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TO:スペインの記憶。


ねっとりとした暑い空気がまとわりつく深夜、わたしはバルセロナにいた。

当初予定していた空港行きのバスに乗ることができず、予定していた飛行機にも乗り遅れ、10秒ほど思考が停止した。

なんとかバス停近くのカフェでWi-Fiをつないで、その日の航空チケットを取り直し、気を取り直して空港へ向かう。4ヶ月とすこし暮らした、オックスフォードというまちにさよならを告げるのは、わかっていたことだったけれど、なんだか不思議な気分だった。


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いつの間にか『夏』が過ぎていたイギリスでの日々から、わたしの夏を取り戻しにいく旅。8月の最終水曜日に開催される『La Tomatina(トマト祭り)』に参加すること以外はノープラン。

夜中に空港に着き、『最終』という空気を放つ繁華街行き(であろう)のバスに乗る。ユーロを握りしめた時、なぜだか笑みがこぼれた。


観光客が狙われやすいバルセロナというまちに降り立った、これまた大きなスーツケースを持ったわたし。

ひとり旅のようなものはこの時が初めてだったので、とにかくスーツケースを転がしながら(正確には押しながら)全力疾走。もちろん、だれひとり近づいてこなかった。


無事に宿に着き、一瞬躊躇ったがベルを押した。『もう来ないと思ってた』とスタッフの女の子に苦笑いされながら、ごめんねと告げる。部屋は確か5階か6階だったけれど、古い建物にエレベーターはない。へとへとの体で26kgのスーツケース持ち上げるのには、なかなかの気合いが必要だった。


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『またいつか』がこんなに早く来るとは、だれが予測できただろうか。ついこの間まで、10月頃にイタリアに行こうかな〜 なんて呑気に話していたはずなのに。

今度は、同じスペインでもマドリッドというまちを訪れることになっている。散々経験してきた通り、旅にハプニングはつきものであるという前提で、思いっきり楽しんでこれたらいいな。もちろん、亀岡や映画の宣伝もばっちりやってきますよ。


ふわふわしていた旅の予定が、航空券を買うことでキュッと引き締まってきた。日本に帰る前に、アムステルダムにも立ち寄ることにしました。

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