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教育とは、学ぶとは、知識そして知性とは?

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日本の学校教育このままで大丈夫でしょうか。私たちは何のために学ぶのか、知識とは、知性とは、について考えていることを書いています。
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#学校教育

今日ときめいた言葉92ー歴史学にできること「過去を過去として論じるのではなく、現代を映す鏡として見つめ直すこと」

(タイトル写真はテレジン強制収容所跡地、アウシュビッツに移送される前の中継地だった。テレジンは、オーストリアのマリア・テレジアのことである) (2023年10月19日付 朝日新聞「第三次大戦防ぐには」歴史学者 小原淳氏の言葉) 「第三次大戦を招かないために歴史学に何ができるか」との問いに、小原氏が答えたのが記事タイトルの言葉である。小原氏はさらに以下のように続ける。 「かつての人々が危機に際してどのように反応し、何を考え、いかに対処したのか。とりわけ『失敗の歴史』を学ぶ

今日ときめいた人85ー中学生新聞を創刊した中学1年生

(2023年10月19日付 朝日新聞 「岸田首相に直接聞きたい。それならー」から) この中学1年生は、なぜ「日本中学生新聞」を創刊したのか?それは岸田首相に質問したいことがあったからだそうだ。質問とは、 「核兵器禁止条約になぜ日本は署名も批准もしないのか」 ということ。 修学旅行で訪れた広島で話を聞いた被爆者の女性に「今の政治に言いたいことは何ですか」と聞いたところ 「核兵器禁止条約に参加してほしい」 ということだったからだ。 広島で開催されるG7広島サミット(

今日ときめいた言葉67ー「許し得ぬを許せし人の名と共にモンテンルパを心に刻む」(美智子上皇后の歌) ー 八月に思うことー

(タイトル写真は4travel.Jpより転載 モンテンルパ刑務所) 毎年、8月6日、9日、15日が来ると考える。式典が催され、これらの日だけはマスコミもこぞって特集番組を組み、戦争体験者を登場させ、戦争は2度とあってはならないと語る姿を放映する。そして決まったように、体験者が少なくなっていくなかで、この歴史的事実をどのようにして継承していったら良いのかで終わる。だが、ここには被害者としての日本国民しか語られていない。 2023年8月11日付 朝日新聞「強いた犠牲 日本に自

今日ときめいた言葉ではなく、一冊65ー「オリガ・モリソヴナの反語法」(米原万里 著)ーその罵詈雑言がすごい😱

引き込まれるように一気に読み切った。随分前に買ったのに今まで積読にしていたことを悔やんだ。今までで最もガツンと手応えのある物語だった(と言うより、これは、作者 米原万里氏の体験と公的資料を丹念にあたって調べ上げた事実を元に書き上げたノンフィクションだと思う。この作者がもうこの世にはいないことが残念でならない) 「ああ神様!これぞ神様が与えて下さった天分でなくてなんだろう。長生きはしてみるもんだ。こんな才能はじめておめにかかるよ!あたしゃ嬉しくて嬉しくて嬉しくて狂い死にしそう

今日ときめいた言葉62ー「なんで学校に行かないといけないの?」に答えられますか?

(2023年7月15日付 朝日新聞 「『素朴な疑問』が刺さる」から五味太郎氏の言葉) 子供にこのように尋ねられたらなんと答えますか? 学校教育にあまり期待をしていない私だけれど即答は難しい。私は下記の記事「再び日本の学校教育について〜人生で必要なことは、ほとんど家庭で教えられる」で、次のように書いた: 「私にとって学校教育とは、子供が生きるための知恵やスキルを学ぶための選択肢の一つである。それ故、むしろ精神形成の過程で、学校教育から受ける悪影響や一方的な意識の刷り込みを

今日ときめいた言葉31ー「政治家よりもまともな国家や共同体を作るのが小説家の仕事だ」

(2023年3月8日付 朝日新聞 「有事の前例『明後日の日本』」から小説家・法政大学教授 島田雅彦氏の記事から) 「政治や経済はシステムや権力を最適化したり、効率よく運用したりするジャンルだが、文学は個々の心情や感情、知性の自由な働きにのっとっている。 心折れる現実、マフィア化したこの国家、出口の見えないこの戦争から逃れ、自らの生存に最適な異世界をどのように立ち上げるか、といったところに知性が発揮される。 現実の主権国家も『想像の共同体』に過ぎないのだから、独裁制ではな

若き日の思い出(その4)ー子供を教育するということ

娘達は、”three sisters” 「(姓)sisters」などと呼ばれていた。それは同じ先生が、2年おきに3姉妹を教えるから先生達の間ではよく知られていたからだろう。 長女は2人のロールモデルだった。3人ともほとんど同じような課程を選択した。学校のconference 面談でよく、先生から「おたくの娘さん達は本当によくできた子ですね。どうやったらあんなにいい子に育てられるのですか。是非教えて欲しい🤪」なんて言われた。 そうなのだ。先生にそう言わせるくらい、とにかく外

「夏休みの宿題」「自由研究」って必要ですか?

小学生の夏休みにつきもののこの二つ必要でしょうか?夏休みは、何にもない開放感を思いっきり味合わせてあげればいいのにとずっと思ってきた。何かをしていても、いつも「宿題」のことや「自由研究」のことが気になっている、言わば「生殺し」みたいな気分で過ごす夏休み。こんな状態で日々楽しく過ごせるんだろうか? 「小人閑居して不善をなす」の発想でしょうか。「漢字100回」「計算ドリル100問」忙しくさせるだけのこんな宿題、もう肉体労働でしょう。昔、夜遅くまで塾に通う日本の小学生の行為を「児

“いま、「知識」ではなく「知性」を”の記事に思うーまたしても日本の学校教育、大丈夫?

2022年6月12日付 朝日新聞に掲載された上記タイトル「いま、『知識』ではなく『知性』を」の記事に強く惹かれました。書いた人は、文化人類学者の今福龍太氏。 記事を要約すると(かなり私の独断と偏見による)ーーー 高校の「国語」の内容が、「直接役に立たない」文学作品ではなく、社会で「役に立つ」実用文を学ばせる方向にシフトしたことに触れて、「知」とは何かと問うている。 「知」は、我々の社会を創造していく真の力であるが、その時の「知」とは「知識」(knowledge)ではなく

日本の学校教育、大丈夫?ー「教育とは何か」をもう一度考えてみる。

先日アメリカに住む次女がiMessage に、米俵の絵を送ってきて「これなんて言うの?」と聞いてきた。私は、ピンときた。「それって笠地蔵の話のことじゃない?」と聞くと図星だった。恐らく、日本人学校の補修校に通う息子の宿題か何かだろうと思った。 私の3人の娘は日本の学校教育を受けていないので、日本人なら大体の人が持っている共通の記憶や感情、体験がない。 その後も「一寸法師は、何に足りないの?」(指!)、「舌切り雀はどこを切られたの?」(これには、さすがの彼女も「舌」と分かっ