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今日ときめいたドキュメンタリー77ー「Find My Life 戦後78年目のGIベビーたち」・・・過去と向き合う

(2023年9月17日放送 NHK BS1 スペシャル「Find my Lifeー戦後78年目のGIベビーたち」より)   タイトル写真は映像より転載

”GIベビー”という言葉をご存知だろうか? 私は「合いの子」とか「混血児」という言葉で、その子たちの存在を知っていた。

太平洋戦争で敗北し無条件降伏した日本は、1945年から1952年の間、連合国軍の統治下に置かれた。マッカーサー元帥率いる進駐軍GHQ(General Headquarters)が占領行政を行なったとき、40数万人の連合国軍兵士が駐留した。その兵士たち(主にアメリカ人兵士)と日本人女性の間に生まれた子供たちがそう呼ばれていたのである。

ドキュメンタリーは、1人の女性(作家の岡部えつ氏が彼女の自伝を書き、父親と母親を探し当てた)と1人の男性の生きてきた人生を描いている。それは、「ハーフの子供」が自分を産んだ母親や父親に置き去りにされて、孤児院で育てられ、日本人社会で散々いじめや差別を受け続けた人生だった。男性は「畜生以下だった」と語っていた。

肌や目の色、髪の毛が違った彼らには居場所がなかったとも語っている(彼らはごく普通の日本人に差別・虐待されたのだ。ここに「福田村事件」と同じ構図が見て取れるー誰でもある日加害者になりうる可能性があるという事実)

この子供たちに救いの手を差し伸べたのは、キリスト教教会の運営する孤児院であり、彼らに寄り添ったのは外国人修道士たちである(日本の政府はその子たちの正確な人数さえも把握していないとネットの記事にある)

このドキュメンタリーで、私がさらに感銘を受けたのは、アメリカには、”Find My GI Father”というボランティア団体があって、アメリカ人兵士と他国の女性との間に生まれ、生き別れになった子供たちの父親を探し出す活動を行っているということにである。

このボランティア団体の設立者テレサ・ウェインライト氏によると80〜85%の確率で父親を見つけることができるそうだ。2020年から活動を始めたが、DNAと科学技術が大きな転機になったようだ。日本、ドイツ、フランス、ベトナム、フィリピンなどの国々から調査依頼があるという。

ウェインライト氏は語る。「だから、70歳でも80歳でも父親が誰なのかを知ることができない理由はありません」

ドキュメンタリーの2人も両親の情報が確認でき、男性には妹が存在することが判明した。

ここでも「過去に対する向き合い方」に、彼の国と我が国の違いを感じざるを得ない。彼の国では、第二次世界大戦まで遡って子供たちのルーツ探しを積極的に支援しようと活動する。我が国ー政府も国民もーは、過去の不都合な事実に向き合わない。それどころかその事実を無かったことにしようとする。

アジアの国々には、戦前日本人男性や兵士と現地の女性との間に生まれた子孫がいまだに父親を探したり、国籍を求めたりしているが、日本政府が心ある対応をとっているようには思えない。この違いはどこから来るのだろうか?

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