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シンガポール旅行から感じた日本のイノベーションの可能性🇸🇬

シンガポールの人口は2023年6月時点で約590万で、うち約176万人が外国人で構成されています。(参照:シンガポール首相府戦略グループ
東京都の人口は約1,400万人であるため、東京都よりも少ない。(参照:東京都HP
にもかかわらず、経済効率を図る一人当たりの名目GDPに比較すると、2022年のデータでシンガポール82,808ドルに対して、日本は33,854ドルと日本が下回っています。(参照:シンガポール首相府戦略グループ

経済効率で差がついていることが現状ですが、、、
外需に大きく依存しているシンガポールの経済が、人口減少が見込まれる日本経済の未来像の参考になると、日本のイノベーションの可能性を考えてみました。

ちなみに、面積は東京23区と同規模とのことで、各所の観光地を巡りやすかった。

1.キャッシュレス文化の浸透

観光施設、レストラン、フードコートと至るお店がキャッシュレスで浸透しており、むしろ現金の取り扱いができないお店がチラホラありました。
電車やバスもタッチ式のクレジットが利用可能。

経産省のレポートでは、日本のキャッシュレス化比率が32.5%であることに対して、韓国が90%、中国が80%、シンガポール60%、アメリカが50%と他国に比べて、まだまだキャッシュレス化の余地があるようです。

キャッシュレスだと、始めの貨幣が瞬時に分からなくもシームレスに支払いしやすいこともありますが、何にどれくらい使ったのかのデータが残るため便利だと思いました。
そう考えると、FinTechによるキャッシュレス化はインバウンドにも有効なのかもしれません。

2.リアル空間のサービス体験価値

世界ベスト空港1位にも選ばれているチャンギ空港の商業施設Jewel、マリーナベイサンズ、オーチャードロードには名だたるグローバルブランド店舗が煌びやかに並び、壮大な展示物が聳え立っていて、国民の7.5%が金融資産1億円以上の富裕層かつ、世界の経済人や観光客が集まる場所の強さを感じました。
特にGAFAやBATHのリアル空間を抑える存在感は際立っていました。


現時点では見かけませんでしたが、データドリブンにユーザーインサイトにアプローチしてユニコーン企業が続出しているD2C領域のCasper (マットレス)、WarbyParker (メガネ)、Away(スーツケース)などのリアル店舗が既存の大手ブランドから替わる未来も来ると思うと、リアル空間だからこその非日常空間の演出とイノベーションが掛け合わさることは、経済の活性化にインパクトするのではないかと考えました。
先日、訪れた麻布台ヒルズにもワクワクするものがあり、都市開発の重要性を感じます。

シンガポールは政府主導で「自然の中の都市」になることをインバウンド観光のビジョンとして掲げていますが、商業施設のオブジェや街並みで自然を感じられる景観が多いなと思い、官民の連携が見られました。



梅澤高明さんが著書『NEXTOKYO』の中でクリエイティブシティ、テックシティ、フィットネスシティの3つ視点で都市開発を進めていくことが国際競争力に繋がると説いているように、イノベーションの余地は多くあると思いました。

3.運動習慣の社会変革

街中では、公園に軽く運動できるようフィットネス器具が備えられて、実際に運動している人たちもチラホラ見かけ、運動習慣の文化的な違いを感じました。
残念ながら、実物は見つけられずでしたが、日本でいうチョコザップのようなローコストかつ事前予約でスムーズに短時間運動ができるGym Podというフィットネススタートアップが公園や商業施設にもあるようです。
グローバル進出を始められており、スタートアップの勢いを感じました。
hacomonoさんの取り組むフィットネス市場を通じた社会変革の重要度を考えさせられます。



他にもシンガポール政府が推進している「Healthy 365」という運動した分だけポイントが貯まり換金ができるアプリがあるそうです。
日本のスタートアップでもmeleapさんの手掛けるテクノスポーツHADOが中国政府の推進で公教育にも導入され始めており、健康寿命にテクノロジーが活用されています。

4.シンガポールのイノベーション環境

文化と環境が異なれば当然、着眼点が異なるため、海外のイノベーションの先行事例は自国のイノベーションを考える上で参考になると思います。

2023年から日本にも進出し、世界34カ国で展開しているシンガポール発グローバル企業のIJOOZが至る場所にありました。
IJOOZは、いわゆるIoTの分野でオレンジを自動販売機の中で絞り提供するサービスで、販売データを分析することで補充する量に反映して廃棄を減らすことコスト管理をされています。
価格もお手頃で、とにかく美味しかったのですが、データによるコスト最適化で拡販に成功している着眼点がユニークでした。

交通面では、タクシー配車のGrabが浸透されており、商業施設のタクシー乗り場は事前予約が当たり前になっていました。
ホテルでもGrabの利用が推奨され、さまざまな店舗でもGrab Payの利用が可能になっておりスーパーアプリ化の進展と見られました。
一方、他国インドネシアのユニコーン企業Gojekも当たり前のサービスとして浸透されていました。

シンガポールは、税務や法務面などの面で、他国と比較して外資系が参入しやすいビジネスインフラの整備で自国に閉じずに競争環境が生まれやすいのかなと思いました。

シンガポールは、米国調査会社Startup Genomeの都市別スタートアップエコシステムランキングでは、東京が15位に対してシンガポールが8位となっていますがその要因として、海外のスタートアップがグローバル進出の足掛かりとしてシンガポールに注目していることが挙げられています。

5.アフターデジタルの世界観

ビービット藤井保文さんの著書『アフターデジタル』シリーズでは、アジアの事例を中心にテクノロジーを駆使して、UXUIを工夫→属性データから行動データまで取得して利活用→顧客体験を高めるとの流れの優位性が築かれていく世界観が描かれています。

シンガポールでは、至る場面でQR読み取りが掲示されていたり、施設利用の事前申請もスマホで行うことが推奨されていたり、モバイルオーダーが当たり前になっていたりと、デジタル上を媒介することがサービス利用のUXUIの基本となっていました。
入国審査も事前の電子手続きになっていました。
また、飲食店や商業施設のお手洗いにおいても、さりげない場面でタッチ式のアンケート画面が設けられて、顧客体験の追求の基本スタンスも見られました。


これほどデジタル上のデータ取得を前提とした顧客体験が重視されていると、まさにアフターデジタルの世界観で描かれているような、真面目に努力している企業、人が報われていく信用社会が加速していくのだとも感じました。

一方、デジタル化が進んでいる反面、わからないことを確認しづらく、対人コミュニケーションだからこその柔軟性がなくなるとの弊害も感じました。
アカウントの登録も必須になっている場面もあり、個人情報のリスクもあるのではないかと思いました。

6.言語の壁を越えた日本の発信

シンガポールでは日本の飲食業や小売業がたくさんありました。
同じみのダイソーやドンキー、資生堂、シャトレーゼ、吉野家、一風堂などなど。
スーパーには日本の調味料やお菓子もたくさんありました。

また、チームラボはマリーナベイサンズやガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどの主要な商業施設でもサービスを提供されており、言語の壁を越えたサービス品質の強さを感じました。

シンガポールでは、病み付きになると評判(実際に美味しかった‥)のお菓子IRVINS SALTED EGGシリーズがコンテンツIPとしても注目され、マリーナベイサンズで日本のぐでたまとのコラボスペースがあったり、日清との共同商品が販売されていました。

日本のコンテンツIPという観点では、ポケモンがセントーサ島の名物ロープウェイで描かれており、日本発グローバルに挑戦されているWEB3.0やエンタメテックが日本のコンテンツIPを発信していくことは言語の壁を越えた発信となり、日本経済に還元されていくのではないかと思いました。

7.イノベーションは新結合から生まれる

日本と同じく島国のシンガポールでは貿易船が多数見られました。
商船三井グループは、グローバルトレンドとなっている環境戦略を経営計画の中で重要性が高い分野の一つと位置付け、シンガポールでEV船事業を手掛けるピクシス・マリタイムとEV船の共同研究開発を始めているそうです。

シュンペターは、イノベーションを技術革新ではなく”新結合”と指して、単体では既に存在するものの、それまでに組み合わせたことがない要素同士を結び付けることで、新たな価値を創造することとしています。

シンガポール旅行を経て、海外と日本の特徴や着眼点の違いを知り、日本の良さにももっと注目/発見していくことがイノベーションの加速に繋がるのだと、そして、そのためには、違う視点と知見を持つ人と人同士の結合も重要だと考えました。
一定の多様性は大事だなと。

文化が異なると、同じサービスでも細部で異なるものがあると気づくことができ、コカ・コーラのバニラ味もありました。
(生まれてこの方、コカ・コーラを飲み続け、AMAZONで箱買いしている人間としては、好きな味ではありませんでしたが‥)

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