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7冊の本と、7つの余談。


「日々の暮らしに制限ができたことで、人間本来のクリエイティビティが発揮されているように思う」なんて書くと、どこかの胡散臭い評論家のような発言になってしまうのだけれど、この状況をたのしむひとつの方法が、自分自身を別のアングルから探っていくことだと思っていて。

就職活動のときのそれも、そんなに嫌いではなかったのだけれど、こういった場面においては、自分自身と向き合わざるを得ないので、気軽にできることを、気軽にできる範囲でやってみるといい。どんな状況でも健やかさを失わないためには、ほかの誰でもない自分のものさしをもっておくことが大切で、そのためには内側を知ることが重要だと思っている。

SNSを開くたびに必ず目にする「#〜〜チャレンジ」のバトンが、わたしにもまわってきたので、そのアーカイブとしてここに記してみようと思う。24時間で消えてなくなるくらいがちょうどいいと、Instagramのストーリーズに投稿していたのだけれど、意外とおもしろかったので今日はその続きを。

受け取ったのは、言わずもがな「#7bookcovers」のバトン。趣旨の通り、内容には触れずに、あくまで本と自分の出会いのところだけを書き残しておけたら。

1.きまぐれロボット/星新一

以前、「#私の本棚」のハッシュタグ企画のときも書いたかもしれない、星新一さんの『きまぐれロボット』。この本と出会ったのは小学生の頃で、昼休みの図書室だった。仲の良かった友だちと小さなことでうまくいかず、一人になりたいと思っていた昼下がり。図書室に行き、ひたすら本のタイトルだけを眺める時間を過ごしていた。そのとき目に止まったのが、この本だった。(という記憶と同時に、夏休みの宿題の定番「読書感想文」を書くための本を借りるときに、人と違う本を選びたくて選んだという説もあります。笑)

2.スタジオジブリ絵コンテ全集13「千と千尋の神隠し」/宮崎駿

小学5年生か6年生のときに、遠方に住む祖母からプレゼントしてもらった本。映画「千と千尋の神隠し」を観たあとだったので、すごく嬉しかったのに(もちろん漫画本を期待していた)、ページを開いた瞬間にちょっとがっかりしてしまったというエピソードも。祖母は数年前に他界しているので、なぜあのとき絵コンテ集をくれたのかは聞くことができないけれど、小学生以来閉じたままだったこの本が、これから活躍してくれそうでちょっと楽しみ。今度こそ、隅から隅までじっくり読めるはず。

3.インテリアの人間工学/渡辺秀俊・岩澤昭彦

最近の自分が興味をもっていることを、客観的に知りたくなったときは本屋さんに行くようにしている。視覚による反応は、経験や思考のバロメーターだと思っているので、タイトルをざざっと見たときに惹かれたものが、「深層心理で興味があること」という認識でいて。大学生の頃、旅先を決めるために本屋さんのガイド本のコーナーを訪れたこともある。ア行からはじまるそれを左上から順に眺めて、気になったいくつかの国を絞り、あとはパラパラと内容をめくる。そのまま買うときもあれば、見に行くだけのときもあったかな。(本屋さん、ごめんなさい。いまもお世話になっています。)

これは、今はなき「ジュンク堂 京都店」を訪れたときに、棚まわりを3周くらいしながら見つけて興奮した本。もう一冊は「エコロジカル・デモクラシー」というタイトルで、見つけた瞬間ハイになり、重たい2冊をどう持って帰ろうか悩んだ末、Amazonで購入させていただきました。あのとき本屋さんで買っていれば・・いや、数千円では変わらないか。

4.お直し とか/横尾香央留

数年前に参加させていただいたワークショップに、講師としていらっしゃった上條さんが編集された本。大学3年生の頃から “人は人” という考えが染みついてしまったため、あんまりほかの誰かに対して憧れを抱くことがなくなったのだけど、上條さんはちょっと違って。お話をさせていただくなかで、上條さんがどんなものを見ているのか、どんなことを考えているのかだんだん知りたくなっていき、おすすめしていただいた本や編集に携わられた本をいくつか読んでみた。いつかこんな風に、地元と外国を行き来することで生まれる本をつくりたい。

5.国家/プラトン

政治学入門かなにかの課題図書として購入した本。政治哲学という分野があることもはじめて知ったし、ちょっとユニークな先生だったけれど、意外と好んで授業をとっていた気がする。いや、入門のときは「何言ってるかさっぱり!」だったかも・・。でも、惹かれるなにかがあったのかな。

内容には触れないけれど、インタビュー形式で進んでいくタイプの本に出会ったのはこのときがはじめてで、ソクラテスとプラトンの問答のなかで繰り広げられる「物語性」におもしろさを感じていたのかもしれないな。

そこからインタビューに興味を・・というつながりは、残念ながらいまのところなさそうです。

6.失われた手仕事の思想/塩野米松

たまたま本を整理していたタイミングでまわってきた「#7bookcovers」。実は、これまで紹介した5冊と当初思いついていた5冊はまったく異なる本でした。これかな〜と思って選んでいたはずなのだけど、当日の朝を迎えると心が変わっていて、それはそれでなんだかおもしろかったです。

それでも変わらなかったラスト2冊。

塩野さんの聞き書きは、記録であり小説のようで、どういう風に取材をされているのか、こっそりついて行きたくなる。この本を読み終える前に、塩野さんの別の本を購入するという・・。旅に出かけられないこの時期だからこそ、ゆっくり時間をかけて読みたくなる一冊。

7.夜と霧/ヴィクトール・E・フランクル

学生時代、同級生から誕生日プレゼントにもらった本。バスケ終わり、たのしく迎えるはずだった誕生日に、気になってページをめくってしまったわたしが悪いのかもしれないけれど、そこからしばらくあたまを殴られたような、心をエグられたような時間を過ごすこととなりました。

いま生きている世界と異なりすぎて、共感することすら許されない(むしろ、できたらすごい)ストーリーだったけれど、史実に基づいたものなので、ただただ想像を働かせるのに必死だった。けれど。

ここまで残酷でないにせよ、遠くはないどこかで近しいことが起こっているのだとすれば・・できることを見つけていく必要もあるのかな。偽善でもエゴでもなく、アプローチできる方法を考えるのは、わたしのライフワークと捉えている。日々考え、経験を積み、お金を稼ぎ、いずれ還元できるように。


ということで、7冊の本にまつわる7つの余談でした。

時代は変わり、デジタルでも膨大な量の本を読めるようになったけれど、それでも「本」というかたちにこだわってしまうのは、何でだろうな。

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