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今日ときめいた言葉32ー大谷選手の言葉「憧れるのをやめましょう」

                   (写真はnumber.bunshun.jpから転載)

もう名言としてメディアでも取り上げられている言葉だけれど、書き留めておきたい。

WBCアメリカとの決勝戦に臨む前に、円陣を組んで大谷選手がかけた言葉である。そして彼の言葉はこう続く、

「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。

憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」

出陣前のこの言葉。全員の心を奮い立たせたに違いない。特に、雰囲気に飲まれて気後れしがちな若い選手たちは、この一言で気持ちが切り替えられたのではないか。すべての若手ピッチャーが好投した。彼らの一人は「一人の打者」だと思って投げたと言っていた。

さらに彼の名言は続く。試合後の米メディアのインタビューで

「真剣な質問だ。どの惑星から来たんだい?」

と問われた大谷選手の答えが泣かせる (このインタビュアーは、元レッド・ソックスのデービッド・オルティスというレジェンドだとか)

「日本の、田舎というかね、ほんとにあんまりこう、チームも少ないようなところでやっていた。日本の人たちからしても、頑張ればこういったところでできるんだってところは良かったんじゃないかな」

この一言に、日本の過疎地や9人もメンバーを集められないチームの野球少年、青年いや中高年だって勇気づけられたはず。とかく東京中心に全てが語られがちな日本社会。彼の言葉はそんな周辺にいる人々の心を温めたに違いない。私がそうであるように。

そして私がときめいた言葉の最後は、

「日本の子どもたちに楽しさを伝えたい?」

と問われた彼の言葉。

「日本のファンもそうですし、もちろん台湾だったり、韓国とか、今回は予選で残念ながら負けてしまったと思うんですけど、僕らが勝っていって優勝することによって“次は自分たちも”という、そういう気持ちになるんじゃないかと思います。そのふたつだけではなくて、中国もそうだし、まだまだ日本も大きくなる可能性を持っています。そのためにも、勝ちっていうのが、いちばん大事だと思います」

ここまで野球を俯瞰して考えている。国民に感動を与えるばかりか、アジアの野球人へもエールを送る彼の人間性。素敵すぎる。

日本の政治家にはこんな言葉は言えないだろう。言えたとしても虚しく響くだけだ。大江健三郎氏の言うように彼らの言葉は言いっ放しだから。実現しなくても責任も取らない、取る気もない。

大谷選手のあの人生の曼荼羅には、「27歳でWBCに出場してMVPを取る」
とあったそうだ。自分の言葉を確実に実現している。すごい、すごすぎる👍

時を同じくして「天声人語」(2023年3月23日付 朝日新聞)に、ゾルバの言葉として次の言葉が載っていた。

「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ」

これは、まさに大谷選手にふさわしい言葉だと思う。

ゾルバとは「カモメに飛ぶことを教えた猫」(ルイス・セプルベダ作)という小説の中の猫の名前だそうだ。瀕死の母カモメから若鳥に飛ぶことを教えると約束した猫の話だとか。

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