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日記:カッパと選挙と夢とキリギリス

10/3(日)
家に帰ると友だちのカッパが家の前で待っていた。
選挙があるので出て欲しい、と言う。
自分は人間なのでカッパの選挙には出られない、と言うと、
「大丈夫、私もひとつ前は人間だったから」と言った。

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10/4(月)
 夢を見た。
犬の散歩をしていたらキリギリスに呼びとめられた。
キリギリスは私と同じ背丈で二本足で立っていた。夢の中のキリギリスはとても簡単な作りをしていた。昆虫らしさはどこかへ、ざっくりしたゆるキャラ的作りだった。ああ、また私の表現の限界がキリギリスをこのようにテキトーに現してしまっているのだな、と自分にがっかりしていると、キリギリスは言った。
「ちょっとお聞きします。『アリとキリギリス』というお話をご存知ですか?」
知っている、と言うとキリギリスは、
「どうして私たちキリギリスが怠け者なのでしょう。納得がいきません」と言う。
そういえばそんな話だったかな、と思っていると、キリギリスは
「私たちが繁殖のために歌っているのをあなたたちが勝手に娯楽と解釈し、私たちに汚名を着せたのです」と厳しい口調で言った。
面倒なことになりそうだな、と思っていると、
「お話が載っている本に訂正シールを貼る旅へ私と一緒に行って下さい」と言った。急な展開に驚いて、
「待って下さい。それは無理です。犬の散歩とか猫の世話とか、他にいろいろ用事もあるし。それに何冊あると思っているんですか。そのお話の本は世界中にあるのですよ」と言うとキリギリスは、
「旅費なら負担します。犬猫のシッターさんもご紹介します。一緒に行ってください」と迫って来る。
「いやあ無理。それにお話全部を変えちゃうような訂正シールって、、」と言うと、
「心配には及びません。キリギリスのところをコオロギと訂正するだけです」とすまして言った。
「とにかく無理です。他を当たって下さい」と言うと、今まで着ぐるみのゆるキャラのようだったキリギリスの体が、だんだんとぬめりのある皮膚に変わった。立っていた2本以外はテキトーに表現されていた脚が伸び出し関節が現れ、激しく動き出すと同時に細かく堅い毛がニョキニョキと生え出した。
口から黒い液体を流しながら「無責任なやつめ!」と言い、翅を激しく震わせガチャガチャ鳴き始めた。私は翅の起こす凄まじい風で吹き飛ばされた。そこで目が覚めた。
飛び起きて洗面所の鏡に自分を映した。
よかった。キリギリスに変身したかと思った。
でも、あの声はクツワムシだったよな。




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