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未来の私のために。あの時何に感動したのかを思い出すために。

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今日ときめいた言葉。日常生活で出会った素敵な言葉、心動かされた言葉あるいは事柄について書いています。そんな言葉に出会った時、凡庸な日常が一瞬輝きます。ああ、私は言葉に生かされてい…
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2024年6月の記事一覧

今日ときめいた言葉163ーダーウィン進化論の「競合と淘汰」の概念だけを重視してきた社会。その先は?

(タイトル写真は、Wikipedia より転載) (2024年6月13日付 朝日新聞 科学季評「『選択と集中』は進化論か」霊長類学者 山極寿一氏の言葉) 山極氏は、「進化論」が誤った解釈で社会に適用されてきた結果、人間や人間社会がよからぬ方向に進んでいると警告している。 現代の企業戦略や社会の作り方は、自然科学の普遍的な法則を下地にしている。ダーウィンの進化論がその一つだ。ダーウィン進化論の「競合と淘汰」という概念だけを重視して、政治、経済、社会に応用してきた。 つま

今日ときめいた言葉162ー「私たちが認識する『歴史』は何らかのバイアスとは無縁ではいられない」

「このことに気づく経験が現在の教育では必ずしも重視されていない。『歴史』を『歴史的に考えること』が必要だ。 2024年5月30日付 朝日新聞に掲載された東京学芸大学准教授 日高智彦氏の「『歴史的に考える』ことの学び方・教え方」という記事を読んで興味が湧き、日高氏の論考が所収されている「歴史的に考えるとはどういうことか」(南塚慎吾・小谷汪之編著 ミネルヴァ書房)を読んだ。そのまとめである。 「『歴史的に考える』とはどういうことか」 ーー直接経験していない歴史に出合うには、

今日ときめいた言葉161ー「男だらけ 東大の未来に危機感」

(2024年6月11 日付 朝日新聞 東大副学長・グローバル教育センター長 矢口祐人氏の言葉) 東大は男だらけ。男女比は20年ほど8:2の状態。気がつけば構内の銅像は全て男性、犬の像もオスだったとか。教員も男性ばかり。出身校は大都市圏の私学。学生の98%は日本国籍。高学歴の両親でそこそこ恵まれた家庭出身。極めて同質性の高い大学。 気がつくのが遅すぎます‼️ アメリカの大学では少なくても20年以上前の時点ですでに「金持ちの白人だけの大学というレッテルが張られないように」と

今日ときめいた映画160ー”LIVING”(黒澤監督作品「生きる」のリメイク)を見る

(タイトル写真はファッションプレスから転載) 黒澤監督作品「生きる」のリメイク版 ”Living” ーイシグロカズオによる脚本。インタビューでご本人が語っていたように変更が加えられている。でもコアになるポイントを変えずに絶妙に加えられた変更が映画全体のイメージをオリジナル作品よりも明るいものにしていると思う。 オリジナル版についての記事は以下をご参照ください。 やはり日本人で戦後の状況を感覚的に感じられる分、オリジナル版には感情移入をして見ていたと思う。敗戦から7年たっ

今日ときめいた映画159ー黒澤監督作品「生きる」を見る

(タイトル写真はU-NEXTからの転載) 昭和27年制作の映画である。もちろん白黒映画で、薄暗い市役所の一室で働く一人の男の話である。この作品を見ようと思ったきっかけは、この映画のリメイク版が英国で作られ(タイトル“Living”)、脚本を書いたのがイシグロカズオであることに興味を持ったからである。作品についてのインタビューで、彼は自分の脚本をオリジナルから少し変更したと語っていたのでまずはオリジナルを見てみようと思ったのだ。 日本生まれで英国育ちのイシグロカズオは日本の

今日ときめいた言葉158ー「父と娘の距離・いい関係が築けていますか?」

2024年6月8日付朝日新聞「サザエさんをさがして」から。 「心理学的には、親子関係の中で『父と娘』が最も心理的距離が遠い」のだそうだ。 このムービーを見て胸キュンしたお父さんはきっと多いに違いない。 我が家の3人娘とオットとの関係は、何十年も見てきたからどちらの思いも想像がつく。うちのオットは典型的な昭和の男ではないので(私の最も嫌いなあのタイプではない。自分の父親のような男は絶対に選ばないと決めていたし、そもそも好きにはならないから)、よその父娘関係よりは距離がずっ

今日ときめいたこと157ー2024年6月5日の尾瀬を歩く

出かける日はいつも突然やってくる。今回も「明日行こう」となって、バタバタと山小屋を予約する。今年は東電小屋が取れず尾瀬ロッジ。 今年は雪が少なかったそうで水芭蕉の開花が早まり、ピークが終わっていた。尾瀬はその年の天候や運に左右されるとつくづく思う。 上3枚の写真はいずれも同じ場所から撮影したもの。年によってこんなにも違う。 だが尾瀬の魅力は水芭蕉ばかりではない。なんといっても広大な湿原である。

今日ときめいたこと156ーしばし戦前にタイムスリップ

この名前を見てピンときた人は日本史が好きな人だろう。 この人、大日本帝国陸軍大将 山下泰文(やましたともゆき)。「マレーの虎」などと言われたが、BC級戦犯でフィリピンで処刑されている。 散歩をしていて偶然この人のお墓に出くわした。場所は多摩霊園。東郷平八郎や山本五十六などの軍人はじめ作家、政治家、経済人、俳優などの著名人や東京大空襲で亡くなった引き取り手のいない人々の墓があることは確認して知っていたが、また一つ新しい発見をした。 我が家は多摩霊園に近く、ジョッギングや散歩

今日ときめいた映画155ー「今朝の秋」 (生誕120年 ドラマで観る笠智衆)を見る

(写真はNHKから転載) 既出の「ながらえば」に続く笠智衆作品である。 今作品の人物像も前作とあまり変わらないと私には思えた。寡黙で一徹で頑固だけれどどこか親しみがある人物。映像の中にいるだけで絵になる存在である。演技なのか自然体なのか、でも穏やかな眼差しが一瞬鋭く光る瞬間がある。いい味を醸し出している。 この人「明治生まれの男が泣くことはめったにない」と言って、どんな監督のもとでも映像の中で泣くことを拒否したそうだが、「冬構え」という映画の中で自殺に失敗して泣くシーン

今日ときめいた一冊154ー「人はどう死ぬのか」

この本を書いたのはお医者様です。外科医であり、終末期医療に取り組んだ後、外務省の医務官となってサウジアラビア、オーストリア、パプアニューギニアの日本大使館で勤務されました。その後高齢者医療に携わり在宅医療の現場で長年勤務した方です。そこで経験した高齢者の実態や在宅での看取り、最期の迎え方について書いています(講談社現代新書 「人はどう死ぬか」久坂部羊) この本を読んだ時、死というものをもっと実感を持って認識しなければならないと思いました。 人は人生で人の死に立ち会うのはせ