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旅の続き 沖縄について考える

9月に沖縄へひとり旅をして以来、沖縄についてずっと考えている。

ちなみに、沖縄ひとり旅の記録はこちら。(2,3,4日目もあります。)


「さんぴん茶スッキリして美味しかったな」とか、「沖縄の人みんな優しくて涙ちょちょぎれそうだったな」とか、そういうことはもちろん考えているんだけど、沖縄と私、言い換えれば、沖縄の人と、内地の人間のあいだにある境界線についても考えている。

きっかけは高校の沖縄修学旅行で沖縄戦について学んだことが大きいと思う。
それがあるからか、観光地として沖縄を楽しむ一方で、ただの観光地として消費してしまって良いのだろうかと、どこか引っかかるような感覚が常にあった。

旅から帰ってきて、家の近くの本屋でこの本を偶然見つけ、購入した。

岸政彦さんの『はじめての沖縄』という本だ。

内容は、学生時代の沖縄旅行以来、すっかり「沖縄病」(沖縄にハマり、酔いしれること)になってしまった筆者が、沖縄と内地の境界線について考えるようになり、沖縄専門の学者になるまでと、なってからのことが綴られている。

筆者は自身の学生時代を「沖縄病」と表現していたけれど、「私と同じではないか!」と、読みながらハッとした。沖縄を訪れてから、沖縄を大好きになって、沖縄のことを深く考え向き合う。もしかしてこういう人は多いのかな。

全体的な感想としては、沖縄について書かれた本のうち、最初にこれを読んでよかったし、読みやすいうえに学びが多かった。とてもおもしろかった。

時間が前後してしまうが、実は沖縄で本を買って帰った。
国際通りから少しそれた、商店街(今は移転作業中みたい)に、古本屋さんがあった。「市場の古本屋ウララ」というお店だ。
商店街を散策していたところ、一瞬、通り過ぎかけたけど、直感でなんか入らなきゃいけない気がして寄った。
店主は一人、お客さんは私一人、歩くたびに床板がきしむ音がして、緊張と暑さで汗が滲んだけど夢中になって本棚を眺めた。
並んでいたのは、沖縄の本、歴史の本、最近の小説、韓国文学、…
noteでわざわざこういう言葉はあんまり使いたくないけど、「え〜〜!めっちゃ気が合うじゃん!!」と思った。
というのも、旅のお供として連れてきた本がこちらだったから。

ハンガンさんの『菜食主義者』という韓国文学を持ってきていた。
普段読むことが多い社会学系の本ではなく、せっかくの旅なので調和性の高そうな小説にしようと思ってわざわざ小説を選んだのに、いざ読んでみるとものすごく暗いストーリーで、飛行機の中で読みながら、話に入り込んで一人うなだれていた。
正直、もっと明るい内容の小説にすればよかったと思ってしまったけれど(笑)、韓国文学が私と古本屋ウララを繋げてくれたような気がした。

悩んだ末、結局購入したのは古本ではなく、新刊の『増補 本屋になりたいーーこの島の本を売る』だった。

古本屋ウララとその店主の話や沖縄の人たちの話が書かれていて、これは買って帰らなきゃと思った。新刊だからここでなくても買えるのだろうけど、ここで買わなきゃだめだった。
お会計をして手渡しで本をもらうとき、マスクでよくはわからなかったし、気のせいだったら恥ずかしいけど(笑)、店主が笑ってくれたような気がした。
人間が大嫌いな私が「やっぱり人が好きかも」と思うのはこういうときかな。小宇宙の交わりを感じるときがものすごく嬉しい。

こうして大切な思い出と本を持ち帰ってきた。
読んでみて、本をつくり、売る仕組みを初めて知ることができて面白かったし、やっぱり沖縄の人が好きだと思った。
先述の『はじめての沖縄』と、この『本屋になりたい--この島の本を売る』2つに共通して言えることだけど、沖縄の人は本当にたくましくてかっこいい。
沖縄の人たちは、戦前も戦後も、政治・経済・軍事的にさまざまな困難を乗り越えてきた。それは他でもない沖縄の人のたくましさと知恵があったからできたことであって、民族的DNAに還元すべきではないと思った。

こうして沖縄が強く印象に残り、更に頭から離れなくなった私は、沖縄を支えたいと思った。

そしてこちら2つの団体に寄付をした。

本当は大金持ちになって大金を寄付したいけど、それはできないので、少額だけど…若年シングルマザーと子どもたちに。

毎月違う団体に寄付をしているので、これからも沖縄の団体を含め、細々とではあるけど、寄付をしていきたいと思う。
こうして社会に目を向けて自分なりに頭を悩ませていると、本当にこの国を逃げ出したくなる。だけど、逃げたところで、きっとその地域にはその地域の"地獄"があるのだろうなと思わされる。私利私欲のままに他の者を搾りながら生きる人間が醜くて大嫌いだけど、愛おしい人間を助けるために生きたい。

あれこれ書いたけど、結局は、沖縄が大好きになったということ、尊敬のまなざしを向けるようになったということ。
2022年の新たな視点が備わったので、沖縄ひとり旅は大きな収穫だった。よかった。

これからも自分の不甲斐なさに挫けそうになりながらも、大きすぎる問題について考え続けていきたい。そしてまた沖縄に行きたい!

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