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たまに受ける質問「公文を習わせていいですか?」

神経発達症/発達障害のお子さん(未診断含む)を対象に評価や療育、相談の仕事をしています。

ご家族からたま~に受ける質問を紹介し、自分なりの考えを書いていきます。自分なりなので、参考までにとどめてください。

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動症(ADHD)な子の親から…
「公文を習わせてみようと思うのですが、どうでしょうか?」
合うか合わないかを確認したいのだと思われる質問を受けることがあります。
不思議なことに、公文以外の学習系習い事や塾については事前に確認されることは今のところありません。塾に関して、個別対応か集団で受けるシステムかについて相談はありましたが…。何で公文だけなんだ…。

私は、「公文に通わせたいと思ったのは、どうして?何を目的に通おうと思ったのでしょう?」
と親の真意を確認します。
・集中力をつけたいから
・学習習慣をつけたいから
・子どもが行きたいと言ったから などなど

自閉症スペクトラム症の傾向があるお子さんのなかには、計算問題を解くのが速いという子がいます。(あるある)
そういう子には、公文は楽しいかもしれません。
本人の得意な計算をして、100点や花丸をもらえると達成感や充足感は得られるでしょう。これだけやったんだというプリント量を見ると、頑張りが視覚化されて努力の程度も分かりやすいと思う子もいるでしょう。
ただ、既に計算好きで得意な子であるので、通わせる必要があるかな?とは思います。本人が既に計算好きなのであれば、100マス計算ドリルのようなワークを準備すると自主的に取り組んでくれる可能性があります。
自己達成感ではなく、他者に賞賛を受けると気持ちいいから、計算を得意げにやって見せていくタイプの子であれば、公文に通わせて先生から賞賛を受けるのはアリだと思う。計算が速い/正確ということに自信を持つことも良いし、何より単純な計算を自動思考のように素早く解くことは、その後複雑な計算や応用問題に取り組む際、考える過程の負荷を減らせるし応用部分を考える時間を確保できるという点も良い。

一方、成功経験が少なく学習意欲があまり育っていない子、既に勉強嫌いになっている子、着席持続が困難な子であれば、公文に限らず学習系の習い事は苦痛に感じるような気がします。
他に楽しいことや趣味を持っている子であれば、次に学習系の習い事を与えたいという親の心理も分かる。そうでなければ、まずは子どもがハマる事/集中できる夢中になれる活動を見つけることを優先してほしいと思う。
それは、他者より優れて上手なものである必要はない。
本人にとって、楽しいと感じるものであれば良いので、ゲームやYouTube視聴でも良い。興味を持ったことから、工作や絵画、音楽、スポーツなどに広げられるよう誘ったり、環境を提供したりできると尚良い。自分が楽しいと感じることが何かを知っておくことが大事なのだ。
「水泳は楽しく通っているし、次は公文を習わせてみたい。」という状況であれば、とりあえず1か月公文を利用してみて、子どもの表情や態度から新規習い事への対応力や繰り返し学習に対する耐性、宿題の許容力、公文職員との相性、親の忍耐力、親が宿題をフォローする時間を確保するなど総合的に捉えて、継続するか辞めるか検討してみては?と私は答える。
とにかく、子どもがこれ以上に勉強キライになったり、宿題するしないで親子の仲がギクシャクする機会が増えたりするくらいであれば、やらない又はすぐに辞めていいと思う。
子どもは、親が思っている以上に学校で色々なストレスにさらされているものだ。帰宅後はソファを独占してダラーっと寝転び、お菓子を食べながらテレビを見て、一息つける時間を確保した方が心の休息となり、次の日もがんばるに繋がると思う。強制的な習い事は、子どもに怠ける時間を十分に与えた上でさせてほしい。子どもの将来や勉強を想定して学習させることも間違ってはいないのだが、子どもの心を疲労させてしまうと結局空回り・遠回りになるので、私も親として気を付けていきたい。

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