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開封の儀(MP:10000000000000000)

お恥ずかしながら。という類の話だ。
私の部屋の……穴ぐらの隅には、常に段ボール箱が積み上がっている。中身は、概ね「推し」のCDだったりグッズだったり。買ったまま半年以上寝かせてしまうこともザラだ。推したくて、好きで、ほしくて買ったはずなのに、どうしてか、どうしても、開けられない。
私の母は本物志向の人で、プレゼントにはいつもブランド物のコスメやら鞄やら靴やらを与えてくれる。大変ありがたい、ありがたいが、恐れ多くて、これまた寝かせてしまう。鞄や靴はさておき、ブランド物とはいえデパコスなんて所詮コスメで、私の少ない稼ぎでも全然手が届くというのに。
開封には、カロリーが要る、といつも思っている。嬉しいものであればあるほど。せっかく手に入れた宝物を、雑に開けて軽く消費してふっとうっちゃってしまうのが嫌なのだ。丁寧に開けて、存分に愛でて、たくさん写真を撮って、じっくり鑑賞して、見るものや聞くものや飾るものならそっとしまい、使うものなら丁重に、たとえば靴ならしっかり防水スプレーをかけまくるなどして取り扱う。時間がかかる、手間もかかる、カロリーが要る……。
買わなければいいのに、とお考えでしょう。そうかもしれない。いや、そう、なのだが、私に推しのCDやグッズを買わないなんて選択肢はハナから存在しない。指が勝手に動いて、瞬きの間に決済が終わり、いつの間にか手元に届いている。そうして塔はより高くなっていくのだった。
宝の持ち腐れとはまさにこのことで、実際に腐っているんじゃないかと思うことも度々ある。鑑賞は後にして、1回開けてしまえばいいという理屈も頭の片隅にはある。でも、開けない。開けないままの日々が光速で過ぎてゆくにつれ、どんどん気が重くなっていく。開けない。開けられない。宝物なのに? どうしてだろう。宝を放置することで、そのものよりも、心が腐っていくのかもしれない。
話のオチが全然思いつかないのだが、この変な癖のせいでQoo10の受取評価が一生できないままでいるので本格的によくないと思っている。誰か解決策を教えてくれませんか。1回母が家に来て全部開けていったことあるな。またやってくれないかな。

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あなぐらまえすとろ

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