうことですか?みくさん?

<profile>
大谷悠(おおたに・ゆう)
研究者(都市論・空間論)、活動家(主にまちづくり関係)。ライプツィヒ「日本の家」共同創設者。尾道「迷宮堂」共同創設者。博士(環境学)。

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