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CES 2020 Recap by MESON -2020年のAR/VRトレンド紹介-

こんにちは。あんどーなつです。
2020/01/22(水)に行われた『CES 2020 Recap by MESON -2020年のAR/VRトレンド紹介-』にブログ枠で参加させていただきましたので、内容をご紹介させていただきます。

『CES 2020 Recap by MESON -2020年のAR/VRトレンド紹介-』とは
2020年の2020/1/7~10で開催された世界最大のテクノロジーの祭典 「CES 2020」に参加したMESONのメンバーがCESに参加して感じたテクノロジーの最新トレンドや出展秘話についてお話してくださるイベント。

『MESON』とは
「事業プランニング」「ユーザー体験デザイン」「テクノロジー」を軸にAR/VRなどの体験拡張技術を用いたサービスを創造する会社。
NrealというARハードウェアメーカーからオファーを受け、自社サービスを引っさげCES2020に出展。

最初にテクノロジートレンドを、AR/VRとMaaS/SmartCityに分けて説明した後、MESONさんが実際にCESに出展したことで得られたTipsを紹介します。
テクノロジートレンドが知りたい方は1から、CES出展の裏側を知りたい方は2からお読みください!目次から各章に飛ぶことができます。


1. CES2020のテクノロジートレンド

MESONさんは、AR/VRとMaaS/SmartCityのトレンドを下記のように分析しています。

【AR/VR】
トレンド1:【AR】デバイスの進化は停滞ぎみ
トレンド2:【AR】キラーコンテンツ不在。ユースケースの提案に注力
トレンド3:【VR】高機能大型化 vs 最小機能小型化の二極化
トレンド4:【VR】エンタメと教育!ユースケースの確立へ
【MaaS/SmartCity】
トレンド1:コネクテッドカーからコネクテッドシティーへ
トレンド2:家電・IT機器・自動車の垣根がなくなる?
トレンド3:マイノリティ・レポートの世界が実現か
トレンド4:あらゆる家電に「浸食」していくスマートスピーカー

どちらのトレンドも、テクノロジーの進化よりも最新のテクノロジーをどう活用するかに主眼が置かれていることが分かります。数年後にはこれらのトレンドが当たり前になっているかもしれません。

1.1 AR/VRのテクノロジートレンド

1.1.1 ARハードウェア

MESONさんが最初に感じたのは、「Nreal Light」というARグラスの模倣品の多さだったそうです。Nreal LightはCES2019で話題になったサングラスのような見た目をした軽量のARグラスです(下記写真)。

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「am glass」「Pacific Future, GLOW」「MADGAZE inc.」「0glasses」といった企業がNreal Lightと見た目がそっくりで、同等以上のスペックをもつとするARグラスを発表していました。下記はMADGAZE inc.が発表したMAD GAZE GlowというARグラスですが、本当にそっくりです。

しかし、実際に着けてコンテンツを体験してきたMESONメンバーによると、『解像度・視野角・SLAM・デザイン・つけ心地のどれかが致命的に欠けて』おり、後発製品の完成度の低さが浮き彫りになったようです。

サングラス型でないARグラスは各社ユースケースごとに特色のある製品がみられたようです。
例えば、バイオリニストのパフォーマンスで話題になったReal MaxはFOV(Field of ViewF:バーチャル世界で見ることのできる範囲(視野)のこと)を100度にすることで、大きいオブジェクトを出し『迫力』を出せるようにした点が革新的だったそうです。

上のMESONメンバーが撮影したReal Maxの映像では大きなドラゴンが動いてます。回転する動作もスムーズそうです。

また画質にこだわり4Kを搭載したARグラスも展示されていたそうです。「iGlass」という製品はSLAM(カメラで撮影された映像から環境の3次元情報とカメラの位置姿勢を同時に推定する技術)には対応はしていないものの、解像度に特化し圧倒的に綺麗な映像を楽しめるそうです。

体験したMESONメンバーによると『めちゃめちゃきれいで、自宅でこのきれいな映像が見られたら、映画鑑賞などの体験が劇的に変化する』とおっしゃっていました。こののようなARグラスが普及したらいよいよ映画館はいらなくなるかもしれません。

1.1.2 ARソフトウェア

特徴のあるハードウェアは見受けられたものの、ARのキラーコンテンツといえるものは見つけられなかったそうです。代わりに、今後のキラーコンテンツのヒントとなる技術デモとしてSonyのLight Field Displayとボリュメトリックスキャンを挙げていました。

SonyのLight Field Displayはディスプレイに取り付けられたカメラから視線を追従し、それに合わせてオブジェクトをレンダリングすることで立体視を可能にする技術です。簡単にいうとどこから見ても立体に見える技術とのこと。

Sonyの公式HPには『VR(仮想現実)やAR(拡張現実)向けコンテンツへの適用が容易で、エンタテインメントやプロダクトデザインなど様々な分野のクリエイターに汎用性の高い立体コンテンツ制作環境を提供します』とあり、Sonyのエンタープライズカンパニーとしての立ち位置も伺えます。

ボリュメトリックスキャン(Volumetric Scan)は複数台のカメラで撮影する技術です。CESでは服の質感をリアルに再現した映像を見られたそうです。下記の動画では人物が動く度に生じる服のしわが驚くほどリアルに再現されています。

1.1.3 VRハードウェア

他方VRでは、高機能を追求する製品と小型化を追求する製品の二極化がみられたそうです。
高機能製品の中でもMESONメンバーが注目したのは、8Kに対応し視野角が180度もあるXTALという製品です。視野角が180度はシマウマ並みというから驚きです!

CES2020ではアメリカ軍の戦闘機F/A18に搭乗するシミュレーターを体験できたそうです。8Kの綺麗さは体験したMESONメンバーによると『コックピット上の文字がはっきりと読める。遠くを見ても綺麗で粒感が感じられない』とのことでした。しかし、高性能な分、見た目もゴツく非常に重く首が痛くなるそうです。

反対に小型化に注力したVR製品はPnasoicのVRとPico社の「Pico VR Glass」の2製品だったそう。

PnasonicのVRは展示のみでCES2020のデモはなかったそう。「違和感のないデザイン」と「高画質」の両方を目指して開発されおり、その見た目はMESONメンバー曰く『見方によってはスタイリッシュ』。

今回展示されていたVRはパソコンに接続するタイプだが、今後はスタンドアローンでの実用化を目指すそうです。

もう一つの小型VRはPico社の「Pico VR Glass」。小型なので機能は頭を回転する3DoFのみですが、解像度は1600×1600の2.3インチのLCDパネルを2枚使用しており、同じ3DoFのOculus Goよりも綺麗に見えるようです。

驚くべきはその薄さです。サイズは160mm×78mm×26mmなのでわずか約3cmの厚さしかありません。mogura VRというサイトの写真が分かりやすかったのでお借りしますが、私たちがイメージするVRグラスの半分以下であることが分かります。

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1.1.4 VRソフトウェア

VRソフトウェアで最も話題になった製品はサムスンのNEONでした。NEONは「本物の人間のような外観と動作で感情や知性を示すことのできる、コンピューターで生成されたバーチャル人間」で、CESでは表情を変化させたり、複数の言語を話すデモが行われました。

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公式の映像を見るとあまりのリアルさに目を見張るのですが、実際のアバターのデモをみたMESONメンバーによると『クオリティはそこまで高くない』とのことです。現在開発中でリアルタイムに実施するのは難しいようです。
バーチャルアバターはエンタメや教育、接客など、幅広い分野での活躍が見込め、反響の大きさからは需要の大きさがうかがえます。

もう1つメゾンのメンバーが注目していたのはLakeVRというアーケード筐体です。タッチパネルでプレイしたいゲームを選ぶとVRゴーグルが下りてきて実際にプレイできるそうです。

実際にプレイしたMESONメンバーによると『没入感が想像以上にあった』とのことでした。近未来のゲームセンターにはLakeVRがあるかもしれません。

1.2 MaaS/SmartCityのテクノロジートレンド

1.2.1 コネクテッドカーからコネクテッドシティーへ

MaaSで最も話題になったのはもちろん、TOYOTAの「Woven City」でした。コネクテッド(Connected)・自律走行(Autonomous)・シェアリング(Shared)・電気化(Electric)などトヨタが注力する技術開発を1箇所に集め、都市スケールで検証するという取り組みです。

各社が依然としてコネクテッドカーに注力している中で、複数の概念を盛り込んだ点が頭1つ抜ける印象を与えました。自動運転のレベル3を超えると車だけでは情報処理が追い付かないといわれていることから、車同士の通信から車と街の通信へと競争が移行してくのは避けられない流れだと思われます。

上記の映像からはヒトとロボットの共存も構想の中に盛り込まれていることが分かります。CESにあるすべての分野を取り込んだような街といっても過言ではないのかもしれません。

1.2.2 家電・IT機器・自動車の垣根がなくなる?

もう1つ象徴的だったのはSonyが電気自動車のコンセプトモデル「VISION-S」を発表したことでした。2019年に発表した立体音響技術である「360 Rality Audio」を中心とした車内エンターテイメントと、センサー技術を生かした自動運転が売りだそうです。

音響に特化していることからもうかがえるように、これからは自動運転で暇になった車内での活用方法が商機となりそうです。Microsoftの社長が「車内はリビングルームになる」と発言しており、MESONメンバーは『マッサージチェアの導入などハードウェアの設計もエンタメ寄りになるのでは』と考えています。

また、自動車企業のエリアにAmazonが大きなブースを出していたことからも自動車業界の競争の激化がうかがえます。特にランボルギーニは自動車メーカーとして初めて「Amazon アレクサ(Alexa)」を車内システムに統合したと発表しています。

公式の映像では「アレクサ、ガレージを開けて」「アレクサ、プレイリストを流して」「アレクサ、ロマンチックなレストランを教えて」と自動車の操作以外にも対応できるとしています。また、Amazon Payと連携して車内からガソリンスタンドで支払いができるそうです。

Boshは『20205年には、ボッシュの全商品にAIを活用する。信頼性の高い、有益なAIを構築し、AIの分野で技術革新のリーダーになる』と発表しており、車とIT機器の境目はますます曖昧になっていくと考えられます。

1.2.3 マイノリティ・レポートの世界が実現か

スマートシティに欠かせない概念の1つに「個人最適化された情報の提供」がありますが、デルタ空港のPersonal Realtyでは「個人最適化された情報の提供」の実用を見ることができたそうです。

タブレットで名前やフライト先、使用言語などを入力するとディスプレイ上にゲート案内や搭乗時刻などのフライトインフォメーションが表示されるのですが、100人同時に同じディスプレイを見ても100人ごとに個人最適化された情報が表示されるというから驚きです。

加えて、「マルチビューピクセル」とよばれる技術を備えたディスプレイを備えていることから、移動しても常に正面からディスプレイを眺めることができるそう。

2020年にはデトロイト空港での実用化が決まっているそうです。デルタ空港のPersonal Realty非テック企業が実務視点から提案している点と複数のテクノロジーを組み合わせている点で評価できると考えられます。

1.2.4 あらゆる家電に「浸食」していくスマートスピーカー

MESONメンバーによると『Amazonなどのソフトウェア企業や、サムスン・ハイアールなどのハードウェア企業が、こぞってスマート家電を連携させることによるスマートハウスの世界観をアピールしていた』そうで、『中でも多くの製品がAlexaを内蔵し、音声ベースでのコミュニケーションに重点を置いているのが印象的』だったそうです。

数あるスマートスピーカー内蔵の家電の中でもMESONメンバー一押しだったのではCare OSの「Poseidon Smart Mirror」というスマートミラーでした。

このスマートミラーは鏡を覗くと、足元にひかれたIot対応のマットや歯ブラシから自分の健康に関するデータを自動的に取得し、自分の健康状態を可視化してくれるそうです。

歯ブラシをつかったゲームアプリが内蔵されており、みがき残しがないかを鏡で確認しながら楽しく歯磨きができるように工夫されています。
加えて、特徴的なのは非接触型である点です。タッチをしようとするだけで反応してくれるので衛生的です。

これらの実用的な機能とスタイリッシュなデザインが評価され、このスマートミラーはCESイノベーションアワードを受賞しています。

2. CES2020への出展での学び

ここからはMESONさんが実際にCES2020に出展し、得られた学びを紹介します。MESONさんは『Portal』というファッションARサービスを出展し、実際にデモを行ったそうです。

『Portal』は一言でいうとARランウェイサービスです。洋服をまとったモデルが机に現れ(下記写真1枚目)、床にドロップ&ドラッグすると等身大になり、まるでランウェイを見るかのように洋服を見られそうです(下記写真2枚目)。

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出展準備からデモの実施までで得られた学びは以下の9つだそうです。

【前準備】
1. 事前に展示の1/1スケールの部屋を作って体験ブラッシュアップ&デバッグ
2. 激近Airbnbを借りる
【興味を持ってもらう工夫】
3. 通り過ぎる人を体験に引き込むための2つの窓を設ける
4. PVを作って体験に呼び込む
5. グラスでの体験をタブレット越しにモニタリングできるようにする
【シームレスなユーザー体験の設計】
6. ネットワークは切れる前提の設計
7. アテンドはネイティブスタッフをアサイン
【体験の共有を促す】
8. 体験してほしいVIPを事前招待&前後の時間を空ける
9. 体験の様子を動画に収めてチーム内シェア&ダイジェスト動画作成

2.1 前準備

MESONにオファーをしてきたNrealの中国のオフィスにCES本番で設営する部屋と同じものを作成し、部屋の形状にピッタリ合わせるための演出の調整を行ったそうです。この調整で、日本での開発時には起きなかったが、本番同様の環境のみで発生するバグを発見できたそうです。

またCES現地の準備期間は毎日朝型まで開発をしていたため、会場から徒歩10分ほどの宿をAirbnbで借りたそうです。5人で10泊で約30万円と大変リーズナブルだったそう。

CESでのデモ開催には念には念をいれての準備が必要なようです。

2.2 興味を持ってもらう工夫

Portalは自宅にいるときに使用するARコンテンツなので2つの課題がありました。

1つは部屋を再現したので、外から何をしているのか分かりにくいという課題です。この課題に対しては、部屋の中に物理的な窓を開けて通り過ぎる人が眺められる仕掛けを作ったそうです。下の写真が実際の部屋の様子です。奥に細長い窓があるのが分かります。

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加えて部屋の外にはディスプレイを設置し、部屋の中での体験映像やPVを流してサービスの紹介をしていたそうです。
特に、PVはメディア関係者を招待する際に送ることもできるので、ぜひ作成すべきと仰っていました。CES全体でもPVを流している企業は1割程度にしか過ぎないそうです。

もう1つの課題は、ある人がARグラスで体験している映像を共有しにくいという点です。何も工夫しなければ、複数人でデモに来た際に手持ち無沙汰で待つだけになってしまいます。

この課題に対してはARグラスで体験している人が見ているものを第3者視点でリアルタイムで観ることができるAR Coreアプリを開発することで解決したそうです。下記画像がAR Coreアプリから見た体験映像です。

これにより、アテンドがしやすくなったり、外のディスプレイに流す映像を作成できたりと良い効果が得られたそう。

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数多くの企業が出展するCESで自社の製品を知ってもらうには、興味を持たせる工夫は必須なのだと考えられます。

2.3 シームレスなユーザー体験の設計

ARグラスとタブレットで体験を共有するためにはネットワーク通信が必要でした。CES現地はブースと来場者の電波が混線しWiFiが機能しないので、ローカルネットワークを使用したそうです。それでも施設内に人が多くなるお昼ごろなどはネットワークが頻繁に切断されてしまったそうです。

MESONメンバーは事前にネットワークが万全でないことを見越して、通信が一定時間途切れると自動で外のモニターにPVが流れるようにしたり、タブレット側で手動でPVに切り替えられるような機能を搭載したそうです。

また、言語的・文化的なコミュニケーションの差によってユーザー体験が損なわれてしまうことを危惧して、Potalの説明にはネイティブスタッフをアサインしたそうです。

2.5 体験の共有を促す

AR/VR業界関係者やメディアを積極的に事前に招待し、多くの人に体験してもらえたものの具体的な仕事の話に繋がらなかったという事態を回避したそうです。

業界関係者に外に発信してもらうだけではなく、チーム内での共有も大事だとおっしゃっていました。許可を取ったうえで、体験者の動画をとることで、日本にいるメンバーに共有できたり、ダイジェスト動画を作成したりすることができます。

実際に作成したダイジェスト動画は下記から見ることができます。Wow!と驚いている体験者の反応を見ると実際に試したくなります。

CESはお祭りのようなイベントとは言えど、出展する側としてはあくまでビジネスを広げる場です。より多くの人に伝えるための工夫が必要なのだなと勉強になりました。

3. 参考・参照サイト

この記事を書くにあたり下記のサイトを参考、参照させていただきました。順不同です。

4. おわりに

貴重な体験をご共有くださったMESONメンバーの皆様に感謝申し上げます。また、最後までお読みくださった方もありがとうございました。

誤りがございましたらコメントにてご指摘いただけると幸いです。

~Fin~

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データアナリスト。年200冊読む読書家でもあります。月に1〜2回おススメの本を紹介するnoteを書いています。 Twitter:@an_dount