毒母②
"慣れ"とは、非常に怖いものだ。母親から受ける暴力も罵声も毎日、毎日、聴いていたら慣れてしまった。
ただ、暴力も罵声もダメージが食うことには変わりはなかった。
「死ね」と言われたら死にたくなったし、暴力をふるわれたら痛い。心も痛かった。
まだ小学生なのに私は母親が嫌いになった。
ただ、母親がこうなってしまったのは自分自身にも原因がある。それは、後ほど。私の"罪"についで書きたいと思います。
いつものように私は母に暴力と罵声を浴びせられてたとき、いつもと違うことが起きた。
「お前が死なないならママが死ぬ」
叫びながら母は包丁を手に取りーーーーーーーー自分の胸に刃を向けた。
それを見て、泣き叫ぶ弟。呆然とする私。何が起きているのか分からなかった。理解できなかった。
「死んでいい?ねぇ?お前は死なないんでしょ!?」
母は泣き叫びながら、包丁を持つ手にぐっと力を込めた。とっさに私は謝り続けた。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。言うこと聞きます。ごめんなさい。ごめんなさい。死なないで。ごめんなさい。ごめんなさい。死なないで。ごめんなさい。お願い死なないで。
その場にいた家族全員が泣き叫んでいた。大嫌いな母親だが、親は親だ。嫌いでも死んでは欲しくなかった。
気がつけば、母は包丁から手を離していた。それをみた私は母に抱きついた。死ななくてよかった。本当に良かった。
恐怖の涙から、安堵の涙へ変わった。
「ごめんね…」
そう、母は私に言い、強く抱きしめ返してくれた。その"ごめんね"は私にとっては今までしてきた事へ対しての"ごめんね"に聞こえたんだ。
③へ続く。
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