メルカトールの世界地図 東西南北 その三

今いる場所は東経140度、東経36度。
 
ここから地球の中心に向かって歩いていく。
 
道をそれないように真上から見る。
 
よたよたと左にいったり右にいったり、そんな歩みは禁物だ。
 
中心に向かって歩くのだ。
 
円をイメージする。自分の位置に印をつける。東経140度。
 
中心を通って向こう側へ突き抜ける。これで円を半分に切った。
 
正反対の地点が裏側。180度になるには40度を足してやる。
 
そこが西経40度。
 

今度は進む自分を横から見る。
 
ただ、随分と傾斜がきつい。

36度の下り坂。赤道ー中心ー自分の位置が作っている角度。
 
北緯36度の線からはずれないようにひたすら歩く。
 
中心を過ぎれば南緯に変わる。
 
やはり地球を真半分に切った地点だ。
 
南緯36度。
 
 
地理野先生はおっしゃった。
 
よくできたね。では帰っておいで。ただし今通った道は使わない。
 
 
東はどちらだろう。
 
地球の裏側で途方にくれる。
 
ぼくは、東も西も知らなかった。

東は日の出の方向で、西は日の入りの方角。

それでちっともかまやしなかった。
 
それなのに真裏に行く方法だけを知ってしまった。
 
 
地理野の先生は、地球上のありとあるものには千の差万の差がある。
 
だが、地上の東西南北の決め方は平等だ、とおっしゃった。
 
 
南極と北極は、真南と真北は地球のあらゆる点で平等にある。
 
その二点を縦に切れば、どれも大円だ。
 
もう一つあった。
 
それは赤道だ。赤道上だけが東西を正しく表している。
 
地球を北と南にまっぷたつに切るのが赤道だ。切口の円は大円だ。
 
ぼくは大胆にも赤道をずらすことを考えた。
 
赤道上の東経140度の点をそっと摘んだ。
 
そして、赤道の大きさのまま東京に持ってくる。
 
この円周をたどればやっと帰れる。
 
あと二万キロ。
 
 
 了
 

#地理がすき

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