喫茶店に行く
喫茶ソワレ。
4年前に見た夢のようなゼリーポンチ。
「絶対これを食べよう」と友人とした約束を、ついに果たすことができた。
電車を降りて河原町に出ると、人が溢れかえっていた。お昼ご飯はチェーン店のパスタで軽く済ませて1時半。
木屋町通りのすぐそば。喫煙所にはお昼からチューハイを仰ぐおじさんや僧侶風のバックパッカー、無造作にタバコをくゆらす大人の中で、子供が川に葉っぱを浮かべていた。
オープンから少しも時間がたっていないのに、店の前には長蛇の列。両脇のごちゃついた建物に挟まれて、頂点に鹿をいただくモダンな建物が建っている。
青い照明が美しい店内に案内された。壁にはブドウの装飾。食器が触れ合う心地いい音。
何を注文するかはもう決まっている。
「ゼリーポンチひとつ。」
こと、と音を立て目の前に現れたゼリーポンチ。青い光の中でひんやりとすました顔をしている。赤く染まったサクランボがチャームポイントだ。
グラスに浮かぶ人工的で美しい色のゼリー。少し甘めのサイダー。口に含んでもただ甘いだけなのにおいしいのはなぜだろう。
おいしいものを食べていると切なくなる。
それは、旅の終わりを感じながら、学校へ帰る修学旅行のバスに乗っている時と同じだ。どんどん読み進める小説の残りのページを確かめるのと同じだ。
まだ終わらないでほしいと思うのに、確実に終わりへ向かう。
最後の一口。
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