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輝く金メダル、光るていねい

こうなるだろうとわかっていたが、結婚式の余興をやりきってからまた軽く燃え尽きている。
いや5月は燃え尽きというより噴火だったから「また」はふさわしくないか。
まあ、細かいことは気にしないとして。

仕事もせねばならんというのに、まるで夏休みの学生よろしくダラダラしている。
そんななかいつもの燃え尽きと異なる点、非日常はパリ五輪だろう。

夫は帰宅するとすぐにテレビをつける。
わたしと同じくスポーツにはあまり興味がないはずだが、みるともなくオリンピックを流しながら夕飯を食べる。

そう、わたしはさほど熱狂的にオリンピックを観てはいない。
たまたま放送しているから、夫が観ているからといった受動的な態度だ。

∽∽∽

昨夜の深い時間帯、なんとなく音がほしくなってテレビをつけた。
体操競技が放送されている。平行棒だ。
オリンピック種目のなかでも体操はわりと好きな競技である。体操選手の筋肉が好きだから。

岡選手が銅メダルを獲得し、間髪を入れず鉄棒が始まる。
絞ってあった音量を上げる。
岡選手は鉄棒では2番目の演技。

「そつなく」と表現したくなる、ミスなくていねいにまとめ上げられた演技だった。

その後ほかの選手の演技はなんとなく眺める程度だったが、どんどん目が離せなくなっていった。
鉄棒からの落下、着地のミス。
たしか、岡選手以外のほぼすべての選手に素人でもわかる大きなミスがみられた。
「こんなことある?」と思わず口からこぼれる。

結局、ノーミスで演技をやり遂げた岡選手が金メダルを手にした。
金メダルが決まった瞬間の岡選手は、もちろん嬉しそうではあったが、どこか困惑しているようにもみえた。

それもそのはずで、鉄棒においては日本勢では杉野選手のほうがメダルに近いといわれており、岡選手は予選も5位通過だった。

記者からマイクを向けられると「奇跡ですね」と発したように、おそらく本人も金をとれるとは思っていなかったようだ。

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フィギュアスケートでよく選手から「ノーミスの演技を目指します」と耳にするように、どんなスポーツでも「ミスをしない」は大前提のように思う。
プロ野球でも「試合には勝ったが(ミスが多くて)褒められる内容でない」と渋い顔で話す監督をみかける。

ゲーム中にどんな好プレーが飛び出しても、ひとつのミスで流れや結果が大きく変わってしまう。

たまたまみたオリンピックで、ミスをしないていねいな演技によって選手自身でさえ想像していなかった金メダルを掴んだドラマが、わたしの腹にズドンと大きな衝撃を与えた。

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今日の散歩中、そういえばわたしの推しのボディビルダーも大会で優勝した際「ていねいな生活を心がけていた」と話していたよなと思い出す。

昨夜の体操といい、今日ふと思い出した推しビルダーの発言といい、おそらく今のわたしはやる気や火種といった「爆発的な勢い」よりも「ていねい」を求めているのだと思う。

煉獄さんよろしく、またごうごうと心を燃やせるようになればいいと思いつつ、でも今はその時期ではないと直感している。
どちらかといえば、消えてはいない小さな火を、薪をくべ、酸素を送りながらじっくり大きくしていく作業が必要だと思うし、そうしたいと思っている。
着火剤で一気に燃え上がらせていくのではなくてね。

ていねいに。
あたり前のことをあたり前に。
あれもこれも、ではなくシンプルな生活を送っていきたい。今はね。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近直感で求めていることはなんでしょう?

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