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困ったことがあっても言えない。先生の近くでかたまっている園児。

とある園の巡回訪問にて。

<現状>
要求があっても、自分から先生に言えない。
黙ってその場に立ち尽くしていたり、じっと先生の方を見ていたりしている。先生から話しかけると、「~してほしい」と小さめの声で言える。
家庭では子どもらしくしゃべるようで、困り感なし。
通園歴数年経過している年中児だ。

<見立てや考察>
・言語発達がゆっくりで、話しかける経験が年齢に比べて少ないため?
・失敗過敏や不安が強い傾向がある?
・コミュニケーションにおける相互交渉を自ら始めたり主張したりすることが苦手?
上記の他にも様々な可能性を考えたうえで、『注意喚起』のコミュニケーションスキルを獲得できていくと、本人も過ごしやすくなるだろう!
注意喚起…相手の注意が自分に向くように働きかけたり、誘ったりする。

<園の先生にお願いしたこと>
①先生から見て困っているんだろうなと推測できた場合は、即座に話しかけて援助することで、先生や場所に安心感を持ってもらう。園児と先生の関係性を高める。言語表出が得意ではない場合や緘黙傾向がある場合は、ためらわず先生から「~で困っているように見えたけど、何か手伝えることはある?」と助け船をだして良い。
②関係性ができてきたら、先生から「何かしてほしいことがあるのかな?」と尋ねて、園児に要求を表現してもらう機会を持つ。
③視線で困りを訴えきた際には、手招きをして先生の所に来てもらうよう促す。
④困って立ち尽くしんでいる際には、先生から「ん?」と最小限の会話スタート合図をだす。
⑤④のきっかけで園児が話し始めることができるようになれば、先生は表情や聞く態度をつくるのみにとどまり、園児から話しかけてくるのを待つ。視線は園児に向けて、”話しかけてきてくれてOKだよ”のサインは送る。
このように、先生からの会話開始を少しずつフェイドアウトしていくことで、園児発信を促していく。

今回の場合は、ステップ③までクリアしているので、①の対応で関係性を更にしっかりしたものにしつつ、④も取り入れてもらえると良いなと。
段階アップは決して急がなくて良いと思う、コミュニケーションが苦手な子にとっては、毎年担任やクラスが変わるごとにコミュニケーションスキルが一旦リセットされる場合がある。リセットされる度に、再獲得スピード時期は速まるだろうが、1年間を通して園児発信の何かがでてくるとラッキーくらいに構えていても良いと思う。
発達障害傾向のあるお子さんの中には、会話開始のタイミングをつかみにくい子がいる。話しかけるタイミングが分からないのだ。
対先生だけではなく、対子どもにも同様な様子であれば、「今!~くん一緒に遊ぼうって声をかけにいこう。ちょうど砂場遊びが終わったみたいだしね、誘うなら今が良いね」などと、友達に声をかけるベストなタイミングを先生が伝授するという支援の方法もある。

今回の場合は、家では結構しゃべるとのことだったため、恐らく要求の内容を言語化できるほどの能力は有しているのであろうという仮定でのアドバイスとなった。

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