読書感想:戦略系


1.起業のファイナンス(磯崎哲也)


資本市場と経営管理の理解、アニマルスピリッツの重要性を学べます

<Point>
・ファイナンスのリスクをマネジメントするために経営管理の知識が重要
・スタートアップエコシステムが育つことで、スタートアップの信用力も増す
・ストックオプションの設計が人のコミットメントLTVに影響を及ぼす
・銀行は世界の金融市場で戦っているため、不良債権を出さないよう慎重にならざるえず、スタートアップを増やして、資本市場から資金が回るようにしなければならない
・エコシステム全体の体制が整わずに資金だけが流れ込むと問題が生じやすくなるため、優秀な人が流れ込まないといけない
・株式は会社の権利を小分けしたものであり、株式で資金調達をすることは、会社を小口化して販売するのと同じ
・持分が少なくなってしまうと資金調達に影響が出る
・上場審査等に向けて個々の増資等の条件の決定についてこだわる
・状況に合わせて臨機応変に対処できる能ようにソーシャルグラフを持つ
・100%成功する道筋が存在しない以上、ステークホルダーにワクワク感をもたらす事業計画をたてられるかが勝負
・事業計画では内部/外部環境に応じた障壁を前提条件の設定が重要となる
・数字に基づく計画を立てることで曖昧を排除する

2.ウォー・フォー・タレント(エド・マケルズ)

事業成長のためには人的資本の希少性に向き合うことが重要と考えさせられる示唆に富んでいます

<Point>
・事業運営をリードする有能なマネジメント人材をどれだけ自社内に抱えているかが、企業の競争力の根源となる
・各企業は求めるマネジメント人材に対し、他社ではなく自社の組織で働くことによってしか得られない独自の価値を提示できるかが勝負となる
・有能な人材に報いる最良の方法は、その成長速度を超える速さでより高い目標と機会を惜しみなく与え続け、潜在能力を休みなく最大限発揮させる機会を徹底して提供すること
・いつどんなマネジメント人材が必要になるか、その人材の要件と数を明確にし、育成のアクションプランを実行する
・優れた企業は社員の実力差を認め、報酬、チャンス、投資にも差をつける
・外部からの定期的な人材登用は、基準を常に修正する
・有望な人材が仕事を変わりたいと思ったときにつかまえられるよう、企業は継続的に人を雇う体制を作っておくベき


3.ALL for SaaS(宮田善孝)

プロダクト戦略に関する視点や用語を網羅的に抑えることができます

<Point>
・ユーザの利用動向を分析してプロダクトを改善し続ける
・CACの分母を有料で獲得したユーザに限るのか、全獲得数を使って算出するのかで算出できる効果が異なるなど、数値分析は狙いを持って行う
・SaaSの立ち上げに必要な知見が多様すぎて、適切な事業責任者を擁立しづらいため、組織設計の工夫が重要
・開発組織の機能分化のタイミングと定義を検討する
・ユーザが享受する価値以上に流行やネットワーク効果などに依拠するのであれば、事前の検証よりもリリース後が主戦場になる
・潜在ニーズは商談などの場を通して気付かせるところから始まる
・攻めやすいユーザセグメントをターゲットに据えて、獲得を進め、徐々にターゲットを広げていく
・プロダクトビジョンは正解に近づけるものではなく、正解だと思い込んで伝え続け、そして1人でも多く共感してもらい、協働してもらう
・企画段階でプロダクトの構想ばかりが膨らんでしまうと罠に陥る
・バイヤーとユーザが異なると、ユーザストーリーが複雑化しやすいため整理が必要
・欧米ではプライシングのコンサルファームがある

4.product-led growth(ウェス・ブッシュ)


セールスがプロダクトを売る戦略と、プロダクトでプロダクトを売る戦略を考えるための着眼点を身につけられる

<Point>
・何を売るかとどう売るかが重要
・試したい時にすぐに試せる環境に慣れてきていることで、いかに早くプロダクトの価値を感じることができるか?があたりまえになっている
・PLGはすべてのプロダクトにはあてはまらない。うまくいけば爆発的なユーザー獲得につながる一方、間違えると売上をすべて失うリスクのある施策を取り扱う
・ハイパーニッチなプロダクトはセールス力が不可欠
・ハイタッチセールスの一CACのコントロールが利かず、セールスサイクルが長くなる
・どれくらい早くユーザーにプロダクトの価値を示すことができるかを想定する
・実力以上のプロモーションを打つのではなく、プロダクト価値の提供能力を磨き、バリューギャップを縮める


5.コーポレート・トランス・フォーメーション(冨山和彦)


オペレーショナルエクセレンスで勝ってきた日本企業の転換点を考えられます

<Point>
・市場環境に合わせて構築された仕組みが次第に目的化していては市場の変化に取り残される
・新しい成長領域はたいてい戦略展開のスピードが重要な競争要因になるため、新しい戦い方を柔軟にできる組織能力が必要
・今、この瞬間において傑出した個人を世の中から集める力、組織の新陳代謝力が、競争に勝ち抜く組織能力を規定する
・戦略は死んだ
・優秀な人材から選ばれるために会社とならなければならない


6.世界最先端8社の大戦略 「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代(田中道昭)


GAFAを始めとしたメガテックの戦略のポイントを事例で知ることができます

<Point>
・人間の欲望はエンドレスであるため人間の欲望を満たそうとする顧客中心主義には果てがない
・大胆なビジョンと高速PDCAのこだわりがメガテックの共通点
・巨大な流通網を有するウォルマートのEC戦略は、アマゾンを脅かすポテンシャルがある
・現場の動きを変えるDXの積み重ねが生産性を驚異的に引き上げる
・テスラは顧客二ーズよりもデザインとエンジニアリングを重視するプロダクトアウトで顧客の欲求を引き出している
・データの優位性とユーザー獲得の網羅性でプラットフォーム戦略を仕掛ける
・プライバシー保護の方針は競争戦略として重要
・周辺企業とのアライアンスを強化することでプラットフォーマーの立ち位置を獲る
・ペロトンは、ユーザー間で「ペロトンする」という言葉を生み出し、フィットネスバイクを売って終わりではなく、SaaS+a Boxを確立した
・シンガポールのDBS銀行は外国市場のトレンドを捉えて、メガテックを意識したDXを推進した
・AMAZONは徹底的に「DAY1」という言葉を繰り返してスタートアップ文化をつくっている


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?