応援メッセージ_01

【ラブレター from インフルエンサー#12】「だからドーナツは大賛成。」(西川昌徳さん/Free Coffee 発起人)

「アナキド」プロジェクト・クラウドファンディング実施にあたって、各界のインフルエンサーのみなさまに応援メッセージという名のラブレターをいただく本連載【ラブレター from インフルエンサー】。

残すところ、この連載もあと3回になりました。本日は、その第12回目。
今回は、現在香港でもっとも感謝され、絶大な影響力を誇っている日本人でフリーコーヒー発起人のまさやんこと西川昌徳さん。

世界各国を自転車で旅をした後、自分にできることはなにかを考え、人々の心の障壁を取り除く為に韓国や香港で道行く人々にコーヒーを配る活動家です。

わたしたちがまさやんにお会いしたのは、去年の3月頃。
ヒロくんの市長選で活動している真っ最中でした。

はじめ、日本全国でフリーコーヒーをしているチャリダー(自転車で旅をする人)がいると聞いて、正直わたし(みく)はそこまで興味がありませんでした。
これまでにも、仕事柄、地域柄、日本全国を旅してきている人を何人も見てきました。
そして、わたし自身かつて旅人であったこともあり、旅人に出会うと、どこかしら牽制したくなる気持ちがあったのかも知れません。

そんなまさやんの第一印象は、けっして快活な青年ではなく、どちらかというとわたしたちを値踏みしているような感じにわたしの眼には写りました。
そして、それはある面では、わたしと非常によく似ているなぁと感じたのです。

わたしも普段は基本的にだれにでもオープンに接するようにしているので、外交的で社交的な印象を持たれることが多いのですが、元来わたしはクローズドな性格ですし、人の好き嫌いも激しいタイプです。
わたしの持論として、旅をするような人は実は自己肯定感が低く、承認欲求が強いタイプの人が多いと思っています。
敢えてリスクを冒してまで旅を続けて、それを人に語り聞かせるようとする人々は、自分を含めて本質的に社会不適応者なのではないかと思うのです。

ですから、当初まさやんからもポジティブで明るいオーラを感じるよりも、なにか旅をしていた頃の自分に重なるものを感じました。
もしかしたら、この人と仲良くなれないかもしれない、そんなことすらちらっと思いました。

初めて会った翌日、わたしのそんなミスリードを打ち破ってくれたのは、まさやんのほうでした。
まさやんはわたしの著書『ハピーテロリズムで無血革命を』を一日で読破し、その感想を嬉々として率直に語ってくれました。
その表情はまるで前日とは違い、明るく朗らかでした。
その瞬間、わたしとまさやんの間にあった見えない壁はすっと消えてなくなりました。
そして、値踏みをしていたのはわたしのほうで、その殻を破って入ってきてくれたのはまさやんのほうだということに気づいたのです。

それから、まさやんとはごはんに食べに行ったり、先日催されたトークイベントにも出席したりして、交流を深めることになりました。
実は同級生のわたしたちは、同じ関西出身ということもあり、共通項が多かったのです。

ただ自分の為に旅をする訳ではなく、そこに社会的意義を見いだし、使命感を持って旅を続ける旅人というのは、実はそんなに多くありません。
わたしがいままで会ってきた旅人の多くもやはり承認欲求型の人が多く、彼らは一様に一種高揚した感じで自分がどこに行って、なにを見てきたかを饒舌に語ります。
しかし、まさやんは先述した通り、自分の弱さや認識違いを隠すことなく、目の前のやるべきこととして旅を続けている希有な存在です。
世に多く旅人はいると思いますが、本質的でズレていないなと感じる旅人はまさやんが初めてでした。

さて、そんなまさやんですが、最近ニュースでもデモが起こり話題になっている香港や日本との関係悪化が懸念されている韓国に赴いて、フリーコーヒー(道行く人々にフリーでコーヒーを提供する)という活動をされています。
世界で同時多発的に起きている問題の根幹はきっと一緒で、そこに当事者として痛みを感じ理解を示し、実際に現地を訪問して、国籍問わず人々と交流する、そこに「世界平和」の道筋を見いだそうとするまさやんの活動には、わたしたちにとってもいつもとても参考になり、共感を禁じ得ません。

今回、次の旅の準備があって忙しいに違いない時間の合間を縫って、わたしたちにまさやんがラブレターをしたためてくれました。
本当は「ごめん!忙しいから」の一言で断れることを、「絶対書くから!」と言ってくれたその心意気を、わたしたちは一生忘れることはないだろうと思います。
藝術家であろうと旅人であろうと、表現者として人間として、わたしたちがなんのために生きていくのか、またまさやんと語り合える日を楽しみにするばかりです。
では、まさやん自身“力作”と言って憚らない渾身のラブレター、ぜひお読み下さい。

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ひとは見かけによらない。いや、よるのかもしれない。
ミクくんたちを最初に見たときに、とらえようがない思いがした。それは自分と歳が近いけれども、彼らが思い行動していることが僕の社会のそれとはちょっと違っていたからとっつきにくかったのかもしれない。
けれどこないだ香港でのフリーコーヒーで起こったことを話に行ったときに、彼が教えてくれた地域のつなぎ役になるドーナツ屋さんの話を聞いたときに、単純にいいなと思った。それは彼らが僕に寄ってきたのか、それとも僕が彼らに寄っていったのか、それとも僕らが何かに近づいていったのかは分からないけれどすごくいいと思った。
いつだって人は誰かの存在を必要としていて、けれどそれが職業というカタチでお世話をする専門の人だったりすると、僕はきっと構えてしまうと思う。けれどそれが街のドーナツ屋さんだったとしたら、きっと僕は気軽にドーナツを買いにいき、相手にちょっと気をかけたり、気をかけてもらったりして、ドーナツだけでない小さなギフトを毎回持ち帰って家まで戻るんだろうなと思う。
アナーキーという不良な生き方を続けてきた彼らが行き着いたのが、そんな人に生まれる小さな幸せを紡いでいくことだったのだから僕は余計に感動したのかもしれない。なににせよ僕は自分の健康も大事だけれど、カラダに気を使いすぎる食事や生活よりも、そのとき自分が食べたい!こうしたい!という気持ちに素直にありたい。だからドーナツは大賛成。尾道に行くたびに楽しみになるドーナツ屋さんがすてきに出来上がりますように。

<profile>
西川昌徳(にしかわ・まさのり)
1983年生まれ。大学卒業後から自転車旅をはじめこれまで97,200km・37か国を走る。現在はコーヒーで人の繋がりを生み出すフリーコーヒー旅で韓国、香港などを訪問。トークライブ、Live授業、子どもたちとの自転車ぼうけん旅など、さまざまな方法で路上から見た世界のいまを伝え続ける。
www.earthride.jp

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