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発達障害の方が安定就労を続けるために、必要な心掛け

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障害者雇用として採用されて、半年が経った。
配慮を受けていただいているおかげで助かっているし、生活もまずまずだ。
しかし、何かが物足りない。

他の人は自分より忙しそうなのに、なぜかお偉いさんから褒められ楽しそうだ。
それに対して自分の仕事は毎日同じ作業で、単調。
称賛されることもない。
果たして自分は、会社にとって働くに値する人物なのだろうか…

発達障害を抱えた方は、このように障害者雇用として雇われても、他人と比較することで寂しさを感じ、結局辞めてしまうケースがあります。
しかし、見方を変えることで物足りなさから解放される可能性は、ゼロではありません。
この記事では、自分自身の特性を見極めながら ①身の丈にあった働き方を勧める理由 ②副業で収入を補う を紹介することで、安定就労につなげる考え方を伝えます。


①身の丈にあった働き方を続ける理由

1.昇給・昇格するほど責任やプレッシャーが増えるから

一般的に同じ会社で長く務めるほど昇給や昇格が見込まれますが、求める仕事量や範囲も増えます。
責任も重いものになり、風当たりも強くなっていきます。

なぜなら、会社の経営層は社員に次のことを求めているからです。

①業務経験を積む中で、会社の顔として部内・部外からの信頼を得る
②部下を育てることで、後世へ組織のスピリッツを伝えさせる
③将来の幹部候補として、組織の持続的発展に貢献する

これら3つは、全てあなたと会社の信用に関わってきます。
求める内容に応えなければ社員のみならず取引先からも信用を落とし、最悪倒産して社員を路頭へ迷わすことになります。

しかし発達障害の場合、3つ全てを求めるには酷な話です。
理解ある会社であれば、全てはこなせない事情を汲んで採用も行っています(自分の会社がそのスタンスです)。

業務範囲が広がれば、マルチタスクも増えます。
相手が取引先となれば、障害特性うんぬんの話は通用しません。
幹部クラスになれば、判断一つで何百万というカネが動き、会社の経営や社員の生活にも影響を及ぼします。

そういう立場になっても、あなたは仕事をこなす自信がありますか?
僕は、ハッキリ「ない」と言い切ります。
マルチタスクや臨機応変な対応によってコンディションを落とすことで、自分にも会社にも損を被りたくないからです。

僕は配慮を受けていただき、会社にいつも感謝しています。
一方、会社からは今以上の昇格・昇進はないと断言されています。
理由は会社が人事考課制度を設けている以上、他の定型発達と同じ土俵で評価をされているからです。
障害特性からできない部分に目をつむるようなことをしては、他の社員にとっては不公平です。

それでも、僕は給料や立場よりも、「安定就労」を優先しています。
今まで3回転職した中、これ以上相手に迷惑をかける真似はしたくないし、一般枠としてポテンシャル以上のことを要求されてコンディションを落とすことは御免だからです。

結論、キャリアアップを目指すなら、以上の弊害を考えて今のポジションに留まるか否かを考えてみてください。
3点の求める内容のように、組織は信用を得るため社員に「責任」を負わせます。
その重さを天秤にかけて、あなたのキャリアデザインを描くことです。


2.定例作業が、最もコンディション安定につながるから

言うまでもなく、定例業務とは毎回決まった作業をこなすことです。

毎日始業のチャイムが鳴ったら、ゴミ箱にたまったゴミを捨てる。
毎週週初めの10時には売上データをAというサイトに移し、全社員が最新情報を見れるようにする。

こうした業務が、発達障害当事者には最も安定したコンディションで働くことができます。
なぜなら、「ゴミを捨てる」「全社員が最新情報を見れる」というゴールがあり、ゴールまでの手順が決まっていることで見通しが立てられることに安心感が持てるからです。
また、人と関わることもなく自分の裁量で仕事を進めることができるので、人間関係で困るリスクもありません。

一方、交渉や利害関係の調整といったことは、ゴールが見えません。
相手の感情次第で落としどころや妥協点も変わるし、イレギュラーな対応ばかりです。
見通しがないので、安心感にもつながりません。
故に、パニックやミスを招き、コンディション低下を誘発させてしまいます。

僕の仕事はそうした対人との調整は外し、極力定例業務のみに従事させるよう配慮をいただいています。
定例業務であっても、プロセス1つに変化があったら、周りに相談したり依頼もしています。
結果、安定した状態で、突発的な対応がない限りはほぼスケジュール通りに仕事が進められています。
他の社員よりできる範囲は少ないですが、感謝されることで承認欲求を得る成功体験を一つでも多く積むツールが定例業務だと、僕は信じています。
見通しがつく仕事が当事者の安定したパフォーマンスを発揮し、会社に貢献するために必要なのです。


②副業で収入を補う

1.好きなこと・得意なことで稼ぐ

しかし、いくら安定就労が優先とはいえ、生きていくうえで収入は欠かせません。
ただ、業務範囲や能力に限界があることで給料が頭打ちになる事実は、①で説明した通りです。
では、どうすれば良いのでしょうか?

答えは、「好きなこと・得意なことで副業して稼ぐ」。
これに尽きます。
なぜなら、副業は会社と違って周囲に合わせる必要がないし「好きなこと」「得意なこと」はストレスなく仕事を進めることができるからです。

基本的に発達障害の人は、誰かに時間や場所をコントロールされるのが苦手です。
また会社にいると、どうしても興味のない仕事を振られ、必ずしも好きなことを仕事にできるとは限りません。
自分の環境は自分で決めたいと思っています。

一方、副業は自由が利きますしマイペースに取り組むことができます。
発達障害の方は、急な体調不良や気分の落ち込みに襲われやすいという特徴も持っていますが、体調や精神面が優れない時は無理してやる必要もありません。

僕は去年、隙間時間に色々な副業をしました。
データ入力・商品の口コミモニター・英訳記事の日本語要約・執筆活動…
小遣い程度の稼ぎではありましたが、自分の口座にお金が振り込まれた日は正直嬉しかったです。

結論、好きなこと・得意なことでストレスフリーで収入が得られる。
副業は、発達障害当事者の収入アップに役立ちます。
理想的なキャリアは、本業を緩く頑張って安定収入を確保しつつ、好きなことを副業で取り組んで徐々に収入を増やしていくことです。


2.好きなことで「稼ぐ」マインドを持つ

一方、「稼ぐ」視点で好きなことや得意なことを見つけるのは、そう簡単ではありません。
なぜなら、あなたのサービスや価値を、相手が買わない限りお金にはならないからです。
音楽好きな駆け出しのバンドが、自分の曲を売るために頭を下げて音楽事務所を回っている姿を想像すれば、その難しさは容易に想像がつくでしょう。

では、どう好きなことで「稼ぐ」マインドを持てば良いのでしょうか?
答えは、「あなたが楽しいと感じてやったことが人から認められて、嬉しかった」と感じる瞬間を思い出してリストアップすることです。

相手が欲しいものを思い出してプレゼントしたら、「気が利くね」と褒められた。
地域の集まりで、長く続けているピアノを披露したら拍手喝采を受けた。
得意の似顔絵を書いたら、喜ばれた。

何でも構いません。
20個以上書き込んでみましょう。

書き込んだら次に、「どうしたらこの得意なことをお金に換えられるか?」という方法を思いつくことです。

さりげない気遣いが書かれたポップアップカードを、ネット販売してみよう。
カンパ箱を置いて、駅でストリートピアノをやってみよう。
ショッピングセンターのイベントに出店して、来場者に1回300円で似顔絵を書いてみよう。

ここで大事なのは、稼ぐまでの戦略を立てることです。
いつまでに・どんなステップで、どのくらい稼ぐかを目標を設定します。
万が一失敗してショックを受けないために、目標は70%の頑張りで達成できるものにします。
金額の上下は関係なく「自分の力で稼いだ」という成功体験を、一つでも多く積み上げることが重要です。

僕の場合は、「書くこと」でした。
自分自身を語ることがそもそも楽しいのも理由ですが、自分の体験談が人に読んでもらい認められることが嬉しいということに気づいたからです。
そして、これを出版したら収入にもなると思いつきました。
去年は他の副業も併せてでしたが、年間1万円という目標は達成できました。
1万って少なくない?と思うかもしれませんが、「自分の力で稼いだ」という成功体験は、自信になりました。
出版したものに感想がもらえたら、励みにもなりますしね。
現在は、5年後に毎月5万円の不労所得が得られるよう、戦略を練りながらライティングスキルを身に着けている段階です。

自分がされて嬉しかったことを、相手にも提供してみて、感謝される。
こうした経験は、あなたの本業にも生きてくるはずです。


おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上、発達障害の方が①身の丈にあった働き方を勧める理由 と ②副業で収入を補う について説明しました。

僕は、会社で「真面目に働いて出世しよう!」というエネルギーがあるのなら、「副業で稼ごう!」という方向に努力のベクトルを変える方が発達障害の方に向いていると考えます。
出世して責任を抱え、人材育成というプレッシャーも背負ってまで能力の目減りを起こすなら、自分の好きなことで稼ぐ方が自信につながるからです。

世の中には、多様な働き方があります。
働くことが義務ではなく楽しいと感じるために、副業も選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか?
ただし、楽しすぎて本業が疎かにならないように、自分自身をコントロールしてくださいね。

この記事を参考に、あなたの働き方に可能性が広がりますように。


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