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フリーランスは定年退職後のおっさんと似ている

企業戦士として40年の務めを終え、定年退職した男性はうつっぽくなりやすいらしい。
会社という最大の居場所がなくなり、虚無感や孤独を感じやすいからだそうだ。

一方、スーパーでの買いもの中に、散歩中に、井戸端会議に勤しむおばちゃんたちはうつっぽくなりにくいらしい。
他愛もないちょっとした会話が、よいガス抜きになっているのだそうだ。
まあ、井戸端会議は苦手な人も多いだろうけど、抜群の効果を発揮する人もいるということだ。

このご時世に「男性は」「女性は」とひと括りにして話をするのはナンセンスだとは百も承知のうえで書く。
ストレスに気づかず、あるいは無視をして、溜めて溜めて爆発しやすいのは男性だと思う。
ガス抜きがうまくない人が多いように感じる。

まだ会社員をしていたころ、やっすい居酒屋に行けば隣のテーブルのおっさんらが「うちの嫁は…」などとこぼしているのを「サイテー」と思いながら聞いていたが、あれは貴重なガス抜きだったんだな。

∽∽∽

在宅フリーランスは、定年退職後のおっさんに近しいような気がしてならない。

フリーランスの場合は自宅に居場所はあるのだけれども、自宅しか居場所がないためにガス抜きがしにくく、孤独感にとらわれやすい。

わたしも少し認識違いをしていた。
「ZoomやSkypeが普及してくれてよかった、これでどこにいても、誰とでも話せる!」と。

これは半分正解だけど、半分間違い。

第一に「ちょっと一杯どう?」が非常に困難である。
会社員というのは、帰宅する「ついで」に「一杯やってく?」ができるのであって、帰宅もへったくれもないフリーランスには「今日これから一杯どう?」はとてもハードルが高い。
とくに用もないのに、夜の家族時間あるいはリラックスタイムにお誘いするなど気が引けるし、かといってとくに用もないから約束するほどでもない。

仮にオンライン飲み会が実現したとしても、会場は自宅である。
部屋に閉じこもって会話しているとはいえ、家族は同じ屋根の下でテレビをみるなりYouTubeをみるなりしているのだ。

「話し声が漏れているのでは」と思うと、夫のグチなんて話せたもんじゃない。
結局ある程度のガス抜きにはなっても、いちばんガスが溜まっている袋はいっぱいのままだ。

定年退職したおっさんは家庭に居場所がない(こともある)うえに「ちょっと一杯」のガス抜きも失うんだから、大変だよな。

∽∽∽

わたしが親しくしている男性の多くは「人にグチっても仕方ないからグチらない」とか「人に相談なんてしない」とのたまっている。

しかし彼らのほぼ全員が、酔っ払うと「だから女は…」とか「上司がクソなんだよ」とか、なんらかのグチをボロボロとこぼしている。

…やっぱりグチりたいんですね。

そういう人たちに囲まれていたからか、自分もどこか「人にグチっても仕方がない」と思っていた。
誰かとお酒を飲む機会も、お酒を飲む頻度そのものも減ったから、酔っぱらってグチをこぼすことも激減した。

毎年4、5月は不調だとnoteでも書き散らかしてきたが、おそらく今年の不調はステルス孤独、ステルス不満が溜まっていたんだ。
いや、実は毎年そうなのかもしれない。

クラスが替わる、学校が替わる、違う道に進む、転勤…
だいたいが春でしょ。

どこでガス抜きしたらよいのかがわからず、緊張で張り詰めた気持ちのやり場に困ってしまうのが4月5月なのだ、きっと。

クラス替えや進学の場合は、新しいクラスや部活になじめばなんてことなくなるが、フリーランスは基本的にいつも自宅にひとりだから厄介である。
さらに自宅だからこそ、家族の手前好き勝手話せないのも地味に厄介だ。

幸いにも明日からGWの後半4連休が始まる。
わたしは実家に帰る。
ぱんぱんに張った気持ちがぺっちゃんこになるまで、ガスを抜いてこよう。

そして、いつも話を聞いてくれるみんな、ありがとう。
今年はオフラインでもいっぱいガス抜きしたいね。
毒ガスを抜いて、マイナスイオンあたりをいっぱい詰め込んで帰れたらいい。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたのガス抜き方法は、なんですか?

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