「こっち側」はプチャヘンザが難しい
「こっち側」のひと言でピンとくるあなた、午前0時の森をご覧になっていましたね?
残念なことに3月末をもって終了となった『午前0時の森 おかえり、こっち側の集い』を毎週みていた。
MCは「こっち側」代表のオードリー・若林さんと、水卜アナだ。
毎週「こっち側」ゲストを迎えて、考えすぎトーク・自意識過剰トークを繰り広げていく。
小心者で色々考えてしまうといっても、実に様々な「こっち側」をみせてもらえた。
メソメソこっち側、皮肉こっち側、合わせすぎて疲れるこっち側、どんなに隠しても輪からはみ出がちなこっち側、あっち側の仮面を被ったこっち側、どうみてもこっち側…。
なにを隠そうわたしも同じ「こっち側」の人間だが、共感できる話もあれば、そうでない話もあった。
今日は、そんなわたしの「こっち側」エピソードを繰り広げたいと思う。
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ここ最近何度もnoteで話題にしているが、先日ライブに行ってきた。
海外アーティストのライブであるため、MCはほぼすべてEnglishである。
日本人アーティストの場合だと、数曲おきに「MCタイム」が設けられるケースが一般的だろう。
しかし今回足を運んだのは海外アーティストといっても歌手やバンドではなくDJのライブだ。
MCはほとんどない。
同じ海外アーティストでも、LADY GAGAの日本公演はMCタイムがあった。
「アイシテマス、トキヨー!!」
「アリガトゴザイマス!ジャペァーン!」
残念ながらこの二言ぐらいしか聞き取れなかったが。
そうなると困るのが、どこで拍手や「フゥー!!」をすべきかわからない。
MCタイムは曲も流れていないし、アーティストの一言一句を逃すまいと静まり返っている。ちょっとの間違いが命取りだ。
そうそう、「こっち側」のなかにはライブ会場にて恥ずかしくてヘンザ等のムーブができないタイプもみられるが、わたしはそこは平気である。
とりあえず、聞き取れる二言が発せられるたびに「フゥー!」しておけば間違いないことを察したが、それ以外は周囲の様子をみて合わせるしかない。
その点、クラブ同様に音楽が途切れないDJのライブはとても助かる。
MCといえば「今日はスペシャルゲストを連れてきたぜ!」とか「新曲を聴いてくれ!」ぐらいの、比較的わかりやすいものだった。
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クラブ系アーティストのライブは、だいたい4つの言葉を押さえておけばなんとかなる。
プチャヘンザ(Put your hands up !)
メイクサムノォーィズ(Make some noise !)
クラップユォヘェンズ(Clap your hands)
3、2、1、ジョッ!(Three, two, one, Jump !!)
知った曲であればサビで勝手に体がヘンザするしジョッもするが、かけ声がかかるとまあ盛り上がる。
…と同時に「こっち側」にとっては難易度も上がる。
4つのなかでもっともイージーな指示が「メイクサムノォーィズ」だ。
シンプルに「ふぉーぅ!!」すればよい。
問題は残りの3つである。
言われたらヘンザもクラップもジョッもするけれども、やめるタイミングがわからない。
手拍子がまばらになる前に打ち切るのも恥ずかしい。
かといって最後までジョッしているのも恥ずかしい。
ヘンザした手をいつダウンしていいのか、わからない。
急にピタッとやめるのも恥ずかしいし、かといってうまいことフェードアウトするのも難しい。
みんなは意識していないのだろうか。
いつクラップをやめるのか
いつジョッを打ち切るのか
ヘンザ状態をいかに自然にフェードアウトさせるのか。
またCメロの扱いも難しい。
Aメロ→Bメロ→サビの流れはわかる。
でも変則的なCメロよ!
個人的にはその曲のCメロが大好きでついヘンザしてしまったが、周囲が誰もヘンザしていなかったときの、あのこっ恥ずかしさったらもう。
そして、そんなことを意識していること自体が恥ずかしい。
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今回、わたしの隣りにいたお姉さんは、実に軽やかにライブを乗りこなしていた。
その隣にいたお兄さんも、要所を押さえて完全に乗りこなしていた。
一方のわたしはといえば、ステージに近いからこそみえる裏方のスタッフさんの動きにもいちいち感動してしまってそれどころではない。
大砲のような筒につながったガスボンベを絶妙なタイミングで操作し、紙吹雪が一気に舞う様子。
すさまじい量の紙吹雪が降ってくるなか、微動だにしない仁王立ちの警備員的なスタッフさん。
そしてハンドカメラを片手に右へ左へ撮影するスタッフさん。
スタッフさんの動きに見とれていると、後頭部にチョップを食らう。
どうやら後ろの女性が相当盛り上がってヘンザしているようだ。
やばい、わたしスタッフさんに見とれて全然ヘンザしていなかった。
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でもね、最近はそんな「こっち側」の自分を俯瞰でみて、自分で笑ってあげられるようになってきた。
たとえば泥酔してすっ転んだとき、大まじめに「大丈夫!?」と心配してもらえることも非常にありがたいが、逆に「アホだな」とゲラゲラ笑ってもらえるのも意外と救われる。
そうなのよ、アホなのよ。
あっち側にも憧れるけど、こっち側はこっち側で愉快だ。
我が道を突き進んだらいい。
挙げた手を下げるタイミングがわからない自分も、笑い飛ばせたらそれでいい。
それでは聴いてください。
Jonas Blueで『Rise』
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