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お金のことを真剣に考えた時

独身の時は、男女別立ての給与体系という時代で、女性の給与は低く抑えられ、本当に薄給だった。実家から通っている人と違い、地方出身者は家賃を差し引いたら手元にいくらも残らない。貧しかったなあ。5円で三日過ごしたこともあったっけ。もちろん所得税は非課税。早く税金が払える給与になりたいと願ったものだ。この時期、毎日お金のことが頭から離れなかった。

その頃、今の自分の生活に展望が持てないと日本脱出を図る。国際ボランティアとしてタンザニアに赴任。その時の手当は、確か$270/月。国連ボランティアは、$200/月。他の国のボランティアもほぼ同じような金額だった。$1=¥360の時代。だが、ここなら十分やっていける金額。超貧しい国なのにお金のことはほとんど気にしたことがなかった。

買い物も値段を見て買ったことがなかった。品物があるだけで満足して、すぐ買わないと次はいつ手に入るかわからなかったから。金額がいくらだろうと、必要なものは買わなければ。砂糖、油、小麦粉・・・。だから生活用品がいくらしたか全く記憶にない。そもそも買いたいものが棚になかったのだから。

結婚して日本に3年住んだ後、マレーシア国サラワク州(ボルネオ島)に赴任。日本にいた3年間は、家計簿をつけるなどしてお金にこだわった生活をしていた。サラリーマンの夫の給料で夫婦2人だから何とか生活して、微々たるもんだが貯金もした。

その後のマレーシアの暮らしは、あのタンザニアのようになった。店に醤油や味噌がたまに出たら、即座に買った。もちろん値段の記憶はない。それにこの時はタンザニアの時と違い、ちょっとリッチだった。国内給与とは別に海外手当がもらえたし、私も働いていたので心にも家計にもゆとりがあった。もちろん家計簿などもつけたこともない。

日本に帰国してまた貧乏生活に戻った。今度は「教育貧乏」身分不相応にアメリカンスクールに3人も入れて、35年の住宅ローンを抱え、「ああ、これからどうなっていくんだろう」と、いつも学費の支払いと生活費を計算していた。家計簿をつける気など全く起きなかった。ちまちまやりくりしてしのげる困難ではなかったから。

「あの頃、鯵の干物はみんな半分だったね」と次女がポロッと言った。「ぎくっ」として、「育ち盛りだったから足りなかった?」と聞いたら、「そういう意味じゃなくて、うちも大変だったんだろうなって」高校時代というと、半身のあの鯵の干物が思い出されるらしい😅外食なんてほとんどしなかった。なんでも5倍だから、食事はせっせと作った。子供に必要なものは「良い教育と栄養」この時の私を支えていた信条。

長女が大学に入った時、労金からお金を借りた。返済開始は彼女の卒業時と設定。2度借りて、全員が卒業した時、返済完了した。私はその時、自分へのご褒美にと、ネックレスのチャームを買った。丸い輪っかのホワイトゴールド。「丸くおさまった」なんちゃって❣️

今は漠然と将来に不安を抱いて生きている。

恐らくみんなもそうだろう。労働者の給与が上がっていないとあちこちで喧伝されている。私が働いていた頃の給与の額の方がずっと高いって、変じゃない⁈ しかも生活が苦しいのは「自己責任」とやらにされちゃっている風潮。若者の間では「自己責任はデフォルトなんですよ」とテレビのコメンテーターが言っていた。そんなことはない。こんな社会になったのは、今の政治に問題があるからだ。でも若者は怒らない。みんなが声を上げたら何かが変わるのに!

感染症が蔓延する状態になって、essential workers エッセンシャルワーカーの給与のことが取り沙汰されているが、そんなことはこんな状況になる前からわかっていたことだ。

ゴミを収集してくれる人や医療関係者とか生活に直結する仕事をしている人の給与が、いわゆるbullshit jobブルシットジョブ(ブレイディみかこの本によれば、無意味で不必要な仕事。本人もその仕事の存在が正当化できないでいるが、自分の生存のためにそれらの仕事を不必要に作り出して、持続させているような類の仕事)の給与より低いという不公平、理不尽さ。彼らがいなくなったら、すぐに私たちの生活が大打撃を受けるのに。

地方を旅するとシャッターの降りた商店街を数多く目にする。東京にいたら気づかない光景だ。人間の体が、末端の毛細血管に血液が行き渡らなくなり、壊死して行くように、日本の国は地方から衰えて行くのだろう。

そんな不安の中で、消費に向かわないのは当然だ。気分はタンザニアにいた時のようだ。まず買わなくなったのは、衣類。生命の維持に直結しないから。消費するのは食料品のみ。値段が三桁なら罪悪感無しに購入、四桁だとハッとして熟考する。財布の中の残金と相談して決める。本当にどんぶり勘定の人であります。

今はお金を使わなくなったから、関心は希薄な時です🤷‍♀️。墓場までは持って行けないよと言われても、人生何が起きるか分からないから・・・。

#お金について考えていること

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