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行けなかった花見、助けられた休み

フリーランスになって以来いろいろな悩みを抱えてきたが、今も解消されない悩みのひとつに「休むのが下手」問題がある。

会社員のころ、あるいはシフト勤務のころには感じたことのない悩みだ。
なぜなら、当時は職場に行かなければ仕事ができなかったから。
土日祝日にオフィスに入ろうと思ったら上司の許可が必要だったし、「仕事」と「休み」が実に明確に区別されていた。

でも今は違う。
「土日祝日はできるだけ仕事をしないように」と心がけてはいても、休み明けの締切が気になる。
このあいだの月曜日には「今週末はゆっくりできそうだ」と思っていても、木曜日あたりに「あれ?来週以降パツパツじゃない?」と気づき、結局パツパツの来週・再来週にすこしでも余裕をもたせようと土日祝日も前のめりになる。

休むって難しい。

カレンダーを空白のままにしておくことは、とても難しい。
真空パックのようにぴっちりと封をして、金庫にでも入れておかないと、すぐにどこかへ行ってしまう。

∽∽∽

一昨日、夫が「日曜あたり花見でも行こうか」と誘ってくれた。
午前中に出かけて、このへんじゃ有名な郷土料理屋で昼ごはんを食べ、帰ってきて皐月賞でも楽しもうではないかと。

夫がどこかに出かけたいと提案してくるなど、年に数回あるかないかの機会だ。
…なのに関わらず、反射的に頭に浮かんだのは「うわあ…仕事どうしよう…」だった。

今週はひどく仕事が捗らず、もはや土日を返上する覚悟を決めていた矢先だった。
そこにきて、まさかの提案。
喜ぶよりも前に曇った表情をとってしまったと思う。

それでも、予定があれば仕事もがんばれるだろうと頭を切り替えて日曜に花見に行こうと合意した。

∽∽∽

迎えた本日、日曜日。
わたしは見事に大寝坊をかましてしまった。

昨夜遅めの時間まで仕事に取り組み、お風呂に入り、さあ寝ようと思っても「早起きしなければ」と思うとまったく眠れない。
刻一刻と時間だけが過ぎていく。

結局、眠りにつくまで2時間はかかっただろうか。
はっと目を覚ましたら昼だった。
青ざめたと同時に、やらかした…

玄関には夫のスリッパ。
つまり夫はジムにでも出かけたようだ。

さぞイラついているのだろうなと思うと、罪悪感も相まってどんどん気が重くなる。


「ごめん、寝坊したわ」と謝ると
夫は「起きてこんかったかし、気持ちよさそうに寝てたから、ジム行ってきたわ」と実にあっさりと言ってのけた。

拍子抜けした。

夫はそういうところがある。
すさまじく切り替えが早い。
小言のひとつでも言ってもらったほうが楽だとさえ感じるときがある。
まさに今日のように。

桜をみるとするなら、今週末が今年最後のチャンスだったろう。
何事もなかったかのように振る舞われるほど、申し訳ないことをしたという気持ちが増幅される。

何事もなかったかのように振る舞ってはいても、何事もなかったわけではないのだから。


結局、今日は花見には行かなかった。
結局、今日はいつもどおりの日曜日だった。

わたしは反省の念が拭えないまま仕事をして、
夫は鼻歌まじりでいつもの休日を過ごす。

日ごろ夫に対してぶちぶちと小言も少なくないのだけれど、わたしは持ち合わせていないあっけらかんとした性格に助けられることも、多いんだよな。

感謝感謝。

今このnoteも、晩酌している夫と話しながら書いている。
今週行けなかった花見、来週行こう。
桜はもう観られないだろうから、植物園にでも足を運んでみよう。

そしてわたしは、休み方もちょっとずつ身につけていこう。
夫と愉快な週末を過ごせるように。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近「助けられたこと」はなんですか?

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