「就活」って、いい時間。


みなさんにとって「就活」は、どんな時間だと思いますか or どんな時間でしたか?

わたしは数年前、リクルートスーツを着てふつうに就活をしていたうちの1人でした。その結果として、大学卒業とともに「まちづくり」と呼ばれる分野に携わるお仕事とWEBライターをしています。


わたしは、既存の就活では就職先を見つけることはできなかったけれど、それでも就活は「いい時間」だったと思っています。

時々、大学生の方々と話していると「就活」につらくておもしろくないイメージがあることや、なにもしないうちから「ぼく/わたしは就活をしません」と宣言してしまうのは、なんだかもったいない気がしていて。

あくまで、26年生きているわたしの観測値でしかないけれど、少しだけ経験から話せそうなことを書いてみようと思います。


わたしは語学留学のために半年休学をしていたので、1つ下の学年のみなさんと一緒に「就活」をしていました。ですが、9月卒業ということに関して、ディスアドバンテージを感じることは特になかったです。

2015年4月〜就活が解禁になり、9月の卒業のタイミングで一度舵を切り、半年の余白期間を経て2016年4月に現在の会社に入社しました。業界は、

興味がある会社10社にエントリーシートを提出し、8,9社は面接に進んで、1社は途中で辞退し、3社くらいは最終面接に進んでいたと思います。



01. 日本と海外の「就活」の違い

–––– 黒髪、リクルートスーツ、新卒採用の一斉スタート。

日本で「就活」ということばを耳にするときに、思い浮かぶキーワードはこんなところでしょうか。

実際のところはわかりませんが、就活サイトに登録してからES(エントリーシート)を100枚ほど出す方もいるというので驚きです。

そういった話を語学学校の先生や友達にしていると、韓国人の友達とは「韓国も同じだ・・がんばろう・・」と話していたのだけれど、イギリス人の先生には「CRAZY!」と言われてしまいました。

イギリスでは基本的に、大学を卒業してから「CV(curriculum vitae)」と呼ばれる履歴書とカバーレターを希望する会社に送ります。学生時にアルバイトやインターンシップ等で関わりをもった会社で、その後正社員として働くケースもあります。(これはイギリスに限ったことでもないですし、日本でも踏まれているプロセスです。)

ただ、入学よりも卒業することが簡単な日本の大学と異なり、入学よりも卒業することが難しい海外の大学だから、それが成り立ちやすいのかもしれませんけどね。


これから先、劇的な経済成長を見込みづらい日本で、従来の大量採用型の就職活動は機能しなくなっているのだと思います。必ずしも欧米のやり方が正しいとは限りませんが、学生側にとっても企業側にとってもしあわせな「就活」になっていくといいですね。


02. それはあなたが本当に行きたい企業?

–––– 安定だから大企業がいい。真面目だから銀行を志望しよう。

「なぜその企業がいいのか?」これは、就活をしながらじぶん自身にずっと問いかけていたことでした。基本的には、志望した企業の取り組みや事業をベースにチャレンジしてみたいことがあったのでESを提出していましたが、いまになってみると、その企業である「必然性」をわたしは伝えきれていませんでした。(詳しくは次の章で触れていきたいと思います。)

同級生たちが就職活動をし始めた頃、「ぼく/わたしは、安定しているから大企業がいい」「ぼく/わたしは、真面目な性格だから銀行を志望しよう」「中小企業で ぼく/わたし のスキルを生かしたい」という声を度々聞いていました。

そもそも、大企業と中小企業はどのくらいの割合で日本に存在しているのでしょうか。実は、日本の企業の99.7%は「中小企業」なんです! 多くの方が耳にしたことのある大企業は、全体の0.3%にすぎません。

大企業を志望するのがだめだということではなくて、就活生のみなさんが就職活動をする前に知っている企業はほんの一部にすぎないということを心に留めておいてください。

また、自分の性格と企業のイメージを単純に結びつけるのは安直すぎるかな、と思います。たとえば、「銀行=お金を扱う」「自分=真面目」を結びつけて銀行だけに業界をしぼり、働きはじめてギャップに悩む友人がいました。たしかに、どちらかといえば真面目なタイプの友人たちが銀行に就職していますが、銀行だからといって「営業」がない訳ではないですよね。

ただHPを検索するだけではなくて、志望する企業にどのような業務内容があるのかを直接社員の方に聞いたり、「ぼく/わたし」はどんなことができて何をしていきたいのかを自己分析してみたりするなど、どちらも深掘りしながら「働く」イメージをつくるのが大切だと思います。


03. 会社はやりたいことを叶えてくれる場所じゃない

–––– 人事担当者は誰よりも「人」を見てきたスペシャリスト。

「あなたと一緒に働いてみたいなと思ったけど、ここの会社じゃなくてもいいと思っているよね」これは、最終面接のあとにとある企業の人事担当の方に言われたひと言です。お世辞で言ってくれただけかもしれないけれど、このひと言にハッとしたのを覚えていて。

考えてみればわたしは、その企業で「こんなことがしたい」ということばかりを熱弁していました。輸出品一覧などを入念に見ながら、

「いま世界では日本食に対しての関心が高まっています。だから、海外に進出してこんな商品をつくるのはいかがでしょうか。語学学校で出会った友人たちはみんなお箸も使えるし、好きなお寿司は『マグロ』ではなく『ウナギ』と言ったんです」

ほかにも、

「日本の人口減少率は世界と比べても深刻です。先頭を走っているということは、世界の教科書になり得るということです。日本の中・高校生たちの修学旅行では、発展する場所ばかりを見せるのではなく、課題先進地である田舎でどんなイノベーションが起こっているのか、なにが必要とされているのか、そのためにどんなことをこれから学ばないといけないのか、そんなことに気づける内容が必要ではないでしょうか」

とか、

「貿易機構がこれから日本の経済発展に携わるなら、教育分野に関わることが大事だと思います。地域の若者たちと一緒に地域の魅力を発見し、発信していくことが・・」

などなど、なかなか暑苦しいですよね。しかも、今と違って根拠づける実績がない。ベンチャー企業だったら相性がよかったかもしれません。


「では、あなたはこの企業で10年後どんなことをしていたいですか?」

と最後に聞かれて、言葉に詰まってしまったことがあったんです。

「あなたと一緒に働いてみたいなと思ったけど、ここの会社じゃなくてもいいと思っているよね」という言葉をいただいた理由は、いまならきちんとわかります。やっぱり人事の方は人を見るプロでした。


04. 「就活」って、いい時間。

–––– これまでの人生で一番、わたし自身と向き合える時間。

企業面接では、さまざまな質問が飛んできます。

「あなたはどんな人ですか?」「一番苦しかったことはなんですか?」「三日三晩寝なくても大丈夫ですか?」「あなたが次に世界へ発信したい日本の農産物は?」「事務職じゃダメですか?」

いま思ってみれば、この質問のやり取りがたのしかったのかもしれません。じぶんからどんな言葉が出てくるのか、新しい引き出しが開いていくような感覚があって。考えていたことを、面接時にはじめて言語化できることもありました。

もちろん、ESが通らなかったり、志望度の高かった企業の面接に落ちたりした時は、それなりにショックを受けましたが、だからと言ってわたしの人生が終わるわけではありません。

同級生たちが内定をもらっていくことに焦る日もあるかもしれませんが、何よりも就活生のみなさんに大事にしてほしいのは、ぼく/わたし の「納得感」です。わたしのように、3月の半ばが過ぎてから就職先が決まる場合も十分にありますから。


結局わたしは、リクルートスーツを来ているあいだは就職先を決めることができなかったけれど、いろんなことに気づけた大事な時間でした。

就活を仕切り直した時、大手就職活動サイト以外にも就職先を探す方法を見つけました。SNSも新聞も、アンテナを張っているとすべてが情報収集になるんですよね。わたしは、それに気がつくのが遅いぐらいでした。

たとえば、下の3つのWEBサイトはよく見ていましたね。

微力ではありますが、これから就職活動を迎えるどなたかの参考になれば幸いです。わたし自身、どちらかといえば石橋を叩く(叩き割る)タイプだったので(笑)。


そういえば、合同説明会でどこかの企業の方に「興味がないと思っている企業の説明会にも行った方がいいよ」というアドバイスをいただいたのですが、これは本当にそうだったのでおすすめです。

じぶんの「興味」を知るための、はじめの一歩ですね。

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不思議なことに、いまはあの頃やりたいと思っていた(03の章に書いたような)ことに近い仕事に就いています。まだまだ関われていることは小さな一部ですが、「納得感」を大切にしながらやってきた結果かもしれません。


語学留学時、日本語ペラペラのオックスフォード大学生に「日本は好きだけど、日本では働きたくない」と言われたのがショックで、日本でもたのしく働けることを伝えたかったという反骨心のようなものもあったのかな。どうなんだろう。

でも、オックスフォードでの出会いは、確実にいまの仕事にはつながっていますね。

こうやって書いてみると、もしかしたらあの頃の企業面接がたのしくて、インタビューに興味をもったのかな。そう思うと、これも「就活」の不思議なご縁ですね(笑)。


日本の「働く」を、もっとたのしいものにしていけるように。まずはじぶんができることからやっていきたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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本日のアイキャッチは、新井深夜さんのお写真をお借りしました。ステキなお写真をありがとうございます!


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