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5年前のFBでの投稿再録

以下は5年前の今日FBに投稿したものである。
自己への戒めとして再録しておく。

<引用開始>

わたしめの微小なる経験則でいえば、外国語学習者がその学ぶところの外国語がとっさの時に思い浮かばないという学習段階では少なくともあと3年は基礎学習が必要であろう。もちろん個人的能力差があるので確定的には言えないが。

ソシュールによれば言語にはラング(langue)とパロール(parole)という二つの側面がある。詳しくはWIKIをご参照に。

外国語学習の最終目的はその外国語のラングを獲得することである。その外国語が使用されている外国における言語共同体以外からやって来たものがそのラングを共有することは並大抵の努力ではかなわぬ。しかしそのための努力の過程と意思疎通のための投企がパロールとなって表れる。それは錯誤と学習の繰り返しであるが、「浮かばない英語」とはその過程の低いレヴェルを示している。

会社員が業務の必要上ある外国語を学習することを求められているという状況で、出勤時間外で語学学校に通うという事情を前提に斯くの如き広告を出すビジネスがあるのだろうが、その状況下ではとてもラングに到達することはできないと断言する。

ラングを獲得するにはその言語が使用されている言語共同体の中で暮らすかあるいはそれに限りなく近い状況を設定するしかあるまい。そしてその間は母語から一切遠ざかる事である。しゃべらない、読まない、聞かない。そうしてこそあなたの言語中枢をつかさどる潜在意識は、外国語のラングを仕方なくそれこそ幼児が言語を学習する過程をなぞる作業を開始するようあなたを促す。

そしてあなたが夢の中で外国語をしゃべるようになればある程度のラングが形成され始めたのだといえよう。その段階になれば「浮かばない英語」ではなく「浮かばない母語」へと学習レヴェルが向上しているだろう。

しかしそれが人にとって幸福な状況であるかどうかはまた別の問題である。母語だけで暮らせることの方がよほど幸せなのであると、シナ語もドイツ語ももちろん英語もいまだラングには達しないわたしめはそう考えている。

<引用終了>


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