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クルマを盗まれたことって、ありますか? 〜どんな経験からでも、得るものはある〜

 確か2000年のこと。当時乗っていた3000ccの国産車を盗まれました。

いつもの場所にクルマがない!

 月曜の朝、出勤しようといつものようにマンション3Fの駐車場に行ったところクルマが見当たりません。日曜日の夕方に買い物に出かけ、帰って駐車したのを覚えています。「間違って、別の階に停めたのか?」と思い探しましたが、全く見当たりません。再度、前日の行動を振り返りましたが、間違いはありません。そこでやっと、クルマを盗まれたことに気がつき、仕事を休んで近くの交番に届けに行ったのでした。

クルマ確保作戦

 クルマがなければ生活に困るような状況だったので、初めは途方に暮れました。そこで、まずそのクルマのディーラーに行き、購入した担当者に事情を説明。無理とは思いましたが、しばらくどんなクルマでもいいので貸して欲しい旨をお願いしました。ダメもとだったのですが、なんとOKしてくれ、結果的にしばらくの間、クルマを借りることができました。HONDAのディーラーさん、その節は、本当にありがとうございました。

保険が出るかヒヤヒヤした毎日

 次は、保険会社への連絡です。幸い車両保険に入っていたので、窃盗による被害で保険が適応されます。しかし、その時初めて知ったのですが、6か月の間にクルマが見つかれば全額保証はないということでした。最初は、「クルマが早く見つかってほしい」と考えていましたが、保証のことを考えると今度は「6か月以内に見つかってほしくない」という願いに変わりました。勝手なものですね。ヒヤヒヤした毎日が続きましたが、やっと6か月が過ぎ、保険金が降りることになり、ほっとしました。特約や見舞金も出たので、契約金額以上の入金がありました。

次は、新しいクルマ選び

 そうなると、次は新しいクルマの購入です。いろいろとクルマ雑誌等で調べたところ、輸入車には、イモビライザーなどの盗難防止装置が標準で付いていること。鍵も国産車と違って、当時から偽造しにくいものになっていることを知りました。一度盗難に遭っているので、もう二度と同じ目はごめんです。ただし、輸入車は国産車に比べて高価です。その時は、中古車を購入するという考えはなく(最近に比べて、中古車への信頼度が低かった)新車を探しました。
 まず初めに向かったのは、ドイツのM社のディーラーです。クルマ好きから見ると憧れの車ばかりが、店頭に並んでいましたが、やはり高価です。諦めて、次のディーラーに向かいました。同じくドイツのF社です。同じドイツ車ですが、こちらは大衆車なので、価格的には無理をすれば何とかなりそうです。また、クルマ好きな担当者と話が盛り上がり、好感が持てました。ディーラーの担当者の接し方って、やはり大切ですね。何度かF社を訪れ、仲良くなった担当者から勧められた性能の高い車種を購入することになりました。当時の一般の国産車を購入するのと比べると出費が増えましたが、性能や装備に加えて所有する喜びも味わうことができたので、逆に割安感さえありました。

日本車の評価への疑問と世界

 「日本車は、安くて優秀だ」「日本車は、輸入車より故障が少ない」というのが、当時の一般的な評価でしたが、実際に乗ってみると、輸入車の優秀さはプレミアムブランド以外でも明らかでした。クルマ好き程度の人でも、同じクラスのクルマを乗り比べたら、輸入車の方が当時の国産車より様々な面で優れていることは、一目瞭然だったでしょう。ほんの数十メートル走っただけでも、その違いが分かったはずです。良く考えると、日本より何十年も先にクルマを発明したのは欧米です。経験やノウハウが数段上なのは当たり前なのです。クルマづくりに携わっている人たちは、とっくの昔にわかっていたでしょうけどね。
 このことをきっかけに私は「国産の優秀性」ということ全般に疑問を持ち始めました。食材なら、特に輸送に時間がかかっていた時代には、安全性の意味から「国産」を選択するのは理解できます。しかし、一般の人々が抱く「国産が優秀だ」という思いは、実は根拠がないことが多いのではないでしょうか。ヨーロッパの有名ブランドの靴やバッグには憧れるのに、「外国の仕事は丁寧でない」というような思いを漠然と抱いていませんか?どこにどんな根拠があるのでしょうか。どこかの誰かに、いつの間にか「国産」は全て優秀であるということを洗脳されたかのようにさえ思えます。

ブランドイメージと見極める力

 日本ではブランドイメージがとても大切です。また、昔ほどでないにしても、購入時の選択ポイントに「ブランド」が、まだまだ大きな割合を占めているように思えます。例えば、電気製品を購入するとき。中年以上の人なら、「洗濯機なら〇〇電機」「冷蔵庫は△△社」「□□電機は、すぐに故障する」なんてことを一つや二つは聞いたことあるでしょう。でも、今どきそれが当てはまりますか?
また、大手の電機メーカーと言えども、自社で全ての製品をつくっているわけではありません。多くのメーカーが、OEMにより品揃えを図っていることは、周知の事実です。
 ブランドイメージによる商品購入ということは、よくいえば「それぞれのブランドが、消費者から信頼されている」ということができます。逆に言えば、消費者一人一人がものの良し悪しを見極める力を持っていないとも言えます。特に、日本はその傾向が大きいのではないでしょうか。海外の人々とそれほど多く接したことはありませんが、経験上そのように感じます。
 このような問題を「国民性」という言葉ですぐに結論づけてしまうことは簡単ですが、全ての国民が同じ考えを持ち、同じ行動をする訳ではありません。今、総裁選が話題になっていますが、国づくりと政治に対する考えについても、イメージや先入観だけで判断するのではなく、その本質を見抜く力を一人一人が持つことが大切だと改めて感じます。(BUN)


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